塗装を進めました。車体前面および砲塔前面の機銃は、28番の黒鋼色で塗りました。
車体前面にセットしたワイヤーも28番の黒鋼色で塗りました。コミックスイラストのようにある程度たるませて巻き付けたのですが、車体への吹き付け塗装によって形状が若干変わり、縮んだようになりました。その上に黒鋼色を塗り重ねたので、カチカチの状態になって、たるみが無くなりました。フックにしっかりと巻き付けたような感じになりましたが、それもまた良い雰囲気を醸し出しています。
車体右側面のパール類、ジャッキ、排気管も全て28番の黒鋼色で塗りました。キットの塗装指示も同じです。コミックスのカラーイラストではいずれも白っぽく輝いた感じに描写されており、同じ色であることが理解出来ます。
右側フェンダー後端に、28番の黒鋼色で塗っておいた予備履帯を取り付けました。履帯パーツを2枚繋ぐのが、フェイズエリカ仕様の数少ない特徴の一つです。
車体左側面にセットされるシャベルと鶴嘴です。金属部分は28番の黒鋼色、木製の柄は43番のウッドブラウンで塗りました。
ジャッキ台も43番のウッドブラウンで塗りました。
背面部のバックランプなどは、本来ならばレッド等で塗るのでしょうが、キットの塗装指示がどういうわけか明記されていないので、あえて塗らないままにしておきました。
塗装が完了しました。車体カラーを明るめのグレーにしたことで、車外装備品などの色がハッキリと出ています。履帯や転輪のゴムの色もよく分かります。安易にジャーマングレーにしなくて正解でした。
フェイズエリカ仕様では、黒森峰マークは砲塔左右にのみマーキングされます。デカールは、モデルカステンのセットにあるティーガーⅠ用の余り2枚がサイズも適していました。
貼りつけてみました。砲塔右面においては、こんな感じです。
砲塔左面においては、上にキューポラ側面の装甲板が張り出してきますので、位置もやや下にずらしました。
デカールを貼り終わりました。やっぱり車体色の明るめのグレーは、黒いマークとの相性が良いです。実際のドイツ空軍機の機体上部色として黒十字とのコントラストも決まっていましたから、同じカラーの組み合わせがカッコ良くみえるのは当然です。
艶消しクリアーを吹き付けました。鈍い輝きもおさまって落ち着いた感じになりました。
正面観です。前部が持ち上がった形ですので、正面から見ると背高です。砲塔キューポラの大きさが目立ちますが、それだけに小型の車輌であるという雰囲気が強いです。
背面に背負ったガソリン缶の列が、異様な緊張感をも抱かせます。実戦で被弾すれば間違いなく炎上するでしょうし、下手すると車内に流れ込んで引火爆発する危険もあったでしょう。
そういえば、アニメの劇場版でもノンナのIS-2の予備タンクが撃たれて引火爆発するシーンがありましたね・・・。
同じチェコスロバキア産の38(t)戦車に比べると、武骨な車体と繊細な足回り、という一見アンバランスな外見を呈します。35(t)戦車独特の魅力であるのは間違いありません。総じて、なかなか見応えもある戦車だな、と思いました。組み立てる前はそこまで明確にイメージしていなかったので、ある意味感動しました。
かくして、黒森峰女学園チームの35(t)戦車が、コミックス「フェイズエリカ」仕様にて完成しました。製作日数は、2017年4月29日から5月29日までの30日でした。のんびりと進めましたので、組み立てに19日、塗装に1日、塗装後の組み立てとデカール貼り付けに1日かかりました。
今回はアカデミー発の公式キットを使用しましたが、特に目立った修正もありませんので、楽に作れました。元々作りやすいキットですが、車体も箱組みですから仮組みでのチェックは重要です。丁寧に作ればしっかりと組みあがって気持ち良いほどの出来栄えを実現出来ます。
35(t)戦車のキットはタミヤ製品のほうが良く知られますが、車体側面の予備転輪ゴムのパーツが無い点を除けば、今回のアカデミー製品との差異はほとんどありません。制作の手順も難度も似たり寄ったりです。いずれも、初心者でも安心して取り組める良キットだと思います。
なお、私のガルパン戦車プラモデルの制作対象として、今回初めてコミックス版の登場車輌を取り上げましたが、その主な理由は、現時点で明確な情報が網羅されているコミックス版のガルパン車輌というのが「フェイズエリカ」の35(t)戦車しかない、という点に尽きます。
例えば、同じ作者の画になる「激闘!マジノ戦ですっ!!」に登場するエクレール搭乗車のソミュアS35などは、描写は多彩にあるものの、カラーイラストの迷彩がストーリー本編では描かれておらず、「スペード・ブル」及びマジノ女学院校章のマーキング位置にも混乱が見られるなど、設定情報がまちまちになっています。
また、「リトルアーミー」や「リボンの武者」では戦車の描写が大雑把で細部の様子がいまいち掴めないので、完全再現に繋がる情報がどうしても不足しがちです。後者はファインモールド発の公式キットが出されていますから、それを作れば問題は無いのですが、劇中車に仕上げるには若干の修正工作が必要らしいです。
そもそも、ガルパンの幾つかのコミックス版のなかでは、才谷屋龍一さんの画が戦車の描写において最も丁寧かつ詳細であるため、模型製作の基本情報として適していたという事情があります。戦車道試合のストーリーが過半を占める構成になっているおかげで、車輌の描写が多岐多彩にわたり、色んなアングルからの姿がよく分かるようになっています。これは非常に大きいと思います。足りない部分を推測で補う必要がありません。
そうした様々な条件を満たして、模型での完全再現制作を可能にしているコミックス版のガルパン戦車が、実はまだ35(t)戦車しかない、という点が、はからずも今回の制作によって浮き彫りになりました。いちガルパンファンとして、これをどう解釈するべきかについては、未だに思い迷う部分も少なくないのですが、今回あえてコミックス版の登場車輌の制作に踏み込んだことによって、ガルパン戦車プラモデルの楽しみの幅が広がったのを実感出来たのは良かった、と思います。
実を言いますと、今回の35(t)戦車制作のきっかけは、模型サークルの仲間に「激闘!マジノ戦ですっ!!」のソミュアS35を作ってみてくれ、とリクエストされたことでした。ですが、前述のように車体の塗装状況すらまちまちで良く分からないため、完全再現は無理だ、推測を交えて勝手に解釈して作るしか無いが、それだと私自身の興味も意欲も持続しづらいので・・・、と応じて辞退したのでした。
その際に、他のガルパンコミックス版の登場戦車には何があったかなあ、と改めて読み返していた矢先に、「フェイズエリカ」の一巻目が刊行発売されたわけです。なにか運命的なタイミングであったな、と今では思わざるを得ません。
コミックス「フェイズエリカ」においては、他にⅡ号戦車F型、38(t)戦車が登場しており、高校生編においてはお馴染みの車輌群に加えてティーガーⅡ(ポルシェ砲塔)が描かれています。これだけでもアニメ本編の陣容に劣らない車輌群の模型再現が魅力的になってまいりますが、問題は時間と費用ですかね・・・。
昔の兵器はそれぞれの国(地域)で違いがあって面白いです。現在は歩兵の装備から軍艦まで画一化してしまって個性が感じられません。昔の兵器に魅力(ロマン)を感じるのは多様性があるからでしょう。
エンジンルーム上面の予備タンク、被弾したら間違いなくオウンゴールです。歩兵の肉薄攻撃に火炎ビンがありますから、間違いなく危ない。飛行機みたいに戦闘が始まったらタンクを落とすわけにいかないし、危険は承知で積んでいるのでしょうね。