Class of 2017のYです。以前のポスト(http://blog.goo.ne.jp/fuqua2007/e/66d336046fdad21cd21fdc070ff50435)でご紹介したビジネスコンペについてですが、運良く書類選考を通過することができ、去る1月20日、21日にノースウェスタン大学のケロッグビジネススクールで開催された表題のコンペに参加してきましたので、その模様と感想を今日は簡単にお伝えしたいと思います。
(コンペの概要)
今年で14回目の開催となる同コンペティションはヘルスケア関係のビジネスコンテストとしては比較的歴史が長く大規模なもののようです(Poets&Quants等でも紹介されています)。主催者によれば今年は約60のチームから応募があり、そこから11のチームを選考したとのこと。他の参加校はKelloggから2校、Wharton, Chicago, MIT, Berkeley, Tuckなどのいわゆるアメリカの有名校とイギリスからCambridge、フランスからHECのチームが参加していました。私の勝手な推察ですが、恐らく書類選考の鍵になったのはチームにヘルスケア関係のバックグラウンドがあるかどうか(参加者全員のレジュメが配布されたのですが、ほぼ全員何らかのヘルスケアのバックグラウンドがあるようでした)ということかなと思います。そういう意味で私のチームは私が政府系、もう一人がコンサルティングのヘルスケアプラクティス出身(昨夏は医療機器メーカーでインターン)、残りの二人が製薬会社出身というチームでした。またアプリケーションの際、上記のバックグラウンドに加えて人種・性別の多様性を強調したのも良かったかもしれません。
コンペのフォーマットはコンペ当日1週間前にケースが配られ、そのケースの中に書かれている質問について回答をパワポで準備し、その内容を審査員にプレゼンするというもの。今年のお題はいわゆる「グローバルヘルス」関連のもので、具体的には、ナイジェリアでは医療機関の数が不足していることなどを背景に、特に田舎では自宅出産が多く、出産時・出産後の衛生状況が良くないことから出生後間もない子供のへその緒の切り口からウィルスが入ることが原因となって、子供が生後4週間以内に亡くなる確率(Neonatal mortality rate、日本は0.1%、ナイジェリアは4%弱)が押し上げられています。このウィルスの感染を防ぎ、へその緒を清潔に保つためのトリートメント(塗り薬)を与えられた予算の中でどうやって普及させるかということが今回の課題でした。
(コンペの結果と提案内容の概要)
結果は非常に残念ながら入賞ならず。。。とても悔しかったです。我々が提案した内容を大まかに説明すると、ナイジェリアの都心部は田舎に比べると所得が総じて高く、比較的医療機関にアクセスしやすいことから、
こうした都心部で原価より高い値段で上記の塗り薬を販売し、そこで得られた収益を活用して所得の低い田舎部では無料で塗り薬を提供するというもの。コンペ後の審査員5人からのフィードバックでは、全員からアイデアは画期的だというコメントがありましたが、実行性の面からややクエスチョンマークがついたようです。フィードバックと併せて、優勝したチームと2位のチームのスライドも配布されましたが(コンペ当日は審査員だけがプレゼンを見ることが出来るようになっていました)、我々のものより地に足がついた実現性の高い提案になっていたと思います。例えば2位のチームとは田舎で無料で塗り薬を提供するというストラテジー自体は我々のものと同じだったのですが、無料にする際にどういうチャネルを使ってクーポンを配って、といったimplementationの部分で我々の提案よりも具体性が高かったと感じました。
(コンペ後のフィードバックと所感)
コンペ後チームメイトの1人と打ち上げに行きました(他の二人は疲労困憊でバタンキュー)。ここでFuqua伝統のフィードバックタイム。一週間ほぼ缶詰になって一緒に作業する中で、彼女が気付いた私の強みと弱みについて指摘してもらいました。強みは分析(特に数字関連)だそうで、確かにプレゼンで使用した数字はその計算方法の説明や仮定の妥当性を含めて私が考えたものが多かったと思うので、なるほどなと思いました。他方で弱みは議論をドライブする力(決める力?)が弱い、という指摘をもらいました。これは本当にその通りで、ディスカッションをする中で議論が行き詰まった際・簡単に結論が出ずに困っている際に黙り込んでしまうシーンが多くありました。自分のこれまでの職務上の経験を踏まえてもこれは本当に当てはまっていて、やや敷衍して、例えば選択肢が二つあった際に、自分では決められずに上司の判断を仰ぐことが多かった気がします。実際のビジネスの場でも、どれだけ綺麗に論理的に説明しきれるコンテンツを用意しても、結局最後の最後はわからない部分が残るわけで、そこは自分で決めて(仮に決め切れる自信がないのであれば限られた時間の中で決められるだけの努力をして)それを押し通すくらいの力強さ・リーダーシップが自分にはまだまだ足りていないんだろうなと思うに至りました。
結果自体には満足はいきませんでしたが、ヘルスケアにパッションを持つ他校のビジネススクール生とのネットワークが出来たこと、非常にダイバーシティの高いチームで悔しいと思えるほど一生懸命準備が出来たこと、その中で自分の強み・弱みを再認識できたことは今後の自分の財産になると思います。最後になりますが、コンペの開催にあたりご尽力頂いたKelloggの関係者の方々や後援の企業の皆様に改めて御礼申し上げます!
(コンペ後のチームでの写真、筆者は左から2番目)