「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ひきこもりの家族支援

2010年11月12日 20時05分27秒 | ボーダーに関して
 
 先日の「BPD家族の会」では、

 「心理臨床としての家族援助」 下坂幸三 (金剛出版) の中の

 「ひきこもりの家族支援」 も紹介されました。

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 ひきこもり治療の 道のりは長い。

 それゆえ、 本人を 「信じつつ待つ」 という 基本姿勢が重要になる。

 治療において  「待つ」 ことは 能動的かつ積極的な行為であり、

 それは 慎重に練られた戦略と 強靱な意志を必要とする。

 多くの親は  「待つ」 ことを 「放任」 と取り違える。

 放置しておいても  「自然治癒」 は期待できない。

 まず  「干渉せずに見守る」、

 次に 本人にとって ストレスの少ない環境を 作ることである。

 プレッシャーを高めていく  「北風」 のような対応は、

 本人をかたくなにし、 引きこもりの殻を厚くする。

 むしろ 「太陽」 のように、 共感によって 本人と周囲の温度差を小さくし、

 殻を溶かしてしまうことだ。

 このとき しばしば 「愛情」 が障害になる。

 愛情ゆえに抱え込み、 叱咤激励するが、 愛情は共感を妨げる。

 心がけるべきは、 当たり前の 「親切」 である。

 素朴な親切は、 愛ほど押しつけがましくなく、 見返りを期待せず、

 愛よりも穏やかで 副作用が少なく、 所有欲につながりにくい。

 親切は、 害をなさないこと、 孤立させないこと、 相手に執着しすぎないこと、

 相手の出方によっては いつでもやめられることである。

 要するに、 一定の 「距離感」 が必要なのだ。

 本人への共感に基づいた、 親切な対応を基本とすべきだ。

 即効性を期待すべきでない。

 何ヶ月、 何年か後に 実を実らせる覚悟で、

 今は丁寧に  「種まき」 に徹する姿勢。

 しつこさは禁物だが、 まめさ、 粘り強さは欠かせない。

〔 「心理臨床としての家族援助」 下坂幸三 (金剛出版) より 〕
 


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