開幕戦が始まる前に「パート2」を書き終える予定でしたが、時間を取ることができませんでした(汗)
アーセナルはなんとか、本当になんとかですが、開幕戦で勝利を収めました。
まぁ、“相変わらずの展開”と“相変わらずのスコア”です(笑)
詳しくは、火曜日にでも。
では、前回に引き続き2回目の今回も、個人的な観点から分析を加え、今季のアーセナルを展望して行きたいと思います。
なお、当初は2回で全てを書き終える予定でしたが、書くべきことが多く、3回になりそうです(笑)
「パート3」は8月中に。
まずは、このオフ最大の話題、アンリの移籍について。
<アンリ移籍の影響>
(マイナス面)
・ シーズン20ゴールが計算できるFWの不在
やはり、これが一番の痛手でしょう。
全くパッとしなかった昨季ですが、それでも一応シーズン10ゴール。
怪我なくシーズン最後まで出ることができていたら、17~20ゴールは取れていたと思います。
しかし、怪我が完治したとしても、アンリに衰えが見えていたことも事実です。
個人的に、彼のピークは「2002-2003シーズン」と、無敗優勝した「2003-2004」シーズンの2年間だったと思います。
このアンリの衰えにはアーセナルの関係者も気付いていたようですが、あれだけの功労者、あれだけのスターに対し、その事実からは目を伏せていたかったのが、関係者とファンの真の心情でしょう。
ここ2年のアンリは、過去に見せた爆発的なトップスピードが影を潜めていました。
・ 相手のディフェンス陣に与える恐怖感の低下
アンリが前線で構えることには、そのストライカーとしての実力がもたらす効果の他に、相手のディフェンス陣に恐怖感を与える効果も働きました。
対戦相手にとって、「アーセナルのアンリ」の存在はこちらが考えているよりも大きいもののようで、「ティエリ・アンリ」という「名前」が、相手のマークを彼に集中させ、他の選手に対するマークを緩和させました。
また、彼のスピードに対する恐怖心からか、彼の存在が、相手のディフェンスラインを下げる働きをもしました。
このような効果がなくなること、また、「アンリのいないアーセナル」という見方をされて、与える必要のない自信を相手チームに与えてしまうことは、今後気がかりです。
・ 選手獲得の際の影響
特にここ数年の話ですが、アーセナルが獲得した選手の中に、それが最大の理由ではないにせよ、
「アンリとプレーできること」
が移籍の一因となっていたという選手が数多くいました。
アデバイヨール然り、ロシツキー然り、ウォルコット然りです。
特に若手の間では、
「アンリと一緒にプレーできる。」、「一緒に練習してアンリから学ぶことができる。」
というのは非常に魅力的なことのようで、こう語る選手は多かったと思います。
アンリを失うことは、このように、選手を説得する際の“1つの武器(魅力)”を失うことにもなります。
・ “困った時のアンリ頼み”ができなくなる
アンリがアーセナルの攻撃の弊害にもなっていた(詳しくは後述)ことも事実ですが、それ以上に、彼は停滞した試合状況からチームを救ってきた選手、個人で局面を大きく打開できた選手でもありました。
チームで戦うことはもちろん重要であり、それがベストなのですが、相手の守備組織を無効化させる程の突出した個人の存在は、様々なコンペティションを戦っていく上で必要になる時が来ることでしょう。
(プラス面)
・ “アンタッチャブル”な存在がチームからいなくなること
アーセナルでの彼の地位は、いわゆる“王様”でした。
途中で代えられることを異常なまでに嫌い、多少の怪我があっても、調子が最悪でも、ずっと90分間フル出場を続けていました。
しかし、昨季はそのツケが回ってきたのです。
何年もの間で溜まった勤続疲労により体が悲鳴を上げました。 調子が悪くても、また、前回指摘したように、
「アンリが先発した試合は引き分け以下」、
「アデバイヨール&ファン・ペルシーが先発した試合は勝利」、
という、チームにとってどちらが良いか明らかに分かる結果が出ていながら、“王様”であるアンリを外せず、チームは低迷しました。
これには、アンリの言う通りになった監督のヴェンゲルにも責任があります。
チームにとって、“アンタッチャブル”な存在は歓迎すべきものではありません。
・ 守備の負担の減少
アンリは守備をしない選手でした。
エトーやドログバら「1トップ」をハイレベルにこなすことのできるFWは、この辺りをしっかりと心得ていて、自分の調子が悪い時、チームが苦しい時は、得点できずとも守備で貢献してくれます。
FWにはそういった「どうしようもない日」が付き物ですから、これはベターな選択でしょう。
しかし彼は、調子が悪い時も、攻撃面で貢献できそうにない時も、守備に参加することはほとんどありませんでした。
特に、「4-1-4-1」の時に彼の調子が悪いと、(1トップとポストプレーが苦手なため)前線で起点になることができない上に、守備もしないということで、いない方がマシとまで思える時が多々ありました。
・ 左サイド偏重の攻撃が変化?
アンリは左サイドに流れてボールを受けることを好むため、必然的にアーセナルの攻撃は左サイドに偏り、これが相手にとって“わかりやすい”攻撃となって、非効率に陥ることがありました。
プレシーズンの試合を観ても、左右のサイドをバランス良く攻撃できていましたので、これは効果が表れるはずです。
・ オーバーパスがなくなる?
これは先日ギャラスが指摘していたことですが、彼は、
「アンリがいなくなったことで、ゴール前でのプレーがよりシンプルになった。」
と語っています。
前回指摘した通り、アーセナルの大きな課題として、オーバーパスが挙げられます。 シュートを打てばいいところでパスを選択して中途半端な攻撃に終わってしまうことが多く、メディアからも、
「もっとシュートを打つべきだ。」
と、何度も批判を浴びてきましたが、この批判に対し、
「これでいいんだ。」
と、一番に異を唱えていた選手がアンリでした。
また、このオーバーパスの原因を作っていたのもアンリで、前線にスペースがある状況でも、
アンリが左に流れる、パスを要求
↓
他の選手は(シュートが打てる場面だけれど)パスを送る
↓
もう1度作り直しへ
という、非効率な攻撃に終わるシーンが何度もありました。
彼の“王様”としての存在が、チーム全体の攻撃を遅らせていた部分も否定できません。
・アデバイヨールとファン・ペルシーの責任感の向上
アンリの移籍が最もプラスに働くのは、この部分かもしれません。
ヴィエラの移籍がセスクの成長を速め、ベルカンプの引退がファン・ペルシーの自覚を促したように、これまで、あくまで“若手”のカテゴリーだったアデバイヨールとファン・ペルシーの2人が、
「自分がやらなければ。」
という責任感を持ってプレーしてくれることで、彼らの更なる成長を望むことができます。
また、実は昨季、
「アデバイヨールとファン・ペルシーのコンビが先発した試合は無敗」
というファンにとっては嬉しいデータもあります。
「アンリが抜けたから…」
と、他から一番言われたくないのは、彼ら2人でしょう。
・ 高額の年俸
40億円と報道された移籍金。 これがアーセナルの年間(次年度?)予算に組み込まれるわけですが、見逃がせないのは、十数億円した彼の年俸です。
もし、移籍せずに彼が今後3年間アーセナルでプレーしていたとしても、年俸は落ちないけれどプレーの質は落ちていく、つまり「費用対効果」の面でクラブの財政に悪影響をもたらしていたはずです。
ヴィエラ、キャンベル、ピレス、ベルカンプ、リュングベリ、アンリ、と高額年棒の選手(これら6人の年棒だけで、おそらく40~50億円の支出)が次々と去っていくアーセナルは、移籍金を除いた支出面で他のトップ3とは大きな隔たりがあると思うのですが、その分のプラスが獲得資金の貯えに回らない、という不満はあります。
その他の話題を触れる前に、ちょっと一息(ランキング)
よろしくお願いします!
<ギャラスのキャプテンについて>
現地のファンの間ではかなり賛否両論があるようですが、個人的には賛成です。
と言うのも、ギャラスはキャプテンに選ばれてから明らかにコメントが変わりました。これまでは、悪く言ってしまえば“反乱分子”であり、プレシーズン前には、
「監督に今後のチームプランについて話を聞きに行く。 (返答次第では)サッカーの世界では何が起こるかわからないよ。」
と、移籍を仄めかすような発言をしていたわけですが、プレシーズンの試合でキャプテンに任命されてからは、チーム全体を鼓舞するような“いかにもキャプテンらしい”コメントに変わりました。
イジけていた不良生徒が、担任から直々に学級委員に指名されてやる気になった、といった感じですかね(笑)
フランス代表でも、チェルシーでも、彼はそういった役割よりはむしろ“便利屋”のような(本人としては不満な)役割を求められていましたから。
誰もが次期キャプテンは、アンリが離脱していた間にキャプテンを務めていたジウベルトだと思っていましたし、本人もそう思っていたはずと思いますが、これについても心配はありません。
ジウベルトのキャプテンとしての仕事ぶりを見て、アンリよりもずっと適任だと思った人は多いはず。
しかし、アンリの性格を考えれば、彼から一度渡したアームバンドを取り上げることは不可能でした。
しかし、“人格者”のジウベルトなら、これを問題なく受け入れてくれることでしょう。
もう1人の候補だったトゥーレも、生まれながらのリーダーです。
ギャラスがリーダーに変わって、チーム内のリーダーが3人に増えることが大きいと思います。
私は、アンリについて、どうしても好きになれない部分がありました。
それは、彼に「自己責任」の意識が欠けていたところです。
彼のコメントには、
彼が、“自分は完璧、責任は周りにある”
と考えていると疑われてもしょうがないようなものが多々ありました。
昨年の5月に契約を更新した理由について、彼は、
「CL決勝での若手選手の頑張りを見て、心を動かされた。」
と(ある種、「上目線」で)語っていましたが、皆さんもご存知のように、あのCL決勝は、「アンリ自身」が2度のビッグチャンスを決めていれば勝てていた試合です。
また、アンリがチャンスを外し続けて1点に泣いた試合も、
「若手はまだ経験が足りない。学ぶべきことがある。」、
「守備の集中力を欠いた。」
といったように、自分が何本ものシュートを外した責任は、彼の頭の中にないことが多くありました。
この辺りが、彼が「キャプテン」には向いていないところであり、彼の移籍がアーセナルにとって100%悪いことだと思う必要のない原因かもしれません。
<シーズンを戦う上での大前提>
ただ1つ、怪我をしないこと。
毎年毎年、アーセナルは怪我人の多さに悩まされています。
レギュラークラスなら、ユナイテッドやチェルシーやリバプールに見劣りしない陣容なのですが、控えには大きな差があるのが現状です。
一昨季や昨季のアーセナルは、他の3強と比べて選手層が薄い上に、怪我人も多く出してしまったのです。 これでは、敗れるのは当然のことでしょう。
しかし、一昨季はその怪我人が多い状況でCL決勝まで勝ち上がりました。
当時のファースト・チョイスだったキャンベル、コール、ラウレンらが離脱したことで、センデロス、フラミニ、エブーエらが入り、彼らが成長を見せたのです。
つまり、怪我人が出ることは、若手に出場機会を与えることにも繋がります。
もし、ギャラスやセスク、フレブやアデバイヨールらがシーズンを通して怪我なく活躍してくれれば、それは嬉しいことですが、同時に、センデロス、デニウソン、ウォルコット、ベンドナーら若手の出場機会は大きく減少するでしょう。
それはそれで複雑な問題です。 若手を成長させながら勝って行くというのは、とてつもなく難しいことのようです。
<目標>
どれでもいいので、どれか1つタイトルを。
これがチームに課したい“目標”です。 決して“義務”ではありません。
リーグでは、最低4位。 できるならば、CL出場権を自動的に得ることができる2位以上で終えたいところ。
CLでは、トップシードを維持するためにもある程度の成績が必要です。 ベスト8以上を期待します。
現実的に狙えるのは、FAカップとカーリングカップになるでしょう。
ただ、カーリングカップでは、やはり若手を使って欲しい。 そして、主力を徹底的に休ませてほしい。 体力のあるトゥーレやセスクは特にオーバーワークさせがちですが、どこかで休ませてあげないと。
これら「チームとしての目標」を達成させるために必要となるのが、「個人としての目標」です。
わかりやすいところで言えば、やはり決定力、ゴール数です。 昨季、ユナイテッドがファン・ニステルローイが抜けた分をロナウドやルーニーやスコールズのゴール数の増加でカバーしたように、アンリが抜けた分のゴールは他の選手達に埋めてもらわないと。
ファン・ペルシーは、「11点」から「18点」に。
アデバイヨールは、 「8点」から「12点」に。
ロシツキーは、 「3点」から「5点」に。
フレブは、 「2点」から「5点」に。
セスクは、 「2点」から「5点」に。
そして、エドゥアルドには「10点」を。
ファン・ペルシーが昨季は1月中旬まででこの成績を残したこと、他の4人には十分過ぎる程のチャンスがあったことを考えれば、不可能な数字ではないと思いますし、この増加分でアンリが抜けた分以上を埋めることができます。
しかし、昨季のジウベルトの10点というのは出来過ぎですが、この減少分は、ウォルコットやベンドナーやフラミニに埋めてもらいましょう。
<「Arsenal.com」>
話題は変わりますが、アーセナル公式HP「Arsenal.com」の「7月」1ヶ月間のアクセスが、これまでで最大のヒット数を記録したそうです。
アンリの移籍が6月下旬だったことを考えると、新時代のアーセナルに注目と期待が集まっているということかもしれません。
また私事ですが、本ブログも、前回の記事で一気にランキングが跳ね上がることができました。 これも皆さんのおかげです。ありがとうございます。
再び、まとめ下手でかなりの長文となってしまいましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。クリックの方も是非よろしくお願いします(笑)
「パート3」は、契約更新問題に揺れる「ヴェンゲルについて」と、同じく最近の紙面を賑わしている「買収問題について」書く予定です。
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ファンペルシは怪我さえなければ、20ゴールは堅いと思うんですがね。昨シーズンだって、シーズンの半分を棒に振り、最初の方は左サイドで孤立していたことを考えると、単純に2倍狙えるんじゃないかと。
自分がエースになることのプレッシャーに押しつぶされることなく、責任感となれば。
私もキャプテンはジウベルトになるだろうと考えていました。ベンゲルは、ベテラン勢全員でチームを引率させるとのことですし、どちらでも然程変わらないかと。
因みにネット観戦というのは、どちらでできるのでしょうか?
結局Jすぽーつが獲得してくれましたか。この際クラブTVもと、贅沢は言いません。
アンリ離脱の影響なのですが、一つ付け足させてください。アンリにマークが集中する事で、他の選手のマークが甘くなるという話の裏返しになるのですが、今のアーセナルは言うまでもなくチーム全体が若く、ほぼ全員がこれから成長していく過程にあります。その中でアンリがいた時よりも厳しいマークを受けるとして、それを成長の糧にできるとしたらどうでしょう。さらに言えばそれを打ち破っておく事で、相手チームにとって「こいつさえマークしておけば」というのがなくなり、結果的にアンリ一人がすごいという状況より威圧感を与える事ができるようになるかもしれません。要するに、そうやって今のアーセナルは、これまでより一回り大きくなれるんじゃないでしょうかね。
さて、件のバーニー・エクレストンの件ですが、前に僕のブログでケチと書いたんですけど、全く金を出してくれない人物ではないと思います。ただ自分のやり方によくも悪くも確固たる哲学を持ってる人で、彼が買うと言えば買うし、買わないと言えない買わないという状況が予想されます。そうなると監督の意向を半ば無視し、フロントのいいように補強を進めるという、一部のビッグクラブみたいな状態になってしまいます。とてもじゃないですが、今のヴェンゲルのやり方は続けられないでしょうね。バーニーがアーセナルを買収すれば、かつてのレアルのような銀河系軍団ができるかもしれませんが、それは多くのファンの望むところではないと思います。しかもバーニーは見切りをつけるのが早いですし、長期的にはクラブにとってはマイナスにしかならないんじゃないでしょうかね。
まぁ、自分は公式HPに掲載されないインタビューも聞きたいというのも、加入した動機の1つでしたが。
確かに、私も当初は、
「怪我さえなければ20ゴールは堅い」
と思っていましたが、プレシーズンの全試合やフルハム戦を見て、相手の彼へのマークが昨季とは比べ物にならない程厳しくなっていることがわかりました。
相手からしても、今のアーセナルで「一番の脅威」はペルシーでしょうから、これまでアンリが受けていたマークがそのままファン・ペルシーに移ることになります。
まぁ、それを跳ね飛ばす程の更なる成長をしてくれることにも期待しています。
>>陸さん
お返事コメントありがとうございます。
確かにおっしゃる通りですね。アンリ移籍のプラス面はそこまで大きく考えることができるかもしれませんし、それが実現すればこの上なく嬉しいですね。
エクレストンはやっぱ曲者なんですね。
今のヴェンゲルのやり方が許されるクラブは世界でも少ないと思いますが、エクレストンが来てはアーセナルでも実現しそうにないですね。
プロ野球でもサッカーでもF1でも、どうしてトップの人間はこうも意固地なワンマンが多いんでしょうね。
保守的な取締役は、とにかく「外国人株主」への拒否反応を示していますが、「身勝手なイギリス人」より、「きちんとチームプランに加わってくれる外国人」の方がチームのタメになりますよね。
そのためには、まず話だけでも聞いた方がいいんですけど。
「赤い悪魔の逆襲が始まる。」
みたいな、主観的なものが多いんですが。
個人的に、彼の言う事は信用していません(笑)
彼はあまりアーセナル戦を観ていないようなので。他の3強の試合はよく観ているようですが。