数ある第二次大戦中の各国の戦車のなかで、私が好きなのはドイツ製のそれです。ずっと昔から、一番はパンターG型、二番はラングV70、三番はヤークトパンター、のままです。ガルパンファンになってガルパン戦車のプラモデルを作り始めてからも、ドイツ車輛が好きなことには変わりがありません。だから、大洗女子学園チームと同等か、場合によってはそれ以上に、黒森峰女学園チームを応援する気持ちが常にあります。
それで、大洗女子学園チームの11種の車輛のラストとしてカメさんチームのヘッツアーを仕上げたのを契機として、黒森峰女学園チームの70(V)ラングを作ることに決めました。劇中にて、エルヴィンがラングのことを「ヘッツァーのお兄ちゃんみたいなやつ!」と表現していましたが、それなら兄の方を先に作るべきだったなあ、と考えたりもしました。
ですが、ラングは、黒森峰女学園チームの中でも難易度が高い方に属します。ヘッツアーもかなり手間がかかりましたが、ラングはそれ以上です。大規模な改造も含めた、ガルパン仕様への修正点の多さは、ヤークトパンターの時と余り変わらないのではないか、という感触を、事前に制作ポイントをノートにまとめた時点で抱いておりました。
ですが、模型サークルの知人のTさんは、「それはタミヤの旧キットの話でしょう?今度発売された新しいキットは楽にガルパン仕様に作れるんと違いますかね?」と笑っていました。楽に作れるどころか、旧キットと大して変わらないぐらいの改造、修正作業が必要となります。そのメモをメールで送ったところ、相手は電話の向こうで絶句していました。
これが今回の制作にあたって取り組んだタミヤの新キットです。旧キットよりも劇中車に近い姿になっているので有難いことは有難いのですが、しかし、これだけではガルパンのラングを再現出来ません。このキットに含まれていないパーツが二種類、計18個も必要であり、色んな他キットから部品を持ってくる必要があります。
その最たるものが転輪のハブキャップで、キットには後期型のものが16個入っていますが、ガルパン仕様では12個が中期型です。タミヤのⅣ号戦車H型のキットやプラッツ公式キットのⅣ号戦車D型(F2型仕様)などからパーツを持ってくる必要があります。さらに上部転輪6個は、キットの鋼製ではなくてゴム付き転輪なので、これもタミヤのⅣ号戦車D型のキットなどから転用しなければなりません。
なので、ラングの新キットを購入してもすぐに作れなかったのでした。作りたくても、パーツが揃うまで出来ませんでした。今回のタイミングで、ようやくパーツが全て手元に集まったので、黒森峰女学園チームの六輌目を、私の制作の第十七作目として組み立てられることになった次第です。
パッケージの中身です。旧キットよりもパーツ割りが効率的になり、ランナー数も抑えてあります。普通に作れば、組み立て易いので一日で出来上がると思います。ですが、ガルパン仕様に仕上げるには幾多の改造や修正が必要となります。
左は組み立てガイド、右は解説パンフレットです。現存車輛の写真や車体塗装の参考資料などもあって色々と参考になりますが、ガルパン劇中車とはさほどに関連性がありません。
その最大の理由として、劇中車の車体の形状や寸法が実在車輛と異なっている点が挙げられます。とくに車体前部の寸法の差異は致命的で、上下の車体パーツを大幅に作り直すことになってしまうため、そこまでの再現は私の腕では無理でした。
事前にアハトゥンクのガイドで色々と劇中車の特徴を調べ、キットとの差異をノートにまとめましたが、主な相違点だけで20ヶ所を超えていました。上図右にあるパーツは、ジャンクや他キットなどから少しずつ調達して保管しておいた転輪用の中期型ハブキャップです。
ステップ1では、リヤパネルの内側を組み立て、上部転輪6個を作ります。後者は、キットパーツは鋼製転輪を再現していますが、劇中車はゴム付き転輪なので、タミヤのⅣ号戦車D型のキットから転用しました。
組み立てに先立って、車体パーツの各所を色々と改造または修正する作業から始めました。
まず、公式設定資料の図にて、キットとの相違点を挙げてゆきます。車体前面においては、エンジン点検ハッチ付近の前面上部装甲に溶接痕などが無く、左の操縦席バイザーや右の機銃ポートなどの位置が少し上になっています。またエンジン点検ハッチ付近の前面上部装甲そのものが傾斜しています。
側面においては、前端の溶接痕の形状が異なるほか、3個の上部転輪がゴム付き転輪になっています。
キットの車体パーツの原状です。色々と差異があるのが分かりますが、最も顕著なのが前面上部装甲です。劇中車のそれが傾斜しているのに対して、ほぼ水平になっています。
車体側面前端にモールドされる溶接痕の形状も異なります。上図に鉛筆でトレースしてある線が、劇中車のそれです。アートナイフやラインチゼルなどで線をケガいて、元のモールドの不要部分をパテで埋めました。
前面上部装甲の部分をいったん切り離して、傾斜するように付け直すことにしました。厳密には前部全体の寸法が異なりますので、車体の上下のパーツにおいて前部を大幅に作り直さないといけないのですが、それをやると左右のフェンダーや牽引ホールドも全て作り直しとなり、外観上の破綻を招く公算が大きくなります。
それで、今回の改造は、前面上部装甲板の傾斜化にとどめました。
切り離した前面上部装甲板です。この範囲だけでも、不要のモールドや溶接痕がありますので、削ったり埋めたりして、劇中車のようにフラットに直しました。
修正した前面上部装甲板を、車体に仮組みして傾斜を付けました。この時点で、主砲防盾基部のC63に干渉することが判明したので、C63の下端が劇中車よりも張り出し気味であることも分かりました。後でC63の下端を少し削って、前面上部装甲板の上端をもっと上げて傾斜をつけることが出来ました。
並行して車体上部前面の修正も進めました。左(上図では右側)の操縦席バイザーと右(上図では左側)の機銃ポートの位置を少し上にあげるので、元の取り付け穴はプラ板やパテで完全に埋めました。パテが乾いたらヤスって、またパテを塗り、乾いたらヤスって、平滑面になるようにしました。
車体側面前端の溶接痕の形状を、劇中車のそれに合わせて修正し終わりました。
車体上部前面の修正がだいたい終わりました、最初の段階でここまでの改造を必要としますので、今回のキットも楽ではありません。
あと、車体上部に並ぶハンドルのモールドを真鍮線に置き換える、という選択肢も挙げられますが、ヘッツアーの時と違ってこちらは小さいので、キットのモールドのままで良いと判断しました。
ここでようやくステップ1のパーツの組み立てを行ないました。上部転輪6個は、タミヤのⅣ号戦車D型のキットからパーツを転用して、劇中車のゴム付き転輪を再現することにしました。 (続く)
それで、大洗女子学園チームの11種の車輛のラストとしてカメさんチームのヘッツアーを仕上げたのを契機として、黒森峰女学園チームの70(V)ラングを作ることに決めました。劇中にて、エルヴィンがラングのことを「ヘッツァーのお兄ちゃんみたいなやつ!」と表現していましたが、それなら兄の方を先に作るべきだったなあ、と考えたりもしました。
ですが、ラングは、黒森峰女学園チームの中でも難易度が高い方に属します。ヘッツアーもかなり手間がかかりましたが、ラングはそれ以上です。大規模な改造も含めた、ガルパン仕様への修正点の多さは、ヤークトパンターの時と余り変わらないのではないか、という感触を、事前に制作ポイントをノートにまとめた時点で抱いておりました。
ですが、模型サークルの知人のTさんは、「それはタミヤの旧キットの話でしょう?今度発売された新しいキットは楽にガルパン仕様に作れるんと違いますかね?」と笑っていました。楽に作れるどころか、旧キットと大して変わらないぐらいの改造、修正作業が必要となります。そのメモをメールで送ったところ、相手は電話の向こうで絶句していました。
これが今回の制作にあたって取り組んだタミヤの新キットです。旧キットよりも劇中車に近い姿になっているので有難いことは有難いのですが、しかし、これだけではガルパンのラングを再現出来ません。このキットに含まれていないパーツが二種類、計18個も必要であり、色んな他キットから部品を持ってくる必要があります。
その最たるものが転輪のハブキャップで、キットには後期型のものが16個入っていますが、ガルパン仕様では12個が中期型です。タミヤのⅣ号戦車H型のキットやプラッツ公式キットのⅣ号戦車D型(F2型仕様)などからパーツを持ってくる必要があります。さらに上部転輪6個は、キットの鋼製ではなくてゴム付き転輪なので、これもタミヤのⅣ号戦車D型のキットなどから転用しなければなりません。
なので、ラングの新キットを購入してもすぐに作れなかったのでした。作りたくても、パーツが揃うまで出来ませんでした。今回のタイミングで、ようやくパーツが全て手元に集まったので、黒森峰女学園チームの六輌目を、私の制作の第十七作目として組み立てられることになった次第です。
パッケージの中身です。旧キットよりもパーツ割りが効率的になり、ランナー数も抑えてあります。普通に作れば、組み立て易いので一日で出来上がると思います。ですが、ガルパン仕様に仕上げるには幾多の改造や修正が必要となります。
左は組み立てガイド、右は解説パンフレットです。現存車輛の写真や車体塗装の参考資料などもあって色々と参考になりますが、ガルパン劇中車とはさほどに関連性がありません。
その最大の理由として、劇中車の車体の形状や寸法が実在車輛と異なっている点が挙げられます。とくに車体前部の寸法の差異は致命的で、上下の車体パーツを大幅に作り直すことになってしまうため、そこまでの再現は私の腕では無理でした。
事前にアハトゥンクのガイドで色々と劇中車の特徴を調べ、キットとの差異をノートにまとめましたが、主な相違点だけで20ヶ所を超えていました。上図右にあるパーツは、ジャンクや他キットなどから少しずつ調達して保管しておいた転輪用の中期型ハブキャップです。
ステップ1では、リヤパネルの内側を組み立て、上部転輪6個を作ります。後者は、キットパーツは鋼製転輪を再現していますが、劇中車はゴム付き転輪なので、タミヤのⅣ号戦車D型のキットから転用しました。
組み立てに先立って、車体パーツの各所を色々と改造または修正する作業から始めました。
まず、公式設定資料の図にて、キットとの相違点を挙げてゆきます。車体前面においては、エンジン点検ハッチ付近の前面上部装甲に溶接痕などが無く、左の操縦席バイザーや右の機銃ポートなどの位置が少し上になっています。またエンジン点検ハッチ付近の前面上部装甲そのものが傾斜しています。
側面においては、前端の溶接痕の形状が異なるほか、3個の上部転輪がゴム付き転輪になっています。
キットの車体パーツの原状です。色々と差異があるのが分かりますが、最も顕著なのが前面上部装甲です。劇中車のそれが傾斜しているのに対して、ほぼ水平になっています。
車体側面前端にモールドされる溶接痕の形状も異なります。上図に鉛筆でトレースしてある線が、劇中車のそれです。アートナイフやラインチゼルなどで線をケガいて、元のモールドの不要部分をパテで埋めました。
前面上部装甲の部分をいったん切り離して、傾斜するように付け直すことにしました。厳密には前部全体の寸法が異なりますので、車体の上下のパーツにおいて前部を大幅に作り直さないといけないのですが、それをやると左右のフェンダーや牽引ホールドも全て作り直しとなり、外観上の破綻を招く公算が大きくなります。
それで、今回の改造は、前面上部装甲板の傾斜化にとどめました。
切り離した前面上部装甲板です。この範囲だけでも、不要のモールドや溶接痕がありますので、削ったり埋めたりして、劇中車のようにフラットに直しました。
修正した前面上部装甲板を、車体に仮組みして傾斜を付けました。この時点で、主砲防盾基部のC63に干渉することが判明したので、C63の下端が劇中車よりも張り出し気味であることも分かりました。後でC63の下端を少し削って、前面上部装甲板の上端をもっと上げて傾斜をつけることが出来ました。
並行して車体上部前面の修正も進めました。左(上図では右側)の操縦席バイザーと右(上図では左側)の機銃ポートの位置を少し上にあげるので、元の取り付け穴はプラ板やパテで完全に埋めました。パテが乾いたらヤスって、またパテを塗り、乾いたらヤスって、平滑面になるようにしました。
車体側面前端の溶接痕の形状を、劇中車のそれに合わせて修正し終わりました。
車体上部前面の修正がだいたい終わりました、最初の段階でここまでの改造を必要としますので、今回のキットも楽ではありません。
あと、車体上部に並ぶハンドルのモールドを真鍮線に置き換える、という選択肢も挙げられますが、ヘッツアーの時と違ってこちらは小さいので、キットのモールドのままで良いと判断しました。
ここでようやくステップ1のパーツの組み立てを行ないました。上部転輪6個は、タミヤのⅣ号戦車D型のキットからパーツを転用して、劇中車のゴム付き転輪を再現することにしました。 (続く)