「となり町戦争」

若い層を中心に注目を集めているという作家・三崎亜記氏。彼の２作目「バスジャック」の読後感を以前書いたが、非現実的な世界を日常世界に上手く織り込んだ不思議なテーストだった。「これは一寸注目したい作家だ。」と感じ、彼の処女作で在り、第１７回小説すばる新人賞を受賞した「となり町戦争」を読んでみたいと思っていた。

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或る日届いた「となり町」との戦争の知らせ。僕は町役場から敵地偵察を任ぜられた。だが音も光も気配も感じられず、戦時下の実感を持てないまま。それでも戦争は着実に進んでいた・・・。
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これ又、「バスジャック」と同じ非現実的な世界なのだが、最後迄その内容に引き込まれる事は無かった。非現実的な世界を描きながら、妙にディテールが微に入り細に入り”過ぎて”、逆にその事が引き込まれない要因となってしまっている気がした。文章も「バスジャック」の様なキレと透明感が無く、正直な所、五木寛之氏や井上ひさし氏等の文壇の大御所達が絶賛したというのが非常に不思議。

期待度が高過ぎたからこそかもしれないが、読後は物足りない思いしか残らなかった。評価は星２つ。