道楽人日乗

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映画「マイマイ新子と千年の魔法」

2016-11-24 19:26:50 | アニメ感想

片渕須直 監督

ファンタジックなアニメ作品かと思って見てみたら、その緻密な考証とリアルな演出に驚いた。まるで50年代黄金期の邦画を見るような…。新子も、千年前の少女・諾子(なぎこ)も、やがて現実によって無残に変えられてしまう「無垢な時」を、精一杯懸命に生きている。

昭和三十年の山口市。おでこに特徴的な二つ目のつむじと癖っ毛(つむじをマイマイという)を持つ少女、新子。祖父は、家の周囲の広大な麦畑の中、直角にめぐる用水路が実は千年も昔からそこにあり、都があったことを教える。空想好きな新子は千年の昔ここで暮らしたひとりの少女を想像し…。

純朴な子供達のたわいもない日常と空想。だが、輝かしい日々に、大人達の世界が浸食し、時に残酷なまでにその形を変えてゆく。

終戦から10年。美しい山々と澄み切った小川の水。素直にまっすぐに育った新子は、都会からの転校生、一人ぼっちの貴伊子が気になって仕方がない。
新子は貴伊子に空想の友達、諾子を紹介する。諾子は存在感を得ていき、高貴な身分ながら友達を探す孤独な少女として描かれる。彼女は後に清少納言となる人のようだ。

緻密な考証で描かれたファンタジーと言うには硬質な物語世界。だからこそ子供の頃垣間見た「何処にもない世界」は確かにそこにあったのだと教えてくれる。


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