デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

自立とデンマーク人

2008-08-30 07:54:57 | デンマークについて
 デンマークで子どもを育てるにあたって大切なことのひとつは、子どもの自立心を育てること-これはとてもすばらしいことだと思います。が、今回ある場面を見て、果たしてこれはどうなのか?と、私はちょっととまどい、考え込んでしまいました。

 ある日、フリーランズミュージアム Frilandsmuseet (Lyngby) に行き、遊具コーナーでのこと。ショウミーとジジが遊ぶのを眺めながら立っていると、上から釣り下がったロープに髪をからめてしまった女の子と、それを取ろうとしているもう一人の女の子が目に入りました。2人は小学校の2年生と3年生くらいに見え、私はどうかなと思って様子を見ていました。からめてしまった女の子の顔がゆがんで必死に痛みにこらえているのですが、どうしても取れないようでした。取ってあげている女の子のほうもどうしたらよいのかとても困っており、私は自然に「ちょっと見せてね」と近づきました。髪はどうしたらこんなふうにからめられるのかというほど、一束がきつくきっちりとからまっており、時間をかけて少しずつ、痛くないように外していきました。

 ようやく取れると、女の子は小声でやっとありがとうを私に言うと、一目散に先生のところに走っていき、大泣き。子どもなのでどうしたらいいかもわからず、どうなっちゃうんだろうと、きっと相当こわかったのでしょうね。さて、その間、先生方はどうしているかというと、ペチャクチャお喋りをしながら向こうのテーブルでコーヒーを飲んでいました。日本だったら、先生はいつも子ども達を気にかけていて、何かトラブルがあったときにはとりあえず飛んでくるだろうに、あんなに女の子は追い詰められた気持ちになっていたのに、どうして放っておけるの(あるいは気づいてないの)?と私は愕然としてしまいました。

 ねぇ、ちょっと今のはおかしくない?と夫と話し合いつつ(親としての経験は日本でのみなので、このあたりの感覚はかなり夫は日本人化している)、その場を移動しようとしていたところ、今度は5歳くらいの男の子のすごい泣き声が・・・。その子は耳をひどく打ったらしく、小さな手で耳を押さえながら大泣きしています。私はもう落ち着かなくなって、「ちょっと見せてごらん」とと飛んでいきたいのを堪えて見ていると、その男の子は途中、少し大きい子に誘導されながら先生のところまで大泣きしながら歩いていきました。そして先生に嗚咽で途切れ途切れになりながら、状況を説明し、そうしてやっと先生に耳を見てもらったのでした。
 
 私は一人、ぐったりと疲れを感じ、デンマークの先生はどこまでひどい状況になれば来てくれるのかと思いつつ、その場を去ったのでした。そういえば、今まで何の気はなしに、通りがかりに、夫が通っていたという保育園を覗いたものだったけど、覗くたびにいつも先生たちは建物の入り口のテーブルに座って、コーヒーを飲んでいたなあ、と思い出しました。

 それは学校の教室の中でもそうだと聞いています。何があっても、生徒が自分で言わなければいけない、先生から気を回してあれやこれや言ってくることはないそうです。どんな状況でも自分できちんと自分はこうなのだと表明する、その訓練をこうして行っているのでしょう。また友人の話では、保育園ではあまりアクティビティが用意されてなく、一日、「自由遊び」として子どもの自主性に任せているそうです。

 日本の幼稚園や保育園などではどうでしょう。両者は管轄が文部科学省と厚生労働省に分かれているので、教育方針やプログラムなども違うと思いますが、どちらにしても、先生方はきめ細かい指導(食事のマナー、集団生活のルールなど)、子どもの安全面での徹底的なケア、そして子どもの心身の成長のためのアクティビティなどが求められており、先生方もそれに精一杯応えてくれているように思います。何より、子どもが何か怪我をしたり困ったりしているときに、まず子どものところに飛んでいき、やさしく対応してくれるということが、日本の園では自然に行われていることと思います。

 今回、こういった場面を見て、私はこうして「デンマーク人」ができあがるのかというものを見せつけられた気がしました。自立心を養うためには、それなりに厳しい体験も積まないといけないのか、誰も助けてくれないという状況から、自分だけが自分を守れることを覚え、自分ということについて自覚を持つのかなと。一方、大人から何につけても手を差し伸べる日本は甘いのか、だから日本人にはいつまでたったも自立が身につかないのかな、などとも思わないでもありません。

 でもこうして育つ両者の間に、とにかく、大きな隔たりができることは明らかだと思います。あくまで一般論ですが、実際、大人になったデンマーク人は、他者よりもいつも自分、自分で、関心は自分にあり、ものすごい自己責任を負っています。ストライキでも騒がなかったのも、最後は自己責任という自立心があるからではないでしょうか。他人と自分を決して混同しないこともできますし、したがって他人に振り回されることもないと思います。とてもクールで、相手のせいにして理不尽に怒ったりすることもないわけです。日本人は反対に、自分よりも他人や社会オリエンテッドなところが多く、自分で変革しなくてはというよりも、社会や他者のせいにすることも少なくありません。そして自分の価値基準を持ちにくく、自分の思い通りにやるのではなく、社会や他者の考えを慮って行動することが多いと思います。

 いつものように両者はいい面と悪い面があるのですが、私の印象の、「他人に関心の少ない冷たいデンマーク人、温かみの少ないデンマーク人」というものは、子どもの頃からこうして鍛えられて次第に確立されていく、と今回思いました。その個人主義や自立心はやはりすばらしいのだけど、困っている他者を思いやり、やさしい言動を取るというものも、同じくすばらしいものだ、と思ったのでした。

フレデリクス教会 Frederiks Kirke (Marmorkirken)

2008-08-29 14:31:58 | デンマークのあちこち
アメリエンボー宮殿(女王が住んでいらっしゃいます)のすぐ近くにある、フレデリクス教会に行ってみました。ガイドブックによると150年ほどかけて1894年にできあがったそうで、わりと最近できた教会です。大理石の教会(Marmorkirken)と呼ばれているように、中には全面的に大理石が使われています。白い壁の、わりとシンプルな内装というデンマークの教会が多いように思いますが、大理石のおかげか、この教会は重厚な雰囲気がただよっていました。

 中でも私が美しいと思ったのは、紫と青の組み合わせです。天井のステンドグラスや内装に青が使われ、円形の教会内部全体に淡い青い光が差し込んでいます。その中で、カーテンの青紫との色の相性がとても美しく見えました。青と紫の組み合わせは、とても高貴で静かで、心が洗われるような感じがしました。

          

          

 もうひとつ感動したものが、入り口にある彫刻です。バチカンのピエタには動けなくなるほどの感銘を受けたことを思い出しつつ、十字架から降ろされるイエス、そしてその横で支えられているマリアの彫刻にとても感動してしまいました。残念ながらこういう感動をうまく言葉にできないし、下の写真も小さくて私の感動を伝えられるものではないのですが・・・。バチカンのピエタと同じく、その悲しさ、美しさ、ある種の臨場感というか生々しさに圧倒されて、しばらく彫刻の前で立ち尽くしてしまいました。

          


国会議事堂 Folketinget 見学 【その2】

2008-08-28 11:41:38 | デンマーク 政治・歴史関係
 ガイドの方が話してくれたいくつかの面白いエピソードを紹介したいと思います。

          

 ひとつ目がこれです。この小さなテーブルが本会議場の外のホールの片隅に置いてあり、私もなんだろうと思って見ていたのですが、これは以前使われていたシガレット置きだそうです。昔から本会議場の中は禁煙となっており、休憩時間になると議員の方たちがこのホールでシガレットを吸いました。シガレットは吸うのに時間がかかるそうで、休憩時間が終わると吸いかけのシガレットをこのテーブルのシガレット置き場に置いていったそうです。このシガレット置き場には番号が振ってあり、係りの者が置かれていくシガレットの番号と議員の名前を急いで書きとめていったそう。そうしないと誰のだかわからなくなってしまいますからね。

 次が国会議事堂の2階の壁ほぼすべてにぐるりと描かれた、絵の模様です。画家の名前は聞き取れませんでしたが、この画家が海外から招かれ、数年をかけて、壁のデコレーションとして植物の模様を描いていきました。次第にデンマークのことを知るようになった彼は、模様の中に動物や虫なども描き込むようになります。そしてなぜか熊や蜘蛛など(確かに蜘蛛はたくさんいますが、かなり大きい蜘蛛を描き込んでいます)まで描き出しました。後に彼は依頼者からひどく怒られたそうですが、私にはかわいらしいモチーフが人の心を休めてくれるように思いました。ガイドさんも「いろいろ描かれているので、探してみると面白いですよ」と笑っていました。

          

 そして、デンマーク人の友人カップルと一緒に参加していたのですが、ツアーが始まる前から、以前このツアーに参加したことがあるという友人が言っていたのがこれ、エレベータです。これは知る人ぞ知る有名なエレベータで、まず、ドアがない、そして単に区切ってあるだけの長い箱型のエレベータで、乗るときにはタイミングを計って飛び乗らないといけないそう。見ていると、子どもの頃の大縄を思い出したのですが、タイミングを計れればなんということはなさそうですが、うまくできなかったらどうしよう、とちょっとドキドキするエレベータです。ちょうど人が乗っているエレベータが通り過ぎ、他のツアー参加者も面白がってみんなバシャバシャ写真を撮っていました。

          

 最後に笑ってしまうのが、歴代の議長と首相の肖像画でした。誰が誰か忘れてしまいましたが、え~、これが肖像画?しかも国会議事堂に飾る?というものばかり。中にはきちんとしたものもありましたが、ありえない・・・と思うようなものばかりでした。ちなみにラスムセン前首相の肖像画はわりと普通に描かれているのですが、画家のサインの代わりに足元に絵の具が描かれています。まあ、絵に関しては非常に自由と世界でも有名になったデンマーク、このくらいじゃ、なんてことはないのでしょうね、きっと。

          
          退任後、別荘で描かれたそうで、背景に海が・・・。


          
          ありえないでしょう???

国会議事堂 Folketinget 見学 【その1】

2008-08-27 16:06:29 | デンマーク 政治・歴史関係

 クリスチャンボー宮殿の一部である国会議事堂では見学するためには、まず午前中に一度行き、英語ガイドツアーの予約チケットをもらいます。(一日に30名なので、早めに行ったほうがいいそうです。11時から配布開始。)2時に集合場所の国会議事堂入口に集まり、ガイドが現れて注意事項の説明のあといよいよ1時間ほどのツアーがスタートです。

          
          入り口の4人の痛がっている人の彫刻。歯・頭・胃・耳を痛がって
          おり、議員達に健康管理を促すという意味で作られているそうです。

 まず最初に案内されるのが2階にある本会議場です。傍聴席に座り、内装などの説明を受けました。天井の石膏のレリーフが美しく、正面の反対側には4つの身分を代表するという彫刻があります。席は一般席、報道関係者席、そして10月の年度始めの国会に必ず参加しなくてはならないという女王の座るスペース(椅子は取り外されてありました)があります。ここで誰でも気軽に国会を傍聴できるのだそうです。

          

 私がここで一番なるほどと思ったのは、正面の電光掲示板とそれにつながる各議席の機械です。機械には3つのボタンがあり、緑のライトがついているものが賛成、赤が不賛成、そして黄色が棄権という投票になります。そして即座に投票結果が判明するというわけですが、どうして日本はもっと議員数が多いのに、こうした投票の機械化が行われていないのかなと不思議に思ったのでした。もっともこれでは牛歩などという戦術も使えなくなりますが・・・。

          

 本会議場の見学の後、会議場を出て、今度はもうひとつの小さめの会議場に向かいます。その途中で、デンマークの4つの憲法が展示されてあります。廊下には窓側がいくつも小部屋のように作られており、誰でも気軽に座って話し込むことができる雰囲気でした。ドアもないその作りが、私にはなんだか「ちょっと話しましょうよ」というような、とても開かれた民主的な感じがして、いいなあと思いました。また、もうひとつの会議場が使われていないときには、政治的な目的であれば誰でも借りることができるそうです。 

          
          1953年のデンマーク憲法

 いくつか面白いエピソードを聞いたので、また「その2」に書きたいと思います。

社会民主党の活動 in フリマ

2008-08-24 08:48:38 | デンマーク 政治・歴史関係
 
 夫の実家のあるバレラップでの毎年の夏の恒例行事、カマフェスティバル(フリーマーケット)が今年も4日間開催され、私達も行ってきました。これは使ったものを売るフリーマーケットがメインですが、そのほかにも新鮮な野菜や果物、サラミを売っていたり、マッサージのお店が出ていたり、自分で詰めるキャンディショップなどが出店されています。レストランやパブも大きなテントで出店され、夕方以降にはライブが行われますし、移動型の遊園地もけっこうたくさんのアトラクションで設置されています。車も停め放題で、こんなに広大なフリーに使える芝生の土地があることをうらやましく思うばかりです。

 さて一昨年でしたか、前回に来たときにはこのフリーマーケットの中にポルノショップの出店があったことに驚き、笑ってしまったものですが、今回は新たに社会民主党のブースを発見、デンマークにおける政治の身近さをちょっと感じることができて、とても興味深かったです。

 社会民主党 Socialdemokraterne は、1945年以来、デンマークの政治に最も影響を与えてきました。2001年の選挙で政権を失いましたが、現在もデンマーク第2の政党です。

 ブースは全体に党のカラーである、ややスモーキーな赤で統一されて、入り口には党首のヘレ・トーニング・スミットの布製のポスターと党の旗がはためいています。そして左側には缶が3段に詰まれ、そばに「政権を倒せ」という張り紙がしてあります。その政権に見立てた缶に向かって、思い切りボールを投げようというもので、シンプルながら、ちょっとおかしくて笑ってしまいました。ショウミーはもちろんやりたがり、見事、命中!政権を倒したご褒美に「社会民主党キャンディ」をもらいました。

          
          3段の缶が詰まれています。

          
          社会民主党キャンディ。中味は1種類はラクリスでした・・・(やはり)。

 そしてブースの右側にはパンフレットや本、子ども用のぬりえが置いてありました。感心したのは、これらがとても地元密着型なのです。パンフレットは3-4種類あり、ひとつは「何かしてみよう(主張してみよう)」というタイトルで、入党をするとこういうことができますという具体的ないくつかのことなどが書かれ、入党の申込書がついています。次に「ファーストクラスの健康をすべての人に」というパンフレットで、迅速に対応できる医療をという党の方針が書かれており、これも入党の申込書がついています。そしてもうひとつが毎月出されている地元密着型の「報告リポート」です。このパンフレットはバレラップを含めて3つの町向けに構成されており、各地域のリーダーやメンバーらの寄稿、「コペンハーゲン市庁舎を見学に行きました」などというようなリポート、党の出した新しい方針や法案についての説明、地元でのコムーネの政治家たちや、社会民主党の活動グループの紹介、今月の予定(党首に会おう、地元ミーティングなど)など16ページの構成となっています。

 また本は「De stred sig frem(彼らは苦労して前に進んだ、というような意)」というタイトルで、1892年から1945年あたりまでの社会民主党とバレラップの歴史が書かれています。160ページほどの本で、中には写真も多用されており、党の歴史とともにバレラップにおける詳細について丁寧に書かれています。こういった本をまとめあげるのはすごいことだと思います。もともとバレラップは社会民主党が強いようですが(市長も社会民主党)、それにしてもこの本に費やされたエネルギーの大きさと思いの大きさに、感銘を受けました。こうした本が地域への愛着や地域の政治への関心を促すことでしょう。

 私たちがこれらの印刷物をぱらぱらと見ていたら、中からバレラップのリーダーという方が出てきて、名刺をくれて、少し話をしました。いつでも、何でも聞いてねと言ってくれたのですが、本当に気軽に聞いていい雰囲気でした。(日本で政治に携わる人が、こういう気軽さを持ち合わせているのかな?と改めて考えさせられます。)

 こうしたフリーマーケット会場に気軽にブースを出すこと、開かれており、誰でも気楽に立ち寄れること、いろいろと工夫をこらしながら、足元から人々を巻き込んでいこうという姿勢が、私にはとても新鮮に感じられました。パンフレットもできるだけシンプルにわかりやすく書かれており、その平易な言葉こそは人に何かを伝えやすいものだと思います。選挙中は駅などでいろいろ配ったりという活動などもあるそうですが、普段からのこうした「開かれた」雰囲気、誰でも気軽に意見を言えるような場の提供などが、人々が自分が政治に「影響できる」ことを認識させ、これがデンマークの政治を大きく支えているのかなと思いました。日本とデンマークの投票率の違い(2007年総選挙の投票率は86.53%)に出てきているのかもしれません。
          
           移動型遊園地のバンジー?ジャンプで

デンマーク式育児

2008-08-21 07:29:58 | デンマーク人
 デンマーク式育児として、冬のさなかベビーカーを外に出して昼寝をさせる(もちろん防寒はしっかりしますが)とか、自立心を養うだとか、日本人に比べておしゃぶりを多用するとかいろいろありますが、今回は特に「キレない育児」について考えさせられました。

 日本人は自分の子どもに対して、怒ったり、怒鳴ったり、ぶったりすることがよくあります。私自身、キレない日はないほど、怒りまくっています。でもデンマーク人は、友人たち曰く、「諭す」育児だそうで、そう聞いてから観察していると、なるほどその通りの育児です。

 まずデンマーク人には、頭ごなしでということがありません。子どもが何かしたくないと言った場合、「いいからやりなさい!」ではなく、「こういうわけだから、必要なの、だからやりましょう」ということになります。子どもが悪いことをした場合も同様です。ほとんど罵声を浴びせている私と打って変わって、彼らは「今のはこうだったから、こういうふうに悪いことになってしまうでしょう。これからはこういうふうにするのはやめましょうね」と冷静に説明します。これは、はじめから相手を小さくてもひとつの人格と認めたやり方だと思います。

 そしてデンマークでは親から子どもへの暴力が、法律で禁止されています。行き過ぎた虐待を防ぐためだと思いますが、デンマークで子どもをぶつのを目撃されると、親が逮捕されることがありますので、私もデンマークでは外では決してぶたないように気をつけています。こうした規制が、親をより「キレない」状態にしているのでしょう。キレる→力任せにおしりなどをたたく→子どもが泣く→とりあえず子どもが謝る→気が済んだところで親が許すという構図ではなく、キレない→ぶたずにひたすら耐えて、子どもに説明をする→子どもが理解する、という構図になります。

 よく見てみると、デンマークの大人達は決してキレることがありません。内輪では感情的になることもあるのでしょうが、いつも冷静沈着、育児に対してもそうですし、夫婦の中でもそう見えます。日本人だと友人の前でも夫婦のちょっとしたこぜりあいというのをときどき見かけますが(うちもだけど)、デンマーク人がそういうことをしているのに、まだ私は遭遇したことがありません。

 また友人に聞いた話ですが、この前の8週間にもわたる、保育士や看護士のストライキにも、皆、さして大きな不満も言わず、冷静に対応していたということです。日本だったら、毎日、ワイドショーで取り上げられて、キャスターやコメンテーターが扇動し、日本中大騒ぎになっていたことでしょう。親達もそれこそ怒りまくってしまうのではないでしょうか?冷静さ、クールさは一方で、冷たさや極端な個人主義の表れかなとも思うのですが、やはりこれもよい面であり、悪い面でもあるのでしょう。

 デンマーク式育児に話を戻しましょう。こんこんと説明している彼らは本当に辛抱強いと思いますが、さて、このように説明して育てると、冷静な大人ができあがるのでしょうか?そのほうが落ち着いた、穏やかな大人ができあがるのでしょうか?また子どものほうから見れば、頭ごなしに怒られるよりも、もっと心に刻み込まれるのでしょうか?また「やめなさい」と言われても、やはり子どもはほとんど親を無視してやめなかったりします。これに対して、日本人はやめるまであきらめずに子どもに詰め寄っていきますが、デンマーク人は途中であきらめて、やめなくてもスルーすることも多そうで、実際どうしているのかなと疑問に思います。このあたりはまた次回、観察してみたいところですが、この育児における冷静さ=理性は、彼らのすべてに共通するキーワードのひとつかもしれません。

 デンマークも夫が小さい頃は、親にぶたれるのは当たり前のことだったようです。ここ20~30年でデンマーク社会が大きく様変わりしている中で、育児についてもある意味、洗練され、理性的になってきたのかもしれません。

 でも私はどうしても感情をストレートに表し、頭ごなしに怒鳴りつける、昔の恐い親父式の育児になってしまいます・・・。親子が感情的になってぶつかり合うというのが、身体にしみこんでしまっているのかな?この違いはそれぞれの国の自分の子どもへの考え方の違いかもしれませんね(日本人は関与型、デンマーク人は個人主義型でしょうか?)。よしあしは別として、育児はその人がいいと思った通りにやるしかないとは思いますので、デンマーク人の育児を念頭には置きつつ、感情型育児で行くしかなさそうです、私は・・・。
 

本屋めぐり

2008-08-18 15:58:44 | デンマークの家具・物・たべもの
 卒業論文のために少々本が必要であり、今回の旅行の目的のひとつが本屋めぐりでした。が、本屋さんに行ってみて気づいたのが、「自分で本が探せない・・・!」。デンマーク語力が限りなくゼロに近い私、辞書を持っていけば探せるけれど、それにはあまりに時間がかかりすぎるので、やむなくここは100歩譲って夫に頼むことになりました。

 でもそれが意外と楽しい時間となりました。何も予定のないある日の朝、インターネット環境がないので、夫が古典的に電話帳でコペンハーゲンの本屋さんを調べました。地図上でマーキングして、いざ出発。チボリと聖母教会Vor Frue Kirkeの間にも本屋さんや古本屋さんが何軒もあるエリアです。

 新聞社のポリチケン社のビルに併設された本屋さん。さすが新聞社というような豊富な本、政治経済関係も充実、またポリチケンから出版されたさまざまな本が揃っています。古本屋さんも何軒か初めて入りました。ちょっとそこは神保町の古本屋の香りのする、比較的新しい本からやや黄ばんだ古い本まで所狭しと積まれてある感じでした。大学生がテキストとして使った本とおぼしいものにはたくさんの書き込みがあったりして、タイムスリップしてしまうような本屋さんでした。中にはスピリチュアル専門の本屋さんや、地図専門の本屋さん、ちょっと別のところでしたが、お料理専門の本やさんなどもあったりして、面白かったです。中でも私が気に入ったのが、ATHENEUM BOGHANDEL(Norregade 6,http://www.atheneum.dk/)です。そんなに大きくはないのですが、ベストセラーだけでなく意外といろいろな本がぎっしり詰まっていて、いろいろな世界を紹介してくれるタイプの本屋さんのように見えました。デンマーク語ができたらどんなに楽しいかと思わせてくれる本屋です。

          
          聖母教会近くにあるブックカフェ。
          ちょっとNYっぽい。

 また毎回フリーマーケットにも行くのですが、今回はそこでも古い本をいろいろ見てみました。なかなかこれと思う本は見つかりませんでしたが、今回の掘り出し物は辞書!現在出ているGyldendal社のものはとても重く、持ち運びにすごく不便です。が、フリマで発見した78年のものは、サイズも厚みも今のよりも全然こじんまりとしており、重くありません。しかも値段は20クローナ(450円)!まあ、言葉は変わるものとはいえ、基本的な言葉まで変わらないでしょうから、少々古くても大丈夫でしょう。

 旅行で行ったスケーエンでも本屋さんへ。また今度書きたいと思っていますが、スケーエンの面白い地形について私達はとても興味を持ちました。そして地元のスケーエンだからこそ、そういう関係の本が豊富に揃っていて、その地方地方の本屋さんも楽しいものだなと思いました。

 スケーエンでは泊まったAlbeakという町に、大きな倉庫を使った無人の古本屋さんを発見しました。すごくかわいい倉庫で、大まかに本の値段が決められており、小さな金庫にお金を入れて置くようになっています。そこで見つけたのが1800年代の本数冊。1930年代だったかの風刺画の本などもあったりして、よく意味はわからないけれど、面白かったり。なんだか意外とすごい本がある、不思議な本屋でした。そこでも「デンマークはこうやってできている」という小・中学生向けくらいの写真入の本や(子どもと私のため)、教会の空から撮影した写真集なんぞを夫が気に入って購入しましたが。

          
          Albaekの海のすぐ近くにある自由な雰囲気をかもし出す古本屋さん

 そして日本に帰る間際になり、友人が紹介してくれた、まさに今の私に必要なのはこれでしょ!という本2冊。もう本当に帰国が迫っていたので、無理やりお願いして、その本を譲ってもらったのでした。彼女によるとデンマークでは本はインターネットで検索して買うことが多いとか・・・。なんだ、そうだったのね。もっと早くそうと知っていれば、もっと手っ取り早く必要な本にたどりついたのかもしれません。

 まあ、でも夫との本の探検は意外とわくわく楽しかったので、よしとしましょう。ネットもよいけれど、あれやこれやパラパラとページをめくる楽しみは、やはり本屋さんならではのものですものね。夫も最近歴史などに興味を持っていて、とても楽しかったようです。そして2人で子ども達のためのよさそうな本を見つけたりすると、大喜びしたりしていました。

 しかし悔しいのは、私のためと思って買ってきた本を、夫がさっさと読み始めていること。面白い、面白いと笑顔で言いつつ、どんどん読み進めていく夫を横目に、デンマーク人はデンマーク語ができるからいいわよね、と妙な嫉妬が広がっていくのでした・・・。

今回のコペンハーゲンの印象

2008-08-18 12:03:13 | デンマークについて

 私が初めてデンマークに行ったのが2000年のクリスマスでした。そのときから比べるとだいぶコペンハーゲンが変わってきたような印象があります。

 まず女性達の服装がかなり変わってきたように思いました。一言で言えば、だいぶヨーロッパらしくなってきた、とでも言うのでしょうか?ユニセックスな服装も相変わらずでもありますが、一方で若い女性は南ヨーロッパの影響か、とてもおしゃれになってきたように思います。自由に服を着て、着ることを楽しんでいるように見えました。若い人は違うと思いますが、私の年齢くらいになると、どうしても「常識的に見える」服を着ることを日本人は考えがちだと思うので、ちょっとデンマーク人の服の自由な着方をいいなと思ってしまいました。

 かわいい子供服やさんもあちこちで目につきます。日本の子供服にはない、明るい彩りや楽しさがいっぱいの服が目立ちます。

          

 そしてもっと変化したように思うのが、食です。もともと食生活の幅が狭く、レストラン文化もないデンマークですが、今回飛躍的にレストランの種類が増えたように感じました。以前からあるイタリアンやチャイニーズ、タイなどのレストランに加え、メキシカンやアジアの各国料理、スペイン料理、などどんどん増えてきています。

 ストロイエにあるレストランは、手軽な料金でとてもおいしいというレストランは見つけられませんでしたが、ちょっと入ったところなどに、安くてボリュームもあっておいしい!というお店がときどき見つかりました。今回、ギリシャ料理の49クローナで食べ放題というレストランに入りましたが(SAMOS Skindergade 29)、お店の雰囲気もまあまあ、そしてこの安さのわりにちゃんとおいしかったです(特にギリシャのミートボールが絶品でした。ミートボールはあちこちでお国柄の出る味で存在しているので、食べ比べるととても面白いですね)。ちなみにニューハウンの近くのレストラン、Restaurant Zeleste(Store Strandstraed 6)は以前友人にお茶に連れて行ってもらったことがあるのですが、今回ランチに行ってみました。こちらは安くはありませんが、生のサーモンを和のテイストを取り入れた味付けで食べられ(本当は何で味付けされているのかわかりませんがそんな味がしました)、またお店の雰囲気もよく、ニューハウンで食べるのなら、横道に入ったこちらのほうがちょっと落ち着いて食べられました。

 そしてここ何年かで、ぐっと増えたのがエコロジーマークの食品です。スーパーに行くとよくそのマークの入った食品を見ます。(ジュースでエコロジーマークの入ったNaturenes Spisekammer社のものはとてもおいしかったです。)デンマーク人もやはり非常にヘルシー志向が高まっているように見え、いつもの友人宅に招かれてもライトミールに切り替えたり、クスクスなどのサラダを作ってくれたり、とこぞってヘルシーな食卓へと変化しています。まあ、これは中年を迎えての単なる胃のもたれなどからの変化かもしれませんけれどもね・・・。

          

 デンマークでは2007年4月から公共の屋内では禁煙となっています。これはいつから設置されたのかはわかりませんが、初めて見たたばこのアートです。これも健康をうながす目的で設置されているのかな? このレストランでの禁煙などは大きな進歩ですが、デンマーク人も喫煙者が多く、禁止されていない路上での喫煙や遊園地内などでも歩きながらの喫煙などが、相変わらず行われています。
 
 最後に夫がびっくりしていたのが、観光客の増加です。私もなんとなく増えたように思うのですが、夫はこんなに観光客が来るのは驚いた、外国人だらけだ、と言って目を丸くしていました。デンマークはすずしい夏なので、それを目指して来る人も多いのでしょうか?確かにデンマークの夏は、天気さえよければ最高の気持ちよさだと私も思います。

          

          今回自由博物館の後ろに発見したカフェ。
          芝生が広がり、大人がお茶をしながら子どもを遊ばせられそうです。
          次回、絶対ここでお茶をしなくちゃ!

 

デンマークから戻ってきました。

2008-08-13 00:52:44 | 日記
            
        

 先週の木曜日、無事にデンマークから帰ってきました。今年のデンマークの夏は「よい夏」、つまりちゃんと夏らしい夏で、最初と最後の幾日かの急な雨や急な冷え込みもありましたが、北欧の日差し、澄んだ青空、気持ちのよい風を堪能してきました。当たり年のデンマークの夏の気候はやはりすばらしく、帰りたくなかったです。
 
 今回は間に1週間スケーエンへの旅行をはさみ、前後はショウミーの誕生日があったり、友人達との時間を楽しんだり、コペンハーゲンで本屋めぐりや観光などをしたりでしたが、いつも通り、あっという間の3週間でした。

 去年の4-5月に行ったときには、あちこちに行ったことをブログにほとんどアップできなかったので、今年こそはしっかり書きたいと思っています。いろいろと思ったことや感じたことを書いておかないと、自分でも忘れてしまうので・・・。

 と思いつつ、3週間も空けていると家もかなりやることがたまっているし、子ども達は友達と会えないストレスから荒れているし、しかもショウミーは戻ってから毎晩ファーモアに会いたいと大泣き・・・。ショウミーは普段はそう見えないのだけど、実はものすごーーーーくセンシティブで寂しがりやのところがあり、デンマークを発つ数日前からもう泣く始末。当日は悲しすぎてファーモアにさよならもきちんと言えず、日本に戻ってからは毎晩本当に大泣きで、私としても思いつく限りのことを言っても泣き止まず、一度寝てもすぐに泣いて来て起こされたりして、ほとほと困ってしまっていました。でも今日、寝るときに足や背中のマッサージをしてあげたら、なんと泣き止んだ!こういう心がしめつけられるような悲しいときには、言葉よりもマッサージのほうが癒されるのかもしれません。(そういえば夜泣きの赤ちゃんにベビーマッサージとかあったっけ。私も確かにマッサージに行くと心までほんわかしてきます。)これで少し落ち着いてくれるといいなと思います。

 すっかり遊びほうけて、いろいろと何だったっけ?という感じでしたが、昨日、これからの学習プランをしてみました。どうしても歯がたたなそうな経済学原論が入学以来ずっと頭の痛い存在でしたが、やはり一人での学習ではどうしようもないと判断し、この秋のスクーリングに行こうと決めました。スクーリングに行けば、わかりやすく先生が教えてくれるし(それでもわからないだろうけど)、テストも範囲が限定されて受かる確率が上がるはずです。が、スケジュールを見ると19日までにリポートを2通出さなくてはならず、今日から早速取り掛かっています。テキストを読んでも読んでも理解できず、どうしようと実は今、追い詰められた嫌な気分です。これですっかりデンマークでの清々しく楽しい気分は吹き飛び、おかげさまで、日本モードに切り替わりましたが・・・。

 経済学原論のストレス解消に、また明日もブログを書けらたいいなと思っています。