らんかみち

童話から老話まで

そろそろ頑固じじいの仲間入りか

2015年03月05日 | 暮らしの落とし穴
        

 とあるドラッグストアにバイクで乗り付けて駐輪したら、隣にえらい古いカブ号が停めてあった。こんな半世紀ほども前のバイクに乗っているなんて、一体どんな頑固じじいだろう。ここまで古いものを使っているなら、絶対に顔の相に出ているはず、見てみたいもんだ。
 いや待て、ヘルメットが新しいしナンバーも最近のものだから案外、平成生まれの好事家ってこともあるか。おっと、若者がおしゃれで乗っているのなら、不細工な段ボールを積んでいるはずないよな。やっぱり偏屈爺さんだろう。

 店内に入って、目指す酒コーナーにたどり着く頃には、カブのオーナーを探す気は失せていた。とそこへ、声をかけてくる爺さん、いや爺さんというほどじゃないな、知り合いだった。
 こんなところまで酒を買いに来るんですかと聞いたら、「そう、カブに乗って来たんよ」と。ま、まさかあの古カブ? 写真を撮ったことを打ち明けたら、「50年前の製造よ」とキーを見せてくれた。間違いない、この人は偏屈だったのか!

 キューバに行ったら半世紀前のアメ車が普通に見られるし、北朝鮮に行ったら木炭車が普通に走っているらしい。お国事情もあるだろうけど、新しい物好きの日本人から見たら驚異的で羨望すら覚える。
 まあそれも、おっさんのノスタルジーといえばそれまで。今や車はEVやFCVに取って代わられようとしている。そんなのまだ先のことだろうと高をくくっていたけど、こんな田舎都市にも充電スタンドができた。昔に回帰したいおっさんを尻目に、時代の変革は待ってくれない。