?色の「ためいき」

ほんと世の中「わからない」ことばかり。ニュースを見ても「?マーク」が増えるだけ。そんな「?」を書き連ねてみました。

中国期限切れ鶏肉事件に二つのデジャヴを見つけた

2014-07-26 15:46:51 | この報道に??
中国の「鶏肉」事件をめぐるマスコミの騒ぎは、なかなか止みそうにない。食べものの安全にかかわる報道だけに、「そう簡単に止めてもらっては困る」のは確かである

しかし、その内容は工場内部の動画と視聴者へのインタビューばかりで、不謹慎ながら少々飽きてきた感じがしないでもない。とりわけ上海の放送局が暴露した動画は、事件発覚の契機になったわりに自局の独自取材ではない弱みからか、従業員らしき人物と潜入したという取材記者の会話の詳細がわからず、衝撃的な映像のインパクトだけが印象に残り「何回も見たくない」とさえ感じてしまう面もないわけではない。

食べものの安全に関わることだけに、その鶏肉を材料にした食品が出まわっているのかという最も関心のある情報を詳しく伝えるマスコミはあまり目立たない。その結果、日本政府が上海福喜食品の鶏肉を「輸入禁止」にしたのか、中国政府が「出荷停止」にしたのか正確なところは「よくわからない」。

ただし、マクドナルドやファミリーマートは鶏肉を使った製品を販売禁止にした情報は大きく伝えられたようなので、少しばかり「安心」という気がしないでもない。かといってスーパーの店頭で販売される鶏肉は大丈夫なのかは判然とせず、インタビューされた視聴者ではないが「心配で心配で」というのも無理がないように感じる。

ただ、よく考えると「このような心配」は、今回がはじめてではない。かなり前から残留農薬によって「中国産の野菜は危険」と伝えられ、2007年頃には「中国の野菜は農薬まみれ」と畑で農薬を撒く画像が放送されたものである。

当時も視聴者へのインタビューで「心配」という声が高まり、八百屋さんでも産地を表示し、ファミリーレストランでも料理に使った野菜の産地をメニューに表示するようになった(それを悪用する産地偽装も、これからはじまったといわれている)。

おそらく、スーパーに買物に行くご夫人やお母さんが「中国の野菜は危険」と敬遠したのはこの頃だろう。しかし、中国産も葱やほうれん草に比べ、国産は「かなり高価」で、最終的に安全性を確認する方法や輸入体制も明確でないうちに、なんとなく曖昧なまま終ってしまったような気がする。

もちろん、だからといって上海福喜食品を曖昧にしていいわけではないし、該当する鶏肉は輸入を防ぐ体制を、食べもの会社や中国政府と協力し、厳格かつ確実に構築する必要があるだろう。「中国だから危険」とばかりいっても、結局、高価な鶏肉を買うしなくなるのは消費者である。生産国の責任で鶏肉の流通を停止させるのは当然としても、受け入れ国の側でも厳しいチェック体制を早急に構築することが第一にすべきことである。

さらに、あまり気持ちのいい話ではないが、この上海福喜食品と同じような事件が、2007年6月にわが国で発覚している点も忘れてはならない。内臓など安い物を配合し、巧みに品質を良いものに見せかけるという偽造で、まったく同じ手口とはいえないにせよ、「肉の偽装で『金儲け』」という意味で同根ともいえ、大きく報道されたことから「ミートホープ社の食肉偽装」として、記憶している方々も多いだろう。

「ミートホープ社」も発端は内部告発だった。元幹部が実名を明かして2006年春に農林水産省北海道農政事務所に不正挽肉の現物を持参して調査を依頼したが、同事務所はこれを受け取らず、実質的に指導も行わなかったという。

また元幹部は行政指導によって改善しようと保健所、役所に告発するが断られ、遂に逮捕を覚悟で警察に訴えるが、被害届がないことから確認が難しく、このような難件に割く人員はいないと受け入れてもらえなかったという。その後、この幹部は朝日新聞に告発し、偽装事件の第一報となった(詳細はウィキペディアの 「ミートホープ社 牛肉ミンチの品質表示偽装事件」ウィキペディアの記載には真偽の議論がりますが、個人的には間違いは少ないと思います)

もちろん、「だから、どっちが悪質」というのは不毛であるが、「日本じゃこんことは起きない」と思うのは、きわめて危険だろう。要は「金儲けのためには手段を選ばない強欲な経営者」は「国境を問わない」ということだろう。

ただ中国では社会体制が異なるので、「強欲な経営者」というより「官僚」と呼ぶべきかもしれないが、それだけに社会の目が厳しくなる可能性もあるだろう。しかし、「中国だから」と騒ぐよりも、日本人および中国人の「食の安全」という共通の視点にたって、「指摘する点は指摘し」「協力できることは協力する」という普通の隣国関係にたった外交が大切なのは明白な気がする。なにしろ、「強欲な経営者」への対応は、日本のほうが先輩なのだから...。