横浜地球物理学研究所

地震予知・地震予測の検証など

秋田県・森吉山付近の地震活動

2015年02月04日 | 地震情報
 
秋田県の北秋田市に位置する森吉山(もりよしざん、標高1454m)付近で、ここ最近、地震活動がみられています。

2月2日には、有感地震を二度(北秋田市阿仁銀山で震度2)観測しています。特に最近の震源は、森吉山の北麓の地下数キロのあたりであることが多いようです(下図赤字×印)。



(国土地理院地図より作成)


実はこの付近の地震活動は、2011年3月11日の大地震発生後に、急に活発化したものです。マグニチュード0~2程度の、体に感じない微小地震も含めますと、震災後はほとんど毎日のように地震が起きています。2011年3月より前をみますと、2007年8月を最後に、この地域を震央とする有感地震は3年半ほど発生しておらず、震災前の地震活動は静穏だったようです。

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しかしながら、森吉山付近は、震災後に初めて地震が起き始めた場所というわけでもなく、本来的には地震活動が多い場所のようです。

たとえば、1981年~1984年には、森吉山付近を震源として群発地震が起きています(最大でM5.2)。なお、偶然か関連があるのかは分かりませんが、この活動期間は日本海中部地震(1983年)の前後の期間です。

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森吉山は、噴火記録こそありませんが、地質学的に極めて明らかな火砕流台地を成す成層火山です。むかしで言うところの死火山と言って良いでしょう。すぐ東には、秋田焼山や八幡平などの活火山もあります。ときおり群発地震が起きるという上述した特徴からみても、森吉山付近の地震は、通常の断層活動というよりは、マグマが関連している可能性があります

ただ、山麓には意外に温泉も少なく、噴気孔などもないので、すぐに火山活動が起こるとはあまり考えられません。森吉山のすぐ東には秋田焼山がありますが、こちらの火山活動も、現在のところ特段の変化はみられていません。

しかしながら、2000年以降の森吉山付近の地震は、震源の深さはおおむね10kmかそれよりやや浅い場合が多いので、仮にマグマが関連しているとしますと、警戒するに越したことはないかもしれません。ちなみにこの深さは、富士山の特に南麓で近年定常的にみられている、マグマが関連すると思われる地震と、おおむね同じ深さです。


(森吉山麓はマタギの里として有名な旧阿仁町で、私も行ったことがあるのですが、東麓にはブナ林が広がるなど、自然に溢れた素晴らしい地域です)
 


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