堀ちえみちゃんの代表曲とされる「さよならの物語」の歌詞の中に、日本語として気になる表現がありましたので、メモしておきます。
時間のある方は、まず「さよならの物語」をお聴きください(YouTube・「さよならの物語」へのリンク)。
「そっとあなたがくれた貝殻のペンダント。きっとみんな愛しい思い出にするわ。」(1:39〜1:51)
「愛しい」という形容詞は「思い出」を修飾することができるのでしょうか。辞書によると、「愛しい」の意味は次のとおりです。
いとしい(愛しい)
【大辞林】
〔補説〕 「いとおしい」の転
[1]かわいい。恋しい。慕わしい。
―・い人
〔補説〕 多く子供や異性を対象として使う
【大辞泉】
《「いとおしい」から》
1 かわいく思うさま。恋しく慕わしい。
「―・いわが子」「―・い人」
いとおしい(愛おしい)
【大辞林】
[1]かわいく、大事に思うさま。いとしい。かわいらしい。
年をとってからの子なのでよけいに―・い
【大辞泉】
1 大事にして、かわいがりたくなるさま。たまらなくかわいい。
「どの子犬も―・く思う」
◆動詞「いと(厭)う」からの派生という。つらいと思ってうとましく思うさま、苦痛で心身を悩ますさまを表すところから、自分に対しては、苦しい、つらいの意、他人に対しては、気の毒だ、かわいそうだ、いじらしい、さらに、かわいいの意が生じる。一説に「いたわしい」と関係する語ともいう。
結局、「愛しい」が修飾できるのは、人や動物だけということになります。上の歌詞のように、「思い出」を修飾することはできないということです。