月刊パントマイムファン編集部電子支局

パントマイムのファンのためのメルマガ「月刊パントマイムファン」編集部の電子支局です。メルマガと連動した記事を掲載します。

アーティストリレー日記(122)内田将大さん

2021-05-23 09:34:44 | アーティストリレー日記

今号は、パントマイミストではなく、番外編的な感じで広くパントマイムに関わる方の日記です。6月の「おんパンPLUS」など舞台の映像配信に関わる内田将大さんの日記をお届けします。


皆さん、こんにちは。

現在、TOKYOマイムカレッジ・パントマイム専用劇場スタジオエヴァで、主に舞台全般・配信を担当にしている内田と申します。

自分は1年前までパントマイムパフォーマーだったんですが、こんな御時世の流れに身を任せているうちに、あれよあれよという間に配信仕事にハマって勉強していき、今ではすっかり舞台配信屋さんになってしまいました。

そんな関係でマイムリンク編集長から、
「昨今の舞台配信について1本」
ということで原稿依頼を頂きましたので、
最近、配信をみる機会が増えた小劇場ファンと配信企画・制作をされる舞台関係者に向けて、
「面白い配信って、こんなことじゃないかなぁ」
的なことを、自分なりにまとめたものを書かせてもらいたいと思います。

さて、ここ1年ばかりの間、人と人との直接的な出会いが制限されてきた中で、小劇場も満席にするわけにもいかず、客席を減らしたり、あるいは完全無観客の配信のみで、公演を行うことが続いているんですが、
そんな中、
よく聞かれ、よく言われる言葉が
「配信って、どうなん?!」
というフレーズであります。

やっぱ、
生の舞台の方が迫力があるし
熱量も感じられるし
劇場で観てるっていう実感も凄いあるし
「それに比べて配信はねぇ~」
と感じる方が多いと思うんです。

実際、自分も当初はそう感じていまして
「早く事態が収まって、元通りにできないかなぁ」
と考えていました。

配信するときも
<できるだけ生の舞台を、そのまま映像に反映できるように>
いろいろ試していたんですが、
あるときに、ふと
<そうじゃないかも??>
と思うことがありました。

それは舞台をどんなにちゃんと撮っても
「<舞台>を超えるものは撮れない(伝わらない)」
ならば、
「<配信用の舞台公演>を作った方がいいんじゃないか!」と。

そんな思いを抱きながら今年に入ったとき、
完全無観客・配信公演の企画・配信オペの仕事が飛び込んできまして、チャンス到来とばかりに舞台公演ではありえない演出プラン<配信だからこそできる魅せ方>を提案して実施したところ、ライブ視聴者からも役者・スタッフからも好評を得て「これだ!」と思ったわけです。

それで「これだ!」と思ったことのポイントを、分析し言語化してみたのがこちらです。


○「これだ!」と感じたポイント1
役者やスタッフが「画面を<作る>で考えて」制作していく。

通常だと「舞台を撮って配信する」ということは、舞台用に設計された演技・演出を撮影して配信するというやり方だと思うんですが、
そこの発想を変えて、舞台で映像に寄せた演技・演出・撮影をして配信するという感じで、
「いい映像を撮ろう」ではなく
「いい映像を作ろう」という意識でやる感じです。


○「これだ!」と感じたポイント2
配信を意識した「仕掛け(演出や導線)」がしっかりしている
 
上記の配信公演の際、とあるコーナーで視聴者の皆さんから<お題(キーワード)>をもらい、そのお題を元に出演者が即興で1分間のマイムパフォーマンスをするという企画をやりました。これは以前、生の舞台でもやっていたんですが、今回は
配信用に
・画面構成
・カット割りやシーン
・演出効果
・コール&レスポンス・コミュニケーション
などの演出や仕組みを作り直した結果、画面の向こうにいる方とのやりとりがスムーズになり、一体感が生まれた感じがありました。


○「これだ!」と感じたポイント3
映像・照明・音響が配信用に工夫されている

当たり前のようですが、通常、舞台演出を担う音響・照明は観客席で観る人が最適になるように設計・調整されているんですが、配信用に組み直していると格段に面白くなったりかっこいい構図になり見やすくなります。


結論としては、「舞台公演」と「配信公演」は別物として捉え、
舞台を観る側も作る側も、
配信だからこそ楽しめる見方と
配信だからこそできる作品作りを
意識的にできれば最高だなぁと考えております。

また面白い発見がありましたら、このような場でお伝えできたらと考えております。

読んで頂きありがとうございました。


内田将大


なお、内田さんは、「TOKYOマイムカレッジビデオウォッチパーティ ビデパ」というシアターマイムの魅力を映像で伝える番組(youtube配信)のプロデューサーも担当していて、こちらもお勧めです(佐々木)

 

コメント
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