ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

セオリーは正しくなかった!?

2008年12月24日 | スポーツ関連
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「野球のセオリー、実は“錯覚” 名古屋大大学院・加藤教授等データ分析」(12月20日、産経新聞

四球で出塁させるなら、ヒットの方がましですね。試合の流れが悪くなる。」というフレーズを野球解説者は良く使う。しかし、それは根拠が在る事なのだろうか。行動経済学が専門の名古屋大学大学院・加藤英明教授は、神戸大学大学院准教授の山崎尚志氏と共に、2005年度の公式戦(交流戦を含む。)846試合、1万5,143回を分析。同年の全イニングの得点(失点)確率26.4%、得点(失点)平均0.495点と比較し乍ら、解説者の言う「セオリー」を検証した。

「先頭打者を安打では無く四球で出すと、試合の流れが悪くなる。」。加藤教授のデータ通りに動く球団をX球団とする。X球団が、先頭打者に安打を打たれた場合、四球を出した場合、それぞれの失点確率は安打40.5%、四球39.0%。失点平均は安打0.832、四球0.833。殆ど差は無いが、安打の方が失点確率は高い。

ではX球団のその裏の攻撃。四球を出す事で流れが変わるなら、攻撃のリズムも狂う。だが安打を打たれた場合の得点確率は25.4%、四球の場合は27.2%。得点平均は安打0.454、四球0.540。四球で先頭打者を出した場合の方が、裏の回で得点する確率は高いのだ。

「2アウトから出塁されると流れが悪くなる。」。これが正しければ、三者凡退で打ち取った次の回は、そうで無かったケースよりも得点確率は高いだ。

だがX球団がB回表を三者凡退で抑えた場合、B回裏の得点確率は26.2%、得点平均0.492点。X球団がB回表二死から走者を出し得点された場合、B回裏の得点確率は28.1%、得点平均0.580点。全イニングの平均値と比べると、三者凡退で打ち取っても平均値以上に得点確率は上がらず、走者を出しても得点確率は下がらなかった。

同様に「エラーをすると流れが悪くなる。」、「ホームランは流れを変える。」等を調べたが、その様な結果は出なかったと言う。

加藤教授は過去に起こった回数よりも、印象の強さが、ゲームの流れと言われいるのではないでしょうか。と話す。

又「ラッキー7」と言われるが、加藤氏が得点確率と得点平均を調べると6回表、裏が最も高い。先発投手の球威が落ちても、勝ちパターンの投手交代には早い。6回は監督の采配が問われるイニングでも在る。

加藤教授と山崎氏は、この様な調査を纏め、「野球人の錯覚」(東洋経済新報社)を出版している。
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野球は技術面も然る事乍ら、心理的な影響を大きく受けるスポーツだと思う。好投を続けて来た投手が味方の一つのエラーから突然崩れたり、絶好調だった打者が厳しい内角攻めを恐れる余りに打撃不振に陥ったりする。「先頭打者を安打では無く四球で出すと、試合の流れが悪くなる。」等、上記した“セオリー”は野球の試合を長年見続けて来た自分も感覚的に「正しい。」と思っていただけに意外だった。以前の記事でも紹介したが、「昔は凶悪犯罪が少なかった。」というのが統計的に正しくなかった様に、具体的に統計を取ってみる事で判る“真の姿”という物が在る。それにしても、先頭打者をヒットよりも四球で出した方が、そのチームにとっては良いという統計結果になろうとは・・・。

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10 コメント

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有意差検定等 (tak)
2008-12-24 11:01:35
う~ん、面白い統計ですね。
統計の結果に関しては野球解説者が良く使うセオリーの反対の結果になってはいますが、この統計における有意差検定をしたかどうかが不明なのでこちらの記事だけでは何とも言えないと思います。ただ、「四球で出られてもも安打で出られても流れとしては同じ結果」というよう事より、少なくとも通説セオリーどおりではなかったようですね。
四球で出塁されても安打で出塁されても結果はほぼ変わらなかったのは、流れが悪くなるのを懸念して選手が余計に頑張った結果なのかもしれませんね
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錯覚でしたか (久保課長)
2008-12-24 16:30:46
とりあえず、先頭打者の「安打」というのはもちろんシングルヒット限定ですよね?

「四球で出塁させるくらいならヒットのほうがマシ」というのは心情的に凄くわかりますが、それが結果的に失点につながりやすいかどうかはあまり関係なかったということですか。人間って印象度の強さで錯覚することはしばしばありますね、野球でいえば「代わった野手のところに打球が飛ぶ」なんてその代表的な事例ですよね。代わった野手のところに打球が飛んで来なければ、誰もそんなこと心に留めないわけで・・・。

6回に得点が多いというのはきちんとした根拠があって、なるほどとうなずかされました。
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よけいなことを (雫石鉄也)
2008-12-24 20:34:43
しっかし、余計なことをするセンセイですね。
ミもフタもないとはこのことですな。
そんな、統計、気にしながら野球見てると
面白くもなんともない。
昔、プロレスはショーだ、といった人がいましたが、それと同じですね。
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>tak様 (giants-55)
2008-12-25 02:50:16
書き込み有難う御座いました。

本当に面白い統計結果ですよね。“感覚的に”「正しい。」と思っていたセオリーが、“数値分析”すると「必ずしも正しくなかった。」というのは目から鱗が落ちる思いでした。有意差検定(http://www.blufi.co.jp/archives/24344389.html)の他にも、「2005年という“或る1年間”だけを切り取った分析結果で在り、もっと当該年数を拡大して分析したら、違った結果が出る可能性も在る。」という面も考慮しないといけないでしょうね。唯、一つのチームだけの分析結果では無く、全てのチームを対象に行った分析というのは評価に値するかと。

「先頭打者を四球で歩かせると、流れが悪くなる。」と散々頭に刷り込まれて来たで在ろう野球選手達。だからこそ先頭打者を四球で歩かせた場合には、「これで失点したら、何を言われるか判らない。(悪い査定をされてしまう。)」という危機感が必要以上に投手達に湧いて、その結果がヒットで出すよりも失点率が低いという事に繋がったのかも。
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>久保課長様 (giants-55)
2008-12-25 03:06:00
書き込み有難う御座いました。

加藤教授等が著された本に恐らく詳細が記されているのでしょうが、残念乍ら読んでおりませんので、あくまでも記事から判断するしか無いのですが、「先頭打者の安打」はシングル・ヒットに限定していないのではないでしょうか。即ちホームランという最悪のケースも入っている様に思います。そうなると、“裏”の攻撃も同様に「先頭打者の安打は、シングル・ヒットだけをカウントしたものでは無い。」という事になりましょうね。表&裏を“同条件”で設定した上で、失点率&得点率を弾き出したのではないかと勝手に推測しています。

「代わった野手の所に打球が飛ぶ。」というのも、印象度ではかなり強く在りますよね。そういったシーンを見る度に、「先人達は上手い事を言ったなあ。」と感心していたのですが・・・。
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野球ヲンチ (Mars)
2008-12-26 00:45:05
こんばんは、giants-55さん。

四球よりも安打の方が得点率が高いという事は、以前にも読んだ事があるような。
また、二死からの走者は、もったいないようにも思えます。
(私は投手ではないので、その心理までは分かりませんが、野球ゲームで、二死から走者を出したとしても、次を抑えればいいなぁ、と思います。
また、我が軍の赤星選手や、鈴木尚広選手などの足が速い選手を、二死から走者を出したとしても(盗塁されたとしても)、次を抑えればいいかなぁ、と思い、プレッシャーはあまり感じないですね)

JFKに先駆けて(?)私の父は、先発は5回まで投げて、残りは、1回ずつ投げれば勝てる、という事を聞いたことがありますが、実際は難しそうで、気にも留めていませんでしたが、そういう投手交代ができるチームは、かなり強いでしょうね。

野球は数字にも束縛されるスポーツですが、経験や印象にも、束縛されるスポーツかもしれませんね。
(但し、サッカー名等のスポーツも経験や印象に束縛され、実際よりも過大・過小評価される事は、古今東西、同じなのかもしれませんね)
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先頭打者の四球と安打 (ハムぞー)
2008-12-26 20:31:18
データはそうなんでしょうが
回の先頭打者において四球を選ぶと・・

「あーあ、四球出しちゃったよ」
「しめしめ、労せずしてノーアウト一塁だ」
とお互いが感じる心の動きは
データに取れませんから・・・

攻撃側から見て
安打は「自分がしたいことをした」
四球は「相手がしたくないことを、結果やらせた」

心理的効果をみるなら
四球>安打
と言っていいでしょう。

セオリーがいいたいのは
そこだと思います。
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>ハムぞー様 (giants-55)
2008-12-26 20:54:35
書き込み有難う御座いました。今回はこちらにレスを付けさせて貰います。

野球は心理的な駆け引きも多く作用する競技ですし、仰る様に「見える部分(数字)」と「見えない部分(心理面)」ではその評価も異なるでしょうね。上でtak様宛に書かせて貰いましたが、「『先頭打者を四球で歩かせると、流れが悪くなる。』と散々頭に刷り込まれて来たで在ろう野球選手達だからこそ、先頭打者を四球で歩かせた場合、『これで失点したら、何を言われるか判らない。』という危機感が必要以上に投手達に湧いて、その結果がヒットで出すよりも失点率が低いという事に繋がった。」と考える事も出来ましょうし。
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ハムぞーさんが (oumo)
2008-12-26 21:17:22
おっしゃっているように、
心の部分があらわれていないので、
データだけで語れるものではないと
思います。

実際に試合中
ファインプレーの後に
四球や死球などで出塁すると、
野手のみんなはものすごく
嫌な感情を持って守っています。


マイナス感情で守っているときと、
プラス感情で守っているときの
パフォーマンスはどちらが高いか
考えれば、プラスがいいに決まっています。

データ上だけでは
スポーツは語れませんと
ぼくは思います。
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>oumo様 (giants-55)
2008-12-27 01:38:23
書き込み有難う御座いました。

「心の部分が表れていない。」というのは、全くその通りだと思います。相手チームの先頭打者に対して四球を与えた際、ファンとして見守っている自分ですら「しっかり投げろよ、ボケ!」と怒り狂うのですから(笑)、況やグラウンドで守っている野手をやといった感じでしょうね。唯、“一つの指標”としてはなかなか面白い結果だったと思います。
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