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犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、検挙率が飛躍的に上がる中、科学捜査を嘲笑うかの様な連続殺人事件が発生した。警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果は「NOT FOUND(当該者無し)」。犯人は此の世に存在しないのか?時を同じくして、システムの開発者迄が殺害される。現場に残された毛髪から解析された結果は・・・「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。犯人は、神楽自身で在る事を示していた・・・。
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東野圭吾氏の作品「プラチナデータ」は、近未来の日本の姿を描いているのかもしれない。「国民からDNA情報を提出させ、警察が一括管理。犯罪が発生した際には犯行現場から採取した毛髪や血液、唾液、汗、耳垢、粘膜、皮脂をDNA解析し、犯人の性別や血液型のみならず、年齢や身長、体重、肉体的な特徴等を事細かくプロファイリング。と同時に、国民から提出されたDNA情報と照合し、身内に犯人が居る可能性を調査する。」というのがDNA捜査。「検挙率は飛躍的に上がるだけで無く、DNA情報を提出させる事で『身内から犯罪者を出させない。』(犯罪者が出てしまったら、犯罪者を生み出したDNAというレッテルを貼られ、様々な不利益を被るのではないかという怯え。)という犯罪抑止力が向上する。」というのが警察のアピール・ポイント。「近未来の日本の姿を描いているのかもしれない。」と書いたが、「もしかしたら海外では既に行っている所が在るのかも。」と思わせるリアルさが、此の小説には在る。
到る所に配置された防犯カメラにより、人々は無意識の内に己が姿を映し撮られている。防犯カメラに映し撮られた映像をコンピューター解析し、犯人の特徴的な部位(耳等。)のデータと照合する事で、犯人の居場所を捜し当てる。「犯罪者は絶対に逃がさない。」という点では非常に素晴らしいシステムだけれど、「もし国家が、此のシステムを悪用したら。」と考えると怖くは在る。
「我々は券売機のパネルに静脈認証システムを導入することを提案しています。それが実現すれば、逃亡者がタッチパネルに触れた瞬間に自動通報することが可能になります。しかしプライバシーの保護がネックになり、計画が進んでいません。予算ではなく、法律の問題なのです。」
どれだけ素晴らしいシステムが構築されようとも、其処に人間が介在している限り、システムを悪用する者、そして其の悪事によって不利益を被る人間が出て来るだろう。世の中に「絶対」という存在は先ず無く、特定の存在を「絶対」で在ると盲信してしまうのは非常に危険。
「タイトルになっている『プラチナデータ』とは何を意味するのか?」、其れが明らかとなった時は「成る程。」と唸ってしまった。上記したDNA捜査システムが構築されれば、「プラチナデータ」が存在“させられてしまう”のも然もありなんといった感じなので。従順な盲信者程、国家が扱い易い存在は無いという事だ。
真犯人、そして謎の少女の正体に関しては、解き明かすのが比較的容易と思われる。ミステリーとして其れ等は減点ポイントとなろうが、ストーリー自体は非常に面白い。総合評価は星4つ。
犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、検挙率が飛躍的に上がる中、科学捜査を嘲笑うかの様な連続殺人事件が発生した。警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果は「NOT FOUND(当該者無し)」。犯人は此の世に存在しないのか?時を同じくして、システムの開発者迄が殺害される。現場に残された毛髪から解析された結果は・・・「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。犯人は、神楽自身で在る事を示していた・・・。
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東野圭吾氏の作品「プラチナデータ」は、近未来の日本の姿を描いているのかもしれない。「国民からDNA情報を提出させ、警察が一括管理。犯罪が発生した際には犯行現場から採取した毛髪や血液、唾液、汗、耳垢、粘膜、皮脂をDNA解析し、犯人の性別や血液型のみならず、年齢や身長、体重、肉体的な特徴等を事細かくプロファイリング。と同時に、国民から提出されたDNA情報と照合し、身内に犯人が居る可能性を調査する。」というのがDNA捜査。「検挙率は飛躍的に上がるだけで無く、DNA情報を提出させる事で『身内から犯罪者を出させない。』(犯罪者が出てしまったら、犯罪者を生み出したDNAというレッテルを貼られ、様々な不利益を被るのではないかという怯え。)という犯罪抑止力が向上する。」というのが警察のアピール・ポイント。「近未来の日本の姿を描いているのかもしれない。」と書いたが、「もしかしたら海外では既に行っている所が在るのかも。」と思わせるリアルさが、此の小説には在る。
到る所に配置された防犯カメラにより、人々は無意識の内に己が姿を映し撮られている。防犯カメラに映し撮られた映像をコンピューター解析し、犯人の特徴的な部位(耳等。)のデータと照合する事で、犯人の居場所を捜し当てる。「犯罪者は絶対に逃がさない。」という点では非常に素晴らしいシステムだけれど、「もし国家が、此のシステムを悪用したら。」と考えると怖くは在る。
「我々は券売機のパネルに静脈認証システムを導入することを提案しています。それが実現すれば、逃亡者がタッチパネルに触れた瞬間に自動通報することが可能になります。しかしプライバシーの保護がネックになり、計画が進んでいません。予算ではなく、法律の問題なのです。」
どれだけ素晴らしいシステムが構築されようとも、其処に人間が介在している限り、システムを悪用する者、そして其の悪事によって不利益を被る人間が出て来るだろう。世の中に「絶対」という存在は先ず無く、特定の存在を「絶対」で在ると盲信してしまうのは非常に危険。
「タイトルになっている『プラチナデータ』とは何を意味するのか?」、其れが明らかとなった時は「成る程。」と唸ってしまった。上記したDNA捜査システムが構築されれば、「プラチナデータ」が存在“させられてしまう”のも然もありなんといった感じなので。従順な盲信者程、国家が扱い易い存在は無いという事だ。
真犯人、そして謎の少女の正体に関しては、解き明かすのが比較的容易と思われる。ミステリーとして其れ等は減点ポイントとなろうが、ストーリー自体は非常に面白い。総合評価は星4つ。