デンマーク・ハーフキッズ

デンマークについての情報やニュースを紹介、またデンマーク人と日本人のハーフの子供たちの子育て日記。

デンマーク・フレゼリク王太子の訪日

2011-06-18 00:52:19 | デンマーク・ニュース
 引き続き、日本のメルビン・デンマーク大使とデンマーク大使館の震災に関するさまざまな活動ぶりは素晴らしく、今週ののデンマークのフレゼリク王太子(日本の報道では、フレデリック皇太子となっています)訪日を中心にご紹介したいと思います。

 6月13日から16日までフレゼリク王太子が訪日されていましたが、その目的は自らの被災地への訪問であり、今回の地震におけるメルビン大使の東松島市訪問に触発されて、フレゼリク王太子も自ら何か自分もできることをしたいと今回の訪日に至ったそうです。

 スケジュールは13日に自衛隊訪問、松本防災担当大臣や一部のNGOや企業、また個人活動家の方などとプライベートな会合に出席、そして天皇・皇后両陛下からの歓迎の夕食会がなされました。翌14日には東松島市を訪問。フレゼリク王太子からデンマーク企業からの義援金として2200万円が渡され、子ども達とともに給食を食べたそうです。私が見た映像では王太子(や大使館のスタッフの方、そして大使夫人までも!)が子ども達とサッカーに興じていたり、幼稚園を訪問してレゴやアイロンビーズなどのプレゼントをしていました。15日には日産訪問、また再生可能なエネルギーソリューションのセミナーにサムソ島エネルギーアカデミーのサーン・ハマセン氏らと共に参加、また風力発電関係で東京湾を訪れてます。そしてその日は日本在住のデンマーク人が招かれたレセプションが夜、行われました(残念ながら私達は伺えませんでしたが)。

 読売新聞の報道によると、フレゼリク王太子は「欧州では日本旅行は危ないという見方が 広がっているが、危険ではないと示したかった。遊覧船から見た松島の自然は素晴らしく、 東北地方にとって観光が重要だとよく分かった」と語り、また福島第一原発の事故で関心が高まる自然エネルギーについて、「再生可能エネルギーの ノウハウについて日本と協力する用意がある」と、デンマークが推進する風力発電などでの技術協力に意欲を示したそうです。

 ロイヤルファミリーで日本にお見舞いに来たのはこのフレゼリク王太子が初めてだそうで、まるで普通のビジネスマンのようなある種の気軽さで、一国の第一王位継承者が海外の被災地を見舞うところに、デンマーク人の決断力や行動力をいつものように見た気がしました。いまだに義援金を分配できない政府や日本赤十字と比べて、これまでのメルビン大使や今回のフレゼリク王太子の行動は、清々しく感じます。一方で、これを機にエネルギーのシフトを行おうという動きの現在、すかさず自国の風力エネルギーをお勧めしてくるあたり、外交というところも見せてもらった気がします。それもまた、本当に日本人の将来のことを考えた上でのお勧めと、私は受け取れますが。(余談ですが、唯一原爆を経験した日本が、これまで原子力発電を受け入れ、今回の放射能漏れでドイツやイタリアが原発廃止にさっさとシフトしている中、まだ原発を継続していいんじゃないかという人がいるのは不思議です...。)

 さて、最後に今回のフレゼリク王太子の訪日の、日本側の報道がまた日本らしいものでした。フレゼリク王太子がどのような気持ちなのかとか、エネルギーの話を聞きたいとかそういった観点からの報道のされかたではなく、すっかり「イケメン王子」という芸能ニュース系の取り上げられ方になっていました。「かっこいいですねぇー」という司会者女性、そして、訳のわからないことに「世界のイケメン独身王子ベスト5!」なんていうのを見せてくれた番組制作者・・・。震災という土台での訪問を明るく報道するのはもちろんいいのですが、そうした土台を忘れて、イケメン、イケメンと騒ぐのはちょっと軽々しい報道ではありませんか? 私が見た限り、デンマークでは、フレゼリク王太子が被災者をお見舞いしました、とごく真面目に扱っていましたよ...。

デンマーク首相交代

2009-04-09 16:21:13 | デンマーク・ニュース


 かねてから報道されていた通り、4月5日に北大西洋条約機構(NATO)の事務総長にデンマーク首相のアナス・フォー・ラスムセンが選出され、首相を辞任しました。後任には自由党(左翼党)の副党首(財務相も兼任)のラース・リュッケ(ルーケ)・ラスムセンが選出されました。

 ここにいたるまでにトルコのデンマーク首相の事務総長就任への反対票などもありましたが(就任には全員一致でなければならない)、最終的にオバマ大統領などの調整により、アナス・フォー・ラスムセンが就任することになったそうです。彼は以前EUの議長国なども努めた経験があり、そういった経験ももしかしたら買われてのことかもしれません。

 今回の就任劇で思ったのは、ひとつはトルコという国の微妙な位置関係について、そしてもうひとつはデンマークの身軽さです。トルコについてはあまり深いことは言えませんが、いったいトルコがどこに身を置くのか、どこを定位置にするのかというのが、国内外双方において微妙なのだと思います。ケースバイケースとは言いすぎですが、言ってみれば国内外のいろいろな顔を立てなくてはならないというのがトルコの難しい立場なのではないかと思います。

 そしてデンマークが首相を喜んでNATOに送り出したこと、これに正直私はびっくりしました。兼ねてから3期目となる首相の今後についての話も取りざたされてはいたようですが、もしこれが日本だったら、現首相が国際機関における事務総長へ転職することなどあるだろうか?と考えてしまいます。

 日本人はあまり国際舞台で活躍していないなどと聞きますが、国際舞台がまだまだ日本人には遠い気がします。そこに行くと、ヨーロッパの国は国際舞台がすぐそこにあり、もっと身軽に、もっとごく普通の感覚で出て行けるのかもしれません。

 さてさて、その新しい首相ですが、なんと44歳!デンマークでは政治的な活動が若いうちから始まる人が多いようですが、それにしても若い首相です。44歳でひとつの国を背負うのはどういうものなのでしょうね。(44歳はすでにそれができる年齢なのかと思うと、近い年齢の自分に愕然としてみたりします・・・。)余談ですが、ひとつの国どころか世界を背負うオバマ大統領もまだ48歳。本当にいろいろな意味ですごい人物だと思ってしまいました。

 

「民主主義 デンマーク風刺画事件を追って」

2008-01-09 23:35:20 | デンマーク・ニュース
 NHKの33カ国共同制作番組「民主主義」の中で、デンマークの風刺画問題のドキュメンタリー番組が放送されました。あらゆる角度から民主主義を問うという主旨の番組でしたが、このデンマークについての番組は個人的に特に興味深く見ました。

 このブログの中でも風刺画問題を以前書きましたが、この番組を見て、思いを深くした部分、認識を新たにした部分がありましたので書いてみたいと思います。

 まずはじめに、番組の中で「デンマーク社会におけるアラブへの嫌悪感が問題だ」というムスリム側の意見に、私は深く納得してしまいました。これは何もデンマークに限ったことではないと思いますが、私達西側の人々はアラブに嫌悪感を抱いているというのは決して言い過ぎではないように思います。嫌っている人には自分も嫌われる、というのが人の常だと思いますが、こうしたことがアラブ対欧米という図式の中でもあるのではないでしょうか。もちろん、自分を正しいと思うことは自然であり悪くないのですが、相手を間違っている、悪い、おかしい、と決めつけているのではないか、果たして私達はアラブ社会をどれだけ理解しているだろうかと思いました。

 また同じくムスリムの指導者の一人が、「われわれのやり方が最も正しいのだ、自由と言うが本当の自由は存在しない。信号が赤なら止まらなくてはならない」というようなことを言っており、これもあながち間違った意見とは思えませんでした。私自身、今、民主主義の定義がわからなくなってしまっていますし、日本に民主主義があるのか、自由があるのかと聞かれたら、ないかもしれないと思ってしまいます。ムスリムの世界の女性差別については認められませんし、アラブの国々には一般に民主的ではなく、それは受け入れがたいことではありますが、かといってすべてアラブの考え方が間違っているとは言い切れないとも思います。ここでいう、何が正しく、何が間違っているかはやはり個人差や文化の差なのだと思いました。

 そういった民主主義、報道の自由、表現の自由を標榜しているデンマークと、ムスリム国家は互いに触れてはいけない、アンタッチャブルな存在なのだというのが、番組を見て私は改めて認識することとなりました。文字をメインに報道を追っていましたが、今回映像で当時のデモや大使館への放火、国旗への放火、当時の登場人物たちなどを見て、事態は私が想像していたよりも重いものでした。

 個人間でも同じですが、自分とどうしてみても合わない人とはつきあわない、関係しないに越したことはありません。程よく互いに距離を置くことが一番よいと思います。同じ国土の中でそれを強いられているデンマーク国民の努力は大きく、それについては本当に評価されるべきと思いますが、今回の風刺画については相手の領域に土足で入り、合わないのがわかっているにも関わらず挑発をしたことだったのではないでしょうか。触れてはいけないことに触れた、それは挑発だったとしか思えません。そして善悪の決着などつけられない価値観の問題であるのに、こうした行動を取ったデンマーク人を、私は非常に子どもっぽく思えてなりませんでした。もちろんここに至るまでの彼らのフラストレーションは加味しなくてはいけませんが、それでも最終的には彼らの態度を子どもの喧嘩のように思ってしまいました。日本でも個人としては挑発的な発言をする政治家もしばしばいますが、デンマークでは反対意見もあったにせよ、結果として国を挙げて、というあたりに正直驚いています。

 それとも私が、相容れないイデオロギーを少なくとも受け入れようとしていたデンマークを理解していなくて、子どもっぽい意見を言っているのかもしれないと思いつつ、以上、私の見解を書いてみました。

 同時に、息子を2人殺されたというムスリムの活動家が、その殺された息子の写真を見せるシーンを見て、そもそも平和な日本に住んでいる私がムスリム人に意見する資格などないのではないかとも一瞬、思いました。私の考えている民主主義やら、イデオロギーや価値観などは、そもそもすべて甘い認識なのだろうなと思わざるを得ないシーンでした。

 また初めて元ユランズ・ポステンのフレミング・ローズのインタビュー映像を見て、この人は本当に渦中で怖かっただろうなと思いました。ここまで広がるとは予想をしていなかったことだったでしょう。そういう意味では、彼は勇気を持って、原論の自由とは何かを示したことは確かな事実だと思いました。その見返りも含めて。

デンマーク人のやりそうなこと!

2007-08-18 07:13:46 | デンマーク・ニュース
 先日の新聞記事で、ミャンマーの軍事政権を暗に非難する広告を、デンマーク人芸術家のグループが出したというものがありました。

 7月23日付のミャンマー・タイムズという新聞に掲載された広告で、内容は北欧の人々にミャンマー旅行を呼びかけるといったもの。そしてデンマークの広告主の名前が問題で、Ewhsnahtrellikと書いてありました。これは逆から読むと、Killer than shweとなり、ミャンマーの民主化運動を弾圧してきた、軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長を名指しした非難です。

 そしてデンマークの古詩というふれこみで載った、その広告内の一節の頭文字をつなげるとfreedomとなるそうです。

 この芸術家グループの一人は「最悪の体制のもとでも、検閲をくぐり抜けて独裁者に打撃を与えられることを示したかった」と述べたそうです。

 なんともデンマーク人らしいなあと思いました。

 第二次世界大戦下のドイツ軍工場に対するサボタージュ、地下新聞の発行、そういった精神が、今でもデンマーク人のマスコミや表現者の中に強く根付いているのでしょうか。今年のはじめに問題になった風刺画問題もそうですが、何かにレジストすること、それを表現すること、このあたりにデンマーク人はどうも誇りを持っているようです。もちろん笑えるうちはよいことではありますが、笑えないようなことはいけませんよね?どこまでが笑っていい範囲か、その判断が大切ということでしょう。

ワーキングホリデー制度

2007-08-16 14:25:13 | デンマーク・ニュース
 なんと今年の10月からデンマークと日本の間で、ワーキングホリデー制度が始まるそうです。びっくりしました。デンマーク・日本はロイヤルファミリーつながりがあること、デンマークの家具や食器の市場として日本は大きいことなどが背景としてあるのでしょうか。日本から見ると、社会や福祉のシステムに興味があるからでしょうか。そんなにびっくりする必要もないのでしょうけど、とにかく思いがけない、私にとっては嬉しいニュースです。

 これでハーフのうちの子どもたちが将来デンマークに滞在したいときに、その時点で日本国籍を選択していても、ビザが取りやすくなったのではないかと思います。年齢制限が何歳までかわからないのですが、最近は30歳までと伸びる傾向があるようですので、21歳で日本国籍を選択したあとも、だいぶ猶予ができそうです。(本当はハーフの子どもたちがひとつの国籍を選択するのではなく、ダブルで国籍を保持できるともっとよいのですが。)21歳はまだ学生の年齢です。学業を終えた後に、何がしかの経験をデンマークで得たいと彼らが考えたときに、その手立てがあるということはとにかく幸運なことです。

 もちろんハーフの子どもたちだけでなく、日本人の子どもたちもデンマークへの道が開けたわけで、それが将来両国にとってどんな影響があるのか、楽しみでもあります。

 最近、私が勉強するようになって、私の子どもたちの将来に対する気持ちに少々変化が出てきました。以前は親として、大学に行かせてあげたい、その費用を出してあげたい、留学もさせてあげたい、などとサポートすることを考えていました。でも最近はそんなにやっきになって、サポートしなくてもいいのではないか、そういう親の考え方が逆に子どもに受身の姿勢を作ってしまうのではないかと思うようになってきました。

 サポートしなければ、子どもは自分で何とかするしかなく、そのとき初めて真剣に自分の目の前の目標や将来について考えるように思います。自分で手段を作り出す、そのくらいの情熱がなければ、大学に行っても何を学べるというのでしょうか、というのは厳しすぎるかしら? このあたり、親としては子どもに苦労させたくないなあという気持ちもやはりあり、今後迷うところかもしれません。実際、デンマーク人の子どもであった夫も、それなりに自分の進路について選択をしてきたけれど、やっぱり学生時代はまったく受け身だったと言うところをみると、どう育てても子どもは未熟で受け身になる傾向が強いのかなとも思ってしまいますが。

 ただ、子どもが自らやる気を出したときにものすごくその子どもが伸びるだろうこと、そしてそういう子どもの気持ちをサポートするような制度が整うこと、それがとてもよいことだと思います。今回のワーキングホリデー制度のニュースを、明るい期待を持って読みました。

アレクサンドラ元妃の再婚

2007-03-08 18:25:26 | デンマーク・ニュース
 日本の新聞でも報道されていましたが、デンマークのアレクサンドラ元妃(42)が3月3日、コペンハーゲンから約一時間の郊外の町ファクサのØster Egede教会で、カメラマンのマーチン・ヨアンセン氏と結婚式を挙げました。

 これによって彼女は正式に王室を離脱、離婚後に国が至急してきた年間手当約190万クローナ(約3800万円)への免税特権を失い、税率の高いデンマークのこと、このうち約7割を税金として徴収されます。(昨日見たテレビだとダイアナ元妃は離婚にあたっての手当を22億円もらったとのこと。生涯分とはいえ、イギリスと比較するとデンマークの元妃はつつましやかに見えます。あるいは夫に王位継承権があるかないかも関係するのかもしれませんが。)

 アレクサンドラはアレックスと愛称で呼ばれ、デンマーク国民に非常に愛されているようです。長男のフレデリック王子が結婚してからは、その妻メアリーとどちらが人気があるのかわからないのですが、とにかく離婚後もアレクサンドラは人気者、マスコミの注目の的です。今回の彼女の鮮やかな選択は、お相手が14歳下の普通の青年であることも含めて、私は驚きとともに「選ばれた人」だなあと感じました。才色兼備な彼女はこうして凛として潔い人生を歩んでいくのでしょうか。

 さて今回の結婚ですが、最後に私が非常にデンマークらしいなと思ったエピソードがありました。この結婚式に元夫であるヨアキム王子も実は呼ばれていたそうです。しかし彼が出席となると注目を集めてしまうことから、出席を辞退したのだそう・・・。気の利いた王子だと思うと同時に、デンマークらしいドライさだと思ったのでした。

デンマーク人度のテスト

2007-03-05 07:41:59 | デンマーク・ニュース
 いよいよ5月からデンマーク統合省(インテグレーションミニストリー)の外国人への「デンマーク人度のテスト」が始まるということで、内容が明らかにされました。市民権を得るために、すでに行われているデンマーク語のテストに加え、このテストにパスしないといけません。

 60分間で11のエリアから35問出題され、28問正解すると合格。落ちても再試験が受けられますが、それは800クローナ(約16000円)かかるそうです。かなり高いですね。またデンマーク人にもやや難しい試験で、試験を受けたデンマーク人によると歴史の問題が多いそうです。

 インターネット上で200の問題が出ていて事前に勉強することができるようですが、実際の出題はすべてその中から行われるのかどうかはちょっとわかりませんでした。もしその中からだとしたら、かなりパスできる可能性が高くなるのでは?と思います。ただしデンマーク語ですから、そのテストにたどりつくまでが外国人にはまず長い道のりともいえますが・・・。

 こういうテストで計るのはどうかとも思いますが、外国人が他国に住むときにある種の敬意の表意というのは必要かもとも思ってしまいます。それが語学の習得への努力やその国を知ろうとする努力という形に表れるのではないかと思うのです。けれども、個人差のあるそういう「学習」をテストで計るのは・・・そういう時代になってしまったのかもしれません。

 

デンマーク首相来日

2006-11-22 21:03:56 | デンマーク・ニュース
・・・なのだそうですが、日本ではほとんど報道されていないようです。私が購読している新聞でもYahooのニュースでも取り上げておらず、検索してみたところ毎日新聞でのみ、記事があったようです。(もしかしたら他にもあるかもしれませんが。)

 昨日、ラスムセン首相と安倍首相が1時間強の会談が行われ、安倍首相としてはヨーロッパからの初めての首相レベルの訪問となりました。両国は科学や学生、ビジネスやテクノロジー面において、多大なる交流を図っていくことをアグリーしたそうです。

 日本の報道としては、
「安倍晋三首相は21日、デンマークのラスムセン首相と首相官邸で会談した。安倍首相は日本と北大西洋条約機構(NATO)との人的交流での関係を強化する考えを示し、ラスムセン首相も支持した。
 NATOと日本や豪州、ニュージーランドなど「域外国」との関係強化については、ラトビアのリガで28、29両日に開かれるNATOの首脳会合で議題になる予定。外務省によると、ここで関係強化について合意し、NATOのセミナーへの自衛官の参加やNATO幹部の来日などの交流を拡大させる考えという。
 また、安倍首相は会談で北朝鮮の「核、ミサイル、拉致」の三つの問題への協力を要請。ラスムセン首相は「6カ国協議を通じて政治的圧力を最大化することが国際社会のとるべきアプローチだ」と応じた。【西田進一郎】
(毎日新聞) - 11月22日9時59分更新」

とありましたが、デンマーク首相の目的は政治ではなくビジネスだったということで、このへんの思惑は少々温度差があったものの、両者がいい形でそれぞれの国民に報告できるようでよかったですね(?)。

 しかしながら、せっかく日本に来たにも関わらず、食事もなく短時間の会談だけだったという今回の訪問、何だったのかなあと不思議です。同じイラク駐屯仲間として、デンマークはアジアへの、日本はヨーロッパへの窓口という役割があるのでしょうか? この後、韓国に数日滞在する予定だそうですが、そちらがメインだったのかもしれません。

プリンセス・ダウマー

2006-10-03 23:12:22 | デンマーク・ニュース
 ロシアのアレクサンドル3世の妻であり、最後の皇帝であったニコライ2世の母であったデンマーク皇女ダウマー(ロシア名はマリヤ・フョードロヴナ)がロスキレ大聖堂から、生前彼女が希望していたというサンクトペテルブルグの夫の隣に埋葬し直されました。

 3年に及ぶ交渉ややりとりの結果、9月29日、デンマークからはフレデリック皇子とマリア皇太子妃、政府代表の外相ペー・スティ・ムラーの参列の中、ダウマーは無事に埋葬されたとのことです。

 さて、昨年、私達がロスキレ大聖堂を訪ねたときに、たくさんの花束が供えられ、人々が絶えず出入りしている一角がありました。最近どなたかが亡くなったのかしら?と思ったのですが、それがプリンセス・ダウマーの埋葬された部屋だったのでした。彼女の写真なども展示され、彼女がデンマーク人に今でも人気がある(あるいは注目を集めている)ことが見て取れました。

 夫にも聞いてみたのですが、なぜ彼女がそんなに人気があるのかはわかりません。彼女が美しかったからなのか、非常にドラマティックな人生だったのか、あるいは彼女にまつわるさまざまなストーリーがあるのか、と想像してみるのですが、その真相のほどはわからず、です。

 でも今回私が思ったのは、この人気のあるプリンセスが船で移送され再埋葬されたことをデンマーク人はどのように受け止めているのかなということでした。残念に思っているのかしら? でも個人主義のデンマーク、プリンセス・ダウマー自身がそう望んでいたのならその通りになるのが一番いい、と受け止めているのかもしれません。

世界一幸せな国、デンマーク

2006-08-11 01:53:24 | デンマーク・ニュース
 すでにご存知の方も多いかと思いますが、英国レスター大学の社会心理学分析の専門家、ホワイト教授がこのほど出した調査結果によると、世界一幸せな国はデンマークだそうです。(ちなみに日本は90位。)

 これは主観的な幸福殿調査ということで、最も重視されたのが健康、ついで豊かさ、そして教育という順序になっています。ここで面白いのは、1位デンマーク、2位スイス、3位オーストリア、4位アイスランド、と上位を小国が占めていることです。

 さて、なぜデンマークが世界一となるのか、ちょっと考えてみました。最初に思ったのは、デンマークは気候的にはあまり恵まれているとは言えず、しばしば悪天候の話題になったり、文句を言ったりするのが聞かれますが、意外とマイナス要素にはなっていないのですね。
 
 世界最高の、といわれる福祉国、さすがに健康面ではデンマーク人は満足していると見えます。(日本人から見ると不満に思う点はあるけれど。)豊かさに関しても、デンマークにはホームレスの人はいませんし、社会保障や失業保険などが行き届いており、この点は日本人から見て羨ましい限りだと思います。日本人のように定年時にいくら貯金があれば、老後の暮らしは大丈夫なのだろうか、などと心配する必要はありません。教育に関しても終始無料で受けられ、また教育期間中は国からお小遣いがもらえるなど、日本では考えられないようなサービスもあります。こういったそれぞれの点から見てみると、確かに世界一というのは納得のいくことかと思います。

 でもスウェーデンなどの北欧の国々も同じような状況ですし、どうしてデンマーク?という疑問が残ります。

 私が思うに、デンマーク人にとって何より幸福度の基準として大きいのが、「自分達で国を作っている」という感覚なのではないでしょうか。政治は、日本のように単なるトップダウン式で、民主主義ではあるけれど、参加しているという感覚がないのとは違い、市民一人一人が「自分の意見を反映できる」、という認識を持っていると思います。政治システムも、学校などの運営システムもできるだけ個人の意見を吸い上げられるような仕組みであるよう努力されています。
 
 またデンマークの近代史においては、市民の手で本当の民主主義を創り上げてきた軌跡が見られます。農業協同組合などを創り、意見を交わし、まとめ上げて、国に対して働きかけてきたのです。その後、いろいろな組合が発達し、また市民に最も近いコミューン(市)が個人に合わせたきめ細かいサービスを担当していますので、それだけ市民の声を反映しやすいことがあるようです。

 こういった国の国民は自国を誇りに思い、本当の愛国心を持っているのではないでしょうか。もちろんきれいごとだけではない別の面もあるのでしょうが、彼らの根底にある、自分達が国を作っているという意識が、この世界一という結果に結びついたように私は思わずにはいられませんでした。そしてそういった自国への誇りを持てることをとても羨ましく感じました。
 まあ、もしかしたら「Denmark is NO.1!」という、まるでどこかの国のような、妄想や過大評価も入っているのかもしれませんが・・・。 

 しかし対する日本の90位。これはどうしてなんでしょうね。最近は低収入時代やら、ニートやらという話もあることはありますし、健康保険も個人の負担額が大きいし、教育費も恐ろしいほどかかりますが、それにしても90位ほどではないはずなのですが・・・。世界は190ヵ国ほどですが(この調査参加国は178ヵ国)、真ん中くらいですか。
  アメリカは23位、ドイツが35位、イギリスは41位、フランスは62位と他の国の順位を見ると、まあ、なんとなく日本の90位というのは納得できるような気もしてしまいますが、なんともさみしい日本の順位です。