胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

胃腺腫、良悪性境界病変のアンケート

2008-09-22 | 胃腺腫
下記の様な質問を関係者にメールいたしました。アンケートにご協力お願いいたします。メールが届いていない先生方も私宛にメールでご回答くだされば幸いです。もし学会等で公表することがあるにしても診断された病理医は特定されません。

質問1
現行胃癌取扱い規約(第13版)の生検写真110、写真111(同一症例)について
(1) 生検診断に際して、Group分類は何と判定されますか?
a) Group
b) Group分類しない
(2) 生検診断に際しての診断名(記述的な仮診断名でもいいです)
(3) 切除標本(内視鏡的・外科的)で、腫瘍全体が写真のような組織像で形成されているとすれば何と診断されますか?
(4) その他(何かご意見があればお書き下さい)

質問2(質問1と内容は同じです)
現行胃癌取扱い規約(第13版)の生検写真112、写真113(同一症例)について
(1) 生検診断に際して、Group分類は何と判定されますか
a) Group
b) Group分類しない
(2) 生検診断に際しての診断名(記述的な仮診断名でもいいです)
(3) 切除標本(内視鏡的・外科的)で、腫瘍全体が写真のような組織像で形成されているとすれば何と診断されますか?
(4) その他(何かご意見があればお書き下さい)
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早期胃癌研究会

2008-09-19 | 研究会、学会
 早期胃癌研究会が泉岳寺の近くでありました。
(1) 胃:範囲診断が問題となる、0 IIc+IIb+IIa型の早期癌です。隆起性のところは分化型、平坦・陥凹部では赤色調と退色調のところがあり、前者はtub 2>por、後者はporが優位になっていました。Dr.Harleyがコメントされました。tub 2のところは本ブログでも紹介していますが「手繋ぎ型、横這い型」であり、未分化型への予兆とも思われ、範囲診断がいつも問題になります。
(2) 胃:術前診断は粘膜下腫瘍です。粘膜下異所性胃腺とIFPが重なった症例です。IFPとしての炎症反応は粘膜固有層深部・粘膜筋板あたりから始まると以前Dr.Curryに教わりました。これとそっくりの症例は私の妹弟子が去年病理学会でポスター発表しています。なお、今度の胃癌取扱い規約には腫瘍様病変も掲載される予定で、粘膜下異所性胃腺submucosal heterotopia of gastric glandという名前が用いられるようです。
(3) 胃:胃底腺ポリポーシスに完全胃型の腫瘍性病変が発生した希少例です。FAPの方ではありません。腫瘍の部分は完全胃型の非浸潤性粘膜内病変で、腺腫とするか低異型度癌とするか意見がわかれます。Dr.Qussieは最近、腸型も胃型も「胃腺腫」はかなり限定的に、幅を狭くしているので、胃型腺腫に関連して発生した低異型度・高分化型腺癌としました。
(4) 小腸:小腸出血が診断契機となった症例です。画像診断ではIFPとの意見が大勢を占めていました。粘膜下層で拡張した静脈内に器質化血栓が形成され、それがムギュッと粘膜に露出したような形になっていました。Granuloma pyogenicumとは異なります。Dr.CurryはベースにAVMがあるのではないか?とコメントされていました。
(5) 大腸:表面に上皮性腫瘍の変化があり、その下は柔らかいSMT様の隆起がみられた大腸腫瘍です。表面の病変はNBIでは異型の強い腺腫(または異型の弱い癌)という意見がありました。病理では腺腫の偽浸潤と腺癌の浸潤に意見がわかれました。粘液がパンパンになった杯細胞型の腫瘍細胞は怪しいんダヨ、と築地の親分に教わりました。
 このあと田町でGIPaCの学術交流会がありました。
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平滑筋が絡みつく (線維筋症、fibromusculosis)

2008-09-10 | 消化管全般
 粘膜筋板から平滑筋束が固有層内に伸びてくることがあります。英語の教科書では
「fibers of the muscularis mucosa extend high into the lamina propria」
などと説明されている現象です。
 ・線維筋症
 ・fibromusculosis
 ・fibromuscular obliteration
等という用語を病理医がしばしば用います。例えば、MPSと言えばfibromuscular obliterationと、○○のひとつ覚えになっています。しかし、平滑筋束が粘膜筋板から固有層に伸びてきて上皮に絡みつく所見は、程度の差はありますが、MPSだけではなく色々な病変でみることができます。例えば
(1) Chemical/reactive gastritis (欧米的にはChemical/reactive gastropathy):逆流胆汁やNSAIDsなどによる胃炎です。
(2) 憩室の周囲にみられるポリープ様組織:redundant tag, redundant mucosal fold, polypod tag, nipple-like tagなど呼ばれています。
(3) Inflammatory myoglandular polyp(東北の大親分のポリープです)
(4) MPS
(5) Peutz-Jeghers(型)ポリープ
などです。
 (5)は過誤腫ですからちょっと話が別になりますが、(1)-(4)には共通性があります。いずれも物理的・化学的な慢性刺激がその発生に関与している可能性があるのです。(2)や(4)では機械的牽引力という言葉でよく説明されます。(3)のIMGPについて東北の大親分は「微小な過形成病変に慢性刺激が関与する・・・」と説明されています。他にも脂肪腫の先っぽの粘膜に似たような所見がみられることもあります。
 写真は逆流胆汁が目立ち、発赤の強い前庭部粘膜からの生検組織、Chemical/Reactive gastritisです。腺窩上皮過形成と平滑筋の増生が目立ちますが、炎症細胞浸潤はごく軽微で、H. pyloriもいません。


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早期食道癌

2008-09-08 | 食道腫瘍
 食道上皮内腫瘍(と思う)写真をアップします。低異型度上皮内腫瘍でしょうか?高異型度上皮内腫瘍/上皮内癌でしょうか?私は後者にします。
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早期食道癌

2008-09-07 | 食道腫瘍
 早期食道癌は現在、「壁深達度が粘膜内にとどまる癌で、リンパ節転移の有無を問わない」ものと定義されています(食道癌取扱い規約第10版、2007年)。教科書や講義では古い基準が紹介されていることが多いので注意しましょう。
 さて、我らがGIPaC代表の講演がありました(平成記念会館)。代表の恩師は食道早期癌の病理組織診断基準は「核の大小不同、核・細胞質比の増加、およびoblique line or lateral invasionであるとし、付加条件としては、細胞形態の多様化、基底細胞列の乱れ、上皮の乳頭状突出、上皮内角化が認められる」と述べておられます(1985)。現在、GIPaC代表が強調されているのは
 ・基底細胞配列の乱れ
 ・核の大小不同
 ・Oblique line
 ・紡錘形細胞の出現
です。これに乳頭状下方進展が加わります。
 
 怪しいと思う領域がp53蛋白を過剰発現していれば、診断に自信を持つことができますが、p53のクローンがPAb1801とDO7によって染まり具合が若干異なるので注意しましょう。以前、大先生に「1801を使わないと駄目だよ」と言われて以来、個人的にはそれを愛用しています。アップした写真は食道上皮内癌/高異型度上皮内腫瘍(自験例)です。
 ついでに、GIPaC代表、関西の大親分とその愛弟子と私の4人で学術交流会を開催しました。「胃の腺腫」は限定的・厳密に定義しようということで意見が一致しました。
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cap polyposis

2008-09-06 | 大腸腫瘍様病変
 先ほどの写真を少しアップしました。表面の滲出性変化、粘膜固有層上部の肉芽組織形成、陰窩上皮の単純過形成が見られます。粘膜深部ではMPSのような線維筋症がみられることは稀で、陰窩もMPSのようなdiamond shapeにはなりません。詳しくは2002年の胃と腸で特集号が組まれており、Dr.Curryたちが多数例で詳細な検討をされていますので、ご参照下さい。
コメント (2)
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cap polyposis

2008-09-06 | 大腸腫瘍様病変
 比較的稀な大腸病変としてcap polyposisというのがあります。最近になって初めて自分で診断いたしました。違ってたらごめんなさい。S字状結腸に複数集簇するように存在したポリープをEMRされた病変です。
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