胃生検の小部屋 Cottage for Gastric Biopsy

胃生検からはじまる消化管病理の美しい世界

IBDクラブジュニアウエスト

2009-08-23 | 研究会、学会
 IBDクラブジュニアウエストがオーバルホールでありました。第18回になります。いつもながら、病理医にとっても、IBDを集中的に勉強できる大変よい機会です。
症例1) 中高年の方で、UC vs. 大腸Crohnです。注腸像は鉛管状で変化がびまん性のようにも見え、UC様でした。大腸内視鏡ではアフタ、不整潰瘍、縦走潰瘍がありました。内視鏡では多くの方がCrohnと考えられたようでした。生検組織像では、右側から採った方に炎症が強い傾向があり、直腸生検は正常でした。
【写真】は上行結腸の生検で、不連続でやや不均衡な炎症パターンがあり、mucous preservation(+)、distortionは軽微でした。肉芽腫はみつかりませんが、大変Crohn的な組織像です。
症例2) 肺結核治療後にみられた回腸の潰瘍です。腸結核か、腸結核+Crohnか、Crohnかが議論になりました。輪状潰瘍の辺縁にはul-IIs, IIIsの潰瘍(萎縮瘢痕帯?)があり、その部分の粘膜には炎症が強くdistortionが目立ちました。Tbc的です。はっきりした肉芽腫はありませんが、多核巨細胞が残っていました(治療後の変化?)。切除標本の肉眼像にはCrohnらしき変化はみられませんでした。
症例3) Henoch-Schoenlein紫斑病か、その他の血管炎による消化管出血か、CMVによるものか、繰り返し行われたTAEによる影響か?鑑別が大変難しい症例でした。病理組織像は粘膜下層の血管に閉塞性変化が目立ちましたが、炎症細胞浸潤はあまり強くないように見えました。
症例4) Infliximab投与によりCrohn病は改善したのですが、Tbc性の胸膜炎・腹膜炎が生じた症例でした。IFX療法の普及に伴って、今後しばしば問題となるような症例です。初回生検の組織像では不均衡炎症がみられ、深部に組織球の集簇がみられました。
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Granular cell tumor, 顆粒細胞腫(2)

2009-08-16 | 消化管全般
先ほどの標本のS100蛋白染色です。きれいに染まっています。
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Granular cell tumor, 顆粒細胞腫(1)

2009-08-16 | 消化管全般
 顆粒細胞腫の診断がついた大腸生検です。食道や乳房など、顆粒細胞腫は色々なところに発生し、毎年のように病理専門医試験にも出題されているようです。胃や腸にもまれに発生し、大腸では右側結腸に多いと書かれています。粘膜下層主体に増生し、大臼歯様の形態を示すこともあります。粘膜固有層に浸潤すると粘膜上皮構造が萎縮してくるのもひとつの特徴です。
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