G-HORIKAWAの想い

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後期高齢者医療保険【「世帯分離」の仕方と効果】

2008年03月10日 | 仕事
住民票の「世帯分離」の仕方とその効果

(1)『世帯」といっても適用する法律等によって範囲が違うことに惑わされない

○住民基本台帳⇒【「同居」かつ「生計を一にしている」】
 住民票上の『世帯』で一般的に使用される世帯
        
*税法の「同居」には、住民票上の世帯である必要はない(実質的な「同居」)
*病院・療養型の施設に入っている場合は、「同居」扱い(住民票・税法)
*特養等介護型・障害者施設入居の場合は、住民票の異動を伴い「別居」扱い

○国民健康保険:住民票上の『世帯』と一致させる
 (但し、健保・共済等の被保険者・被扶養者は除外する)
 
*後期高齢者医療保険の被保険者も除外する
  (但し、保険料の減免等にあたっては世帯の人数に加算する経過措置がある)

○健康保険・共済:被保険者に被扶養者として認定された者を含めて『世帯』とする。課税非課税の判断もこの『世帯』だけで行う。他の同居親族が課税されていても健保の『世帯』員全員が非課税なら、非課税世帯として判定される。(老人保健では課税世帯と判定)

○生活保護・児童扶養手当(母子家庭等)の給付にあっては、実質的な『世帯』で判断する。「世帯分離」していても、事実上「同居」であれば『同一世帯』と判定。こうした考え方は、福祉の切捨策が進められる中で拡大適用されてきているように思われる。


(2)住民基本台帳

○住民基本台帳(住民票)は、日本国籍を有し日本国内に居住している人について作成されている。『世帯』とは、【「同居」かつ「生計を一にしている」】人たちを一つにまとめたもの。『世帯主』はそれを代表する者で、世帯員の届出を代理できる一方納税の義務等連帯責任が負わされている。

*日本国籍のない人は、「外国人登録」制度によって管理されている。

○住民基本台帳への登録は、以下の資格確認と連動して行われている。
 国民健康保険の被保険者資格の有無の確認
 国民年金保険の被保険者資格の有無の確認
 介護保険の被保険者資格の有無の確認
 
「住基ネットワーク」へ接続している市町村のデータは、行政上の本人確認や年金受給者の生存確認等様々な行政領域に利用されている。

○届出の種類
 転入届:他の行政区からの引越し
 転居届:同一行政区内の引越し
 転出届:他の行政区への引越し
 世帯変更届:同一住所内における世帯内の異動
  ↓
 世帯変更届の種類「世帯の分離」「世帯の合併」「世帯主の変更」「世帯員の異動」


(3)「世帯分離」の実際

○原則的には、【「同居」かつ「生計を一にしている」】人は、恣意的な分離はできないらしい。

同居であっても、「台所が別」「玄関が別」等実質的に生計が別になっておれば良い。これは、児童扶養手当(母子家庭等)についても「世帯分離」しておれば別世帯とみなされる。双方に相応の収入があることも傍証にはなる。

○実際上は、あまりうるさくない。介護保険の改悪や自立支援法の施行時には、親子間の「世帯分離」については基本的に認められている。

同居の夫婦間の「世帯分離」にはそれ相応の理由が求められるようです。

○手続:区役所の市民課の窓口で「世帯分離したい」旨申請。
   (世帯変更届で「世帯の分離」手続をする)

市民課の窓口で、国保や高齢者保険制度の話をすると意図を理解できない担当者にあたった場合、国保の窓口へ行け等間違った指示をされるので注意。

役所内の手続きは、「世帯分離」ができないと次の手続きができない。
又、「国保などの手続きがあるのですぐ処理してください」とお願いすること。この処理ができないと、国保の窓口に行っても「世帯分離」の確認ができないため、手続が進まない。


(4)「世帯分離」の効果・・・世帯分離後の手続き

○国民健康保険の窓口
 世帯分離と同時に其々の世帯毎に健康保険証が交付される
 前期高齢者(70~74歳)は「高齢受給者証」交付(旧証は返却)

○老人保健の窓口
医療保険の変更を届出(「老人保健医療受給者証」持参)

○福祉事務所
  京都市の福祉医療(老人・母子・障害等):医療証交付(旧証は返却)
  介護保険:非課税世帯となった場合は利用料等の上限が変わります

*課税世帯で「限度額適用認定証」の交付を受けていれば国保及び老人保健の窓口で其々の更新手続きをする。

*非課税世帯の場合、「限度額適用・標準負担額減額認定証」を受けておれば、国保及び老人保健の窓口で其々の減額認定証を更新してもらう。今まで交付を受けていない場合は、この機会に発行してもらう。介護保険も同様の「減額認定証」がある。

●老人保健の「限度額適用・標準負担額減額認定証」は、「世帯分離」の場合のみ手続きをした月の翌月からしか効力を発しない。(月の初日のみそのつきから効力を持ちます)

従って、3月中に「世帯分離」した場合は、4月になってから後期高齢者医療保険の「限度額適用・標準負担額減額認定証」の交付手続きが必要となります。京都市ではそのような窓口対応をしているとのこと。

転居に伴う住民票の異動については、住居を定めた日の属する月から効力を発します。

転居を伴わない「世帯分離」については、厚生労働省として「ペナルティ」を課しているのではないかと思われます。


○国保の「保険料算定」「減免基準の適用」「高額療養費の区分適用」「住民税の課税・非課税」等については、健康保険証に記載されている被保険者全員で判定される。

 
*介護保険の保険料・利用料の上限等は、住民票上の世帯で判定

*京都市の福祉医療制度の「所得制限」については住民票上の世帯で判定
  「老人医療(65~69歳)」「母子家庭等医療」「重度心身障害者医療」
 「重度障害老人健康管理手当」等
 
*健保・共済の「高額療養費の区分適用」「住民税の課税・非課税」については、
  健康保険証に記載されている被保険者本人と被扶養者のみで判定


○福祉制度については、実質的な「世帯」で判断される場合が多い。世帯分離できたからOKというわけではない。社会保険制度と違って「保険料等本人の拠出がないこと(無拠出)」を理由にしていると思われます。所得制限も同じ考え方。

○税法上の扶養家族に入れている場合、別居して住民票が別でも福祉制度の適用をしない場合がある。特に、生活保護等は「親族に扶養されている」と難癖をつける。



<事例①:京都市国保加入>
世帯主:60歳(住民税課税・所得200万)
配偶者:60歳(住民税非課税)
母   :80歳(住民税非課税・所得33万以下)

現状:住民税課税世帯の扱い
 ↓
 老人保健・後期高齢者医療:「一般」扱い・・・入院44,400円
 介護保険料:課税世帯・・・第4段階57,120円
 国保料:均等割36,540円

☆後期高齢者医療保険料は、均等割45,110円(所得割 0円)
☆減免基準は「世帯主の所得」も加算して判定
 
世帯分離:非課税世帯
 ↓
 老人保健・後期高齢者医療:「低所得者」・・・入院24,600円
 介護保険料:非課税世帯・・・第2段階28,560円
 国保料:(均等割36,540円+平等割23,960円)×3割=18,150円

☆後期高齢者医療保険料は、均等割45,110円×3割=13,530円(所得割 0円)
☆減免基準は本人の所得のみで判定


<事例②:政管健保加入>
世帯主:60歳(住民税課税・所得200万)
配偶者:60歳(住民税非課税)
母   :80歳(住民税非課税・所得33万以下)

現状:住民税課税世帯の扱い
 ↓
 老人保健・後期高齢者医療:「一般」扱い・・・入院44,400円
 介護保険料:課税世帯・・・第4段階57,120円
 (健康保険料の負担はない)

☆後期高齢者医療保険料は、均等割45,110円で2年間の軽減措置が適用される(所得割 0円)。
☆減免基準は「世帯主の所得」も加算して判定
 
世帯分離:非課税世帯
 ↓
 老人保健・後期高齢者医療:「低所得者」・・・入院24,600円
 介護保険料:非課税世帯・・・第2段階28,560円
 国保料:(均等割36,540円+平等割23,960円)×3割=18,150円

☆後期高齢者医療保険料は、均等割45,110円で2年間の軽減措置が適用される(所得割 0円)。3年目から、均等割45,110円×3割=13,530円(所得割0)
☆減免基準は本人の所得のみで判定

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