私はごつごつした岩石だ。
私はいつも激しい川の流れを受けとめ踏ん張っている。
私が踏ん張る事で川の流れを変えている。それが私の役割だ。
でも、私の岩影でしずかに暮らす生き物もいる。
時々、私についた藻を食べてくれるのでいつも綺麗でいられる。
私は小さな小石だ。
元はごつごつした岩石だった。
でも大雨や激しい川の流れに耐えられず、転がってしまった。
転がる度に我が身が砕け、また転がっては碎けそれはどこまでも続いた。
最後は流れに任せ行き先もわからなく流されてしまった。やっと動きが止まると、そこに
は私と同じ仲間がいた。皆、優しく私に声をかけてくれた。
「長旅お疲れ様。色々大変だったね。もう安心。皆ここにいるからね」と、優しい思いを
伝えてくれた。皆、同じ丸い顔をしていた。今では、転がり続けた事に満足している。
なぜなら、激しい流れに耐えることなく穏やかな私でいる事が出来る。
今では、次に転がってくる小石に私が経験した事を伝えてあげている。
とどまる事も大切だが、時には身を任せて流される事で別の世界が見えてくる。
だから、時には私も石になりたい。