Feelin' Groovy 11

I have MY books.

まいってしまった人へ

2007-12-25 | 
よしもとばなな の『ハゴロモ』

まいってしまった人が回復していく様子の話。

状況から自分を判断するのではなく、
自分自身の今を自然のまま受け入れて生きていくことが
その秘訣だと、私は読み取ったが・・・

著者があとがきで
  
  どうにもほっとできない気持ちの中にいる人が、ふと読んで、
  何のメッセージを受け取るでもなく、ただちょっとだけ
  苦しみのペースを落とすことができたらいいな、と思います。
         (『ハゴロモ』よしもとばなな著 新潮文庫)

といっているので、
こちらの本も意味を求めず、実際手にとって読んでもらうしかない。

ところで、
内容でいいなと思った表現は以下の部分。

  池にさしかかったとき、さらにるみちゃんは言った。
  「この池ってカッパはいるの?」
  「さ、さあ・・・・・・。」
  私は当惑して答えた。
  「私は見たことない。」
             (引用上記同様)


「私は見たことない。」

この答え方がいい。

今の自分だったら
「いないよ。」
っと断定してしまったり、
逆に相手に気遣い過ぎて
「どうだろうね?」
と言ってしまったりするんじゃないだろうか。

けれども
「私は見たことない。」
は、何の押し付けや追従もない自然な答え方だと思った。

そんな表現を身につけたいな



 

死にぞこないの青

2007-12-20 | 
乙一著なのでホラーっぽいのかと思っていたが
全く違った内容であった。

主人公マサオは小学5年生。
この年齢に果たして最後まで付き合って読んでいけるのか、
不安を持って読み始めた。

あまり目立たないような存在ではあるが
それなりに決まった友達と楽しくやっていたマサオが
些細なことがきっかけでイジメの対象となり、
どんどん孤立していく状況が
不自然なく進んでいく。

そのイジメは江戸時代の「えた・」方式で
先生が生徒の自分への不満をそらすために
マサオをクラスの最下層にしたてあげるという方法で成り立っている。

これは学校だけでなく会社などの団体であればいつでも起こり得る。
主人公が小学生という点はいつしか気にならなくなっていった。
気づかぬうちに加害者になっている可能性さえあるのだ。

ところでマサオはというと・・・
やられっぱなしというわけではなく、
最後にはマサオなりの解決をしているので
気になる方は、本でご確認を。

いつ誰が入ってもおかしくない

2007-12-19 | 
松尾スズキ著ということで
おもしろいんだろうなぁと期待を持って
『クワイエットルームにようこそ』(文春文庫)を読んだ。

オーバードーズで精神病院に担ぎ込まれた主人公明日香が
退院するまでの14日間の話。

自分では「間違ってここに運ばれた!!」という。
死ぬつもりがあって薬を過剰摂取したのではないと。

しかしナースが言うように
意志がなく死に至るほどの薬を過剰摂取するのは、
もっと性質が悪い。

最初(そうだよね~勢いで飲みすぎちゃっただけなのに
強制的に入院させられて可哀想・・・)と
主人公の気持ちに寄り添っていた私は
明日香同様「はたっ!」と何がまともか分からなくなってきた。

自分には関係ない世界と思っていたものが
常にその世界との境界に立たされていることに気づく。

考え込むとコワいけれど
基本軽~い文章で楽しめる本だった。

しかし映画は見たいけれど
本は2度読もうと思わないな。