ガルパン仕様への最後の追加工作を終えたのちは、転輪を接着して塗装ステップへの準備をしました。アメリカ戦車はドイツ戦車と違って転輪部分が取り付けやすい、と言われますが、まさにその通りでした。
全部の転輪を取り付けた状態です。サスペンションも動かせるのですが、試しに履帯を巻いてみたところ、ゆるゆると動いて車体も揺れることが判りました。それで、サスペンション部分は固定することに決め、流し込み接着剤で固めました。転輪だけがコロコロと回るだけになりました。
全てのパーツを仮組みして、各部分の合いをチェックしました。ガタガタするかな、と思ったのですが、意外にもはめ込みがしっかりいくので、持ち上げてもポロッと外れるまでには至りませんでした。
改めてみると、中戦車のなかでも大型に属することがよく理解出来ます。背が高いという印象がよく語られますが、車体もかなり大ぶりなので、大きな箱の上に砲塔が乗っかっているという感じがあります。
このキットは、私の制作においてはハッチなどを可動にする予定であるため、計5ヶ所のハッチは接着していません。模型雑誌などでは、真鍮線を蝶番部分に通してハッチを可動にする方法がよく紹介されていますが、私はもっと簡単な方法を選びましたので、追加工作などは一切施していません。
塗装ステップに入るにあたって、二つの問題点がありました。一つ目は、車体色を何色にするか、でした。
実際の米軍のM3中戦車リーはカーキ色が多かったとされていますが、ガルパンのウサギさんチームのM3中戦車リーは、公式設定資料などではオリーブドラブに近い色で表されています。劇中でも茶色系のカラーになっていて、最も近い車体色を採用するアヒルさんチームの八九式中戦車甲型よりはやや暗めの色であることが分かります。そこで、クレオスのミスターカラーの38番「オリーブドラブ2」を使用することにしました。
二つ目は、室内色を何色にするか、でした。こちらの方が難問でした。キットの指示ではホワイトとなっていますが、ガルパン仕様では違う色になっていて、それがどういう色であるかが、いまひとつ分かりにくいのでした。
改めて劇中のシーンを見てみましょう。阪口桂利奈や宇津木優季の制服の色と比較すれば、まずホワイトではないことが分かります。全体的に緑色っぽいのですが、制服のスカートの緑色よりはやや淡い色調のように見えます。車体色の茶色系のカラーとは明らかに異なる事が分かります。
続いて砲塔内のシーンを見ますと、狭くて暗い空間であるなかで、薬莢排出用の窓の周囲が光を受けていて、その辺りがやはり緑色系の明るい色になっています。澤梓や丸山紗希の茶色の髪と明らかに異なる色なので、ここでも車体色の茶色系のカラーとは違うと判断出来ます。
よって、室内色の基本イメージは、私なりには緑色系の明るい色調にまとまってきます。
ですが、ハッチなどの可動部の裏面のカラーは、車体色と共通していることが上のシーンなどから分かります。親善試合時までのピンク色の塗装の頃のシーンですが、全国大会出場にあたって車体全面を塗装し直してからも、ハッチなどの可動部の裏面のカラーが車体色と同じである点は変わりませんでした。
これが全国大会時の塗装状態です。黄色の枠で示したように、宇津木優季が開けているハッチの内側が、車体色と同じカラーであるのが確認出来ます。つまり、ハッチだけは開いても車体色と同じ色に統一されていることが判ります。
以上の諸点をふまえて、私の制作においては室内色を緑色系の明るい色調とし、上部車体を取り外してインテリアを見られるようにするという観点から、内部のディティールが分かりやすく見えるような色を選ぶことにしました。ガルパン仕様に合わせようにも、その色調がいまいち絞りにくいため、それよりは明るめの色にすることでインテリアをひきたたせる効果を狙うことにしました。
色々考えた挙句、日本海軍の戦闘機のコクピット内部の色が若竹色であることにヒントを得て、それよりも明るい日本陸軍の中島飛行機系列の内部色を使うことに決め、クレオスのミスターカラーの127番「コクピット色(中島系)」を選択しました。この色は、カモさんチームのルノーB1bisの車体色にほぼ同じであるとされているため、その色調を実際に試してみるという側面もありました。
そうして、各パーツの室内部分を全て127番のカラーで吹き付け塗装しました。
室内色の塗装が完了した状態です。なかなか良い感じだと思いました。カモさんチームのルノーB1bisの車体色のイメージにも合うので、ルノーB1bisの塗装カラーはこの時点で決まったも同然でした。
車体上部パーツの内部です。これだけ明るい色なのであれば、ハッチを開けた際に内部が割合に見えるのではないかと思いました。
車体下部パーツの内部です。サーフェイサーを吹きかけて白くなっていた時よりも内部構造や細部のディティールが明確になってきたように思いました。あまり暗い色に塗ると、影の部分などは余計に暗く見えてしまいますから、明るい色調にした方が見映えは良くなります。
38ミリ副砲の砲塔の搭乗員3人が入るバスケット部分は、外側も内側も全て室内色としました。75ミリ主砲の方は内側だけを室内色としました。 (続く)