マキノ病院小児科ブログ

小児科からのお知らせです

腸重積

2010年03月25日 | 診療
予防接種シリーズ中断ついでにもう少し。

「腸重積」
何かをきっかけに腸が腸のなかにもぐりこんでしまう状態です。
もぐりこんでしまった腸管が血行障害を起こしますので、
腹痛、嘔吐で始まり、血便を経て、腸管の壊死・穿孔へと進んでしまいます。

主に乳児期にみられます。
典型的な例では周期的に号泣します。
そらそうです、めっちゃ痛いでしょう。
腸が腸で締め付けられるわけですから。
一旦落ち着いたと思ってもまた激しく泣く。
嘔吐したり、だんだんぐったりしてくるようだと腸重積も考えることになります。
ただし、頻度はそれほど多くはありません。

研修医の時に10ヶ月の子が嘔吐で休日夜間に受診。
なんだか微妙によくないオーラです(良くないのは明らかだけど、それほど悪くもない)。
診察してみると、おなかが少し張っているのが気になります。
ところが母親がこの子はいつもおなかはこんなもんですなどとのん気に言うものですから、
駆け出しのわたくしめは「そうなん?」とレントゲンを躊躇してしまいます。
でも気になるので点滴して採血はしました。
で、データはほとんど悪くない。
でも赤ん坊はなんだか元気がありません。
とりあえずなんともしようがないかなと、一旦帰って様子を見る?なんて話をしながら、
帰る前にやっぱりおなかが気になるから浣腸だけしましょうねと。。。

看護師が血相変えて飛んできます!!
おむつに出てきたのは真っ赤な血っ!!
( ゜Д゜)ゴルァ!!おかんのうそつきぃっっヾ(`Д´)ノ゛
やっぱりおなかいつもと違うんやんっ!!
それからは親の言うことは聞かないようにしようと心にきめ。。。うそですけどね。
単に自分が経験不足だっただけなんですが^^;
結果的に最後は手術になったものの、元気に退院していきましたけどね。

さらに頻度は減るのですが、大きくなってから腸重積を起こす場合は、
憩室や稀には腫瘍などの、腸重積を起こすきっかけとなる状態が隠れていることがあります。
以前発症から1時間くらいしか経っていない年長児の腸重積を見落としたことがあります。。。
幸い結果的に大事には至らなかったので、大きな教訓としています。
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