今年の大河ドラマ「真田丸」【動画】の第1回が、昨夜放送された。1963年に第1作「花の生涯」【動画】が放送されて以降、「真田丸」は第55作という事になる。大河ドラマで真田信繁(幸村)が主人公となるのは初で、タイトルの「真田丸」は大坂の陣で信繁が築いたと言われる出城「真田丸」に由来。
昨年放送された「花燃ゆ」は、個人的に「今一つ。」という感じだった。大河ドラマで女性が主人公の場合、「歴史」を描くというよりも「一家庭」を描くという事に視点が置かれ勝ちで(「外向き」では無く、「内向き」な傾向が強い。)、ガッカリさせられる作品が目立つのだけれど、「花燃ゆ」もそんな感じだったので。(偏見云々というのでは無く、飽く迄も趣味の問題なのだけれど。)
そんな訳で、男性が主人公で在る今回の作品には、放送前から大きな期待を持っていた。抑、自分が“歴史”に興味を持ち始めた切っ掛けは、子供の頃に見たNHK連続TV人形劇「新八犬伝」に魅了された事。で、其の次に放送された「真田十勇士」【音声】も、夢中になって見ていた。「『真田十勇士』の主人公・真田幸村が、『真田丸』の主人公で在る。」というのも、期待を大きくさせた要因だ。
「期待以上に良かった。」というのが、第1回を見ての感想。そう感じさせた理由は、大別すると2つ。
先ず第一に挙げられるのは、キャスティングの良さ。此処最近の大河ドラマでは若い視聴者を引っ張り込もうと、若手のイケメンや女性アイドルを無理無理にキャスティングするケースが目立ち、「花燃ゆ」は特に其の傾向が強かった様に思う。演技が上手ければ別だけれど、芝居が上手く無く、「ルックスが良いから。」というのが主な理由と感じられる場合だと、見ていて冷めてしまう。其の点、「真田丸」の場合は“派手さ”に欠けるかもしれないが、演技に定評の在る面々が配されていたので、安心して見ていられた。
そして、第二に挙げられるのは、脚本の良さ。此処の所、“外れ作品”が目立つ三谷幸喜氏の担当だが、「笑い」と「緊張」のバランスが非常に良かった。又、大河ドラマと言うと、主人公の幼少期から描くのが定番だけれど、「真田丸」は信繁が武田勝頼に仕えている時代(12歳~15歳の間と思われる。)から描かれていたのも目新しい。第1回の最後に、主たる戦国大名を登場させたのも、次回以降への期待を繋がせたし。
期待以上に良かった「真田丸」では在るが、思い返せば「花燃ゆ」の第1回を見終えた時には「そう悪くは無い。」と感じたし、第2回以降の展開に注目したい。
印象的だったのは
私が80年代中盤に楽しく見ていた「真田太平記」で幸村だった草刈正雄が父親役で出ている!
ちなみにやけに覚えている時代劇の一つで(それだけ熱心に見ていた?)、その時の親父殿の印象はあまり良い印象ではなかった・・・。「平清盛」での白河法皇の印象に近いようなアクの強い人物で、家族の中の嫌われ者だが絶対君主、というのが親父さんの性格でした。今回の草刈さんの演じている役では「みんな大好きお父さん」です。そうではないと今の人に受け入れてもらえないのかも。
真田太平記では主人公は長男の人。演じるのは渡瀬恒彦でした。うーむえらい違いだ・・・。
第一回で、演技の雰囲気が70年代の時代劇や時代物のNHK人形劇を思い起こしました。第二回はそこまでではなかったですが。その雰囲気も、最近の妙に現代風言葉遣いの大河と違って好感が持てました。
「真田太平記」が放送されていたのは、もう30年以上も前なんですよね。彼の時、真田昌幸を演じていたのが丹波哲郎氏。一癖も二癖も在る感じが、凄く印象的でした。
歴史上の人物、特に戦国武将に対して我々は、一般的に「凛々しさ」や「猛々しさ」等、或る意味“堅苦しいイメージ”を持ってしまい勝ちだし、彼等を題材にしたドラマもそんな感じが顕著。でも、「真田丸」の場合は良い意味で“人間臭さ”が溢れている。「籤で運命を決めさせようとし乍ら、籤を引かれそうになると必死で籤を放さない昌幸。」や「物凄く間抜けな表情で、敵から逃げる幸村。」等、三谷作品だからこその良さが。
其の一方、徳川家康が爪を噛むシーン等、歴史好きをニヤッとさせるネタも在り、そういったメリハリが、多くの視聴者を引き込む要因になっているのかも。