ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「ブラックジャックによろしく」

2004年09月05日 | 書籍関連
今更ながらであるが、「ブラックジャックによろしく」を読んでいる。2002年から、雑誌「モーニング」に連載されている人気コミックで、ドラマ化されて好評を得た事も知ってはいたが、どちらも見てはいなかった。手塚治虫氏の大ファンである自分には、氏の代表作の一つである「ブラックジャック」の名を安直に冠したものなのだろうという思い込みが有り、敢えて距離を置いていた。

ところが、先日、治療先の歯科医院にこのコミックが置いてあり、時間潰しにと読み始めた所、内容の深さに魅了されてしまった。治療の順番が来てしまったので、途中までしか読めなかったのだが、帰宅してから続きが気になって仕方ない。そこで、ブックオフのポイントが溜まっていた事もあり、1巻~8巻と交換して来た。

過去にも、医学界の閉鎖性や特異性を描いた作品は多く在った。小説の世界で言えば、山崎豊子女史の「白い巨塔」、コミックの世界では手塚治虫氏の「ブラックジャック」が有名だが、「ブラックジャックによろしく」も、一人の研修医「斉藤英二郎」が研修先々で直面する諸問題や矛盾点にもがき苦しむ姿を通して、現代の日本医学界が抱える多くの問題点を浮き彫りにしている。

「交通事故の治療費は、医療保険ではなく、自動車損害賠償保険から支払われる”自由診療”扱い。医者の診療行為への対価は、”点数制”となっていて、一律1点10円と決まっているが、自由診療扱いの交通事故の場合には、この1点の値段を医者の裁量で勝手に決められる。(→儲かるので、交通事故の患者を、他の患者よりも優先的に受け入れる救急病院がないとは言い切れない。)」とか、「日本人の2人に1人は一生の内に癌に罹り、3人に1人が癌で亡くなる。」等、未知の事実に唸るばかり。

扱っている内容が内容だけに、全体的に重い感じはあるものの、読み耽ってしまう作品である。台詞ずしりと心に残るものが多いのだが、中でも最も印象深い台詞を最後に書きたい。

主人公である斉藤が、夜間の病院で当直のアルバイトをするのだが、大事故での急患が運び込まれて来る。大手術を至急行なわなければならないのだが、病院には斉藤以外に医者が居ない状況。経験不足から来る恐怖で、職場放棄して隠れてしまう斉藤。結果的には、婦長から連絡を受けた院長が手術を行ない、患者は一命を取り留める。そして、手術を放棄した斉藤と院長の会話が続く。

院長: 「何故、手術しなかった?ほっといても(患者は)死ぬ。どうせ死ぬなら、腹を開けろ。」
斉藤: 「だって、失敗したら殺人ですよ。」
院長: 「何もしないよりはマシだ。君はあの患者を見殺しにしようとした。」
斉藤: 「違う!夜中に僕みたいな研修医を一人しか置かない病院が悪いんだ!!医者が足りないなら救急車なんか受け入れなければ良いんだ!!院長はお金が欲しいだけじゃないですか!!」
院長: 「で?人の命を救うんだ。金をふんだくって何が悪い?そもそも俺が金を取る事と、お前が手術しなかった事に何の関係がある?お前は医者だ。新人だろうが半人前だろうが、患者にとってお前は医者だ。(中略)必ず手術はしろ。聞こえの良い正論を口にするな。正しいってのは弱い事だ。強いってのは悪いって事だ。医師免許を取った瞬間から、お前は普通の人間ではない。医者なんだ。強くなれ・・・。
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5 コメント

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面白いですよね (爆音クラシック突撃隊隊員)
2004-09-05 08:54:20
「ブラックよろしく」は欠かさず読んでいます。

アンド、週刊「モーニング」そのものを子供の頃から欠かさず読んでいるので、「ブラよろ」は連載当初から大注目でした。

現在は「精神科編」、今後の展開は予想不可能です。



この「モーニング」という雑誌は素晴らしく、ほとんどの漫画が毎週欠かさず読むに値します。

隔週ですが、「ビックコミックスペリオール」もハイレベルな漫画で埋められてますが、この2誌は双璧と言えます。

読んでらっしゃったらさしでましい限りですが、是非ご覧戴ければ、新たな名作に巡り会えるかと思います。
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TBどうもです (某サッカー部管理人)
2004-09-05 11:28:40
TBありがとうございました

この漫画は本当にいろいろと考えさしてくれますよねぇー

また何かお勧めでもあれば見に来ます

ではでは

ちなみにブログリストにもいれましたので

ではでは
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TBありがとうございます。 (ICHIRO)
2004-09-05 21:43:16
研修医教育は今は随分改善されましたから・・・この話は少し昔の話ですね。でも、えげつない所はたくさんあります。大学病院は他に比べれば随分ましだと思いますが。
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こんち (int19h)
2004-09-06 09:03:52
こんにちは。TBで寄ってみました。



よろ>ブラックジャック

は、面白いですね。今の精神科編は報道、視聴者、精神科医療のトライアングル(核心は「偏見」)を扱ってますが、今回の漫画の構成からは、「よろ>ブラックジャック」も斉藤と医師の会話から「読者を誘導してますよ」というのが良く表れてました。報道をメディアの一部と捉えれば、漫画もその一部なんだな~と、しみじみです。



>えげつない所はたくさんあります

病床を埋めるのに行き場の無い高齢者を積極的に受け入れている所とか。



ではでは。
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B.J. (犬小屋LUPO管理人)
2004-09-06 09:30:49
Trackbackありがとうございます。

ところで弊サイトで貴殿のTracback記載が文字化けしていますね。申し訳ありません。jugemはまだいろいろと調整中のようなので、そのせいかと思われます。

「ブラックジャックによろしく」

待合室の本棚に、漫画はただそれだけがバシッと全巻並んでいる個人病院を知っています。大変正義感の強い、ついでに癖も強い院長先生であります。
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