さくらがダイニングの窓から外を見てたら
「可愛い猫ちゃん!お名前なんて言うの?」と声がしたので窓の外を見ると、
小さい犬を連れた散歩の途中のおばあちゃんがいた。
お名前はさくらにきいたんだろうけど、さくらは喋れないので私が顔を出して
「さくらです」と代わりに答えてあげた。
「可愛い猫ちゃんねー、そこにも猫ちゃんがいるのよ。」
そう言うとおばあちゃんは鈴をちりちりと鳴らした。
すると坂の上から子猫が
「ニャ〜」と鳴きながらおばあちゃんに近づいてきた。
私はてっきり、おばあちゃんは坂の上の方のお家の人で猫が迎えにきた。か
散歩に猫も連れてきてるかだと思っていた。
1週間後、ちりちりの鈴音で窓の外を見た時、おばちゃん一向はもう坂の上の方へ
歩いて行った後で、ちょうど庭で一服しているお向かいの大西さんのご主人と目が合い
(大西さんのご主人は1日の3分の2は庭で一服しているじゃないかと思うくらいヘビースモーカーだ)
猫は裏の御屋敷の大きな庭に住んでいる捨て猫で、おばあちゃんは毎日散歩の途中猫に餌を
あげてると言うのを教えてもらった。
大西さんは
「猫だけじゃないんですよ」と目線で指した方を見ると、マンションの駐輪場の低い塀に
一匹のからすが止まっていた。
猫の餌のおこぼれをもらおうとくるんですよ、と大西さんは少し厭な顔をした。
そして又1週間後、出かけようと駐輪場まで降りた時ちょうどおばあちゃんが通りかかった。
「猫は?!猫は今日もくるんですか?!」おもわず興奮気味に話しかける私。
「呼ぶわよ〜」
ちりちりと鳴らすと猫は鳴きながら姿を現し、おばあちゃんにすりすり、犬にもすりすり。
犬とも仲良しだ。
餌をあげるのは坂の途中の小さい神社だの、一緒にいた姉妹の猫は近所の縄張りに引っ越ししただの
話を聞いていると、後ろに気配を感じで振り向くとからすがいた。
するとおばあちゃんは
「ぼくちゃん!おいで!食べるよ!」とからすに声をかけた。
おばあちゃん、からすにも餌あげてたんだ。名前までつけてるし・・・。
ちなみに猫は「あさちゃん」だ。
「綺麗な羽の色でしょう?ほら!ぼくちゃんおいで!」
『・・・・・・いや・・からすはちょっと・・・・』
その日、からすは私がいるので用心してそれ以上近づいてこなかった。
今日、鈴音でそっと窓の外を見ると、おばあちゃんと犬と猫の後ろをからすが
ぴょんぴょん追いかけて行くのが見えた。
日本昔話みたいだ、と思った。
