映像詩

デジタル映像による心の表現
(映像作品制作を通して感じたこと)

1361-お賽銭と狛犬

2017年01月21日 | 30秒の心象風景
神社にあるものといえば、鳥居、鈴、狛犬、賽銭箱が思い起こされる。日本の神社には鳥居がつきもののようで、神域の入り口を示す造形は様々に発展して、材質も形も多様性を示している。拝殿前に吊された鈴も参拝者にとってはわかりやすい神との交流の道具である。そして人々の思いを乗せる賽銭はどこから生まれたのか。初詣のシーズンにはその金額が話題になることもある。さて、もう一つ神社にあるものは狛犬である。いつから神社の拝殿前に置かれるようになったのか。それほど古い歴史はないようである。狛犬の起源になる置物は古くから宮中の装飾にみられたらしいが、神獣のように扱われて、神社の境内に置かれるようになったのはそれほど古いことではなく、石造の狛犬が作られるようになってからのことである。奈良の東大寺の南大門には石造の獅子が一対安置されているが、これは狛犬の起源のひとつと考えていいのか意見が分かれるところだろう。現在のような造形の狛犬は江戸時代に普及したものと思われる。石造以外では備前焼の狛犬を見ることがあるが、焼き物の技術が高まってからの造形物であろう。大きく、複雑な造形の焼き物を作るには特別な技術的修練が必要だと思われる。岡山の吉備津彦神社では備前焼の狛犬が拝殿前で参拝客を迎えてくれるが、その足下や開いた口に賽銭が乗せられている。賽銭の起源と狛犬の起源はそれぞれ何の関係も無い。ところが様々な人の思いを受け止めてくれる神域では、それぞれが新たな関係を生み出していくことになるようだ。

30秒の心象風景10248・備前焼の狛犬~吉備津彦神社~
https://youtu.be/OrrdDurZQlM

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする