みなさんこんにちは。2年生のJです。今回はFuquaで学ぶファイナンスについて紹介したいと思います。ファイナンスといえばニューヨークのウォールストリートを思い浮かべる方がほとんどだと思いますが、ノースカロライナのような森に囲まれた田舎でもファイナンスについて学ぶことは出来ます(笑)。私はMBA前の8年間ずっと投資の仕事をしていましたが、Fuquaのファイナンス教育にとても満足しています。
世界中の企業のCFOへのインタビューにより実世界でのリアリティーを紐解く「CFO Survey」をリードするJohn Graham教授、リスクマネジメント/アセットアロケーションの大家でありながら近年はフィンテック/ブロックチェーンに特化した授業を開講しているCampbell Harvey教授、インパクトインベストメントの研究教育センターであるCASE i3を立ち上げたCathy Clark教授など、これらは一例に過ぎませんが、たくさんの有名教授がいます。
その中でFall 2に履修したFixed Incomeについて少し書きたいと思います。教授のDouglas Breeden氏は数々の理論を提唱した学術者でありながら、資産運用会社を30年以上経営してきた実務家でもあります。Fixed Incomeにかかる理論や、各種アセットクラスの特徴、金利等を用いた経済予測、ヘッジ戦略などももちろん教えてくれるのですが、同授業の1/4位をかけて教えてくれた行動経済学が秀逸でした。LTCMの失敗から始まり、リーマンショック、Breeden教授自身の投資の成功と失敗の事例などを題材に、Duke大学の心理学の教授との共作による教材を用い、いかに人は間違いやすい生き物か、どのように人は間違った意思決定をしてしまうのかを体系的に教えてくれました。こうした教えはファイナンスというよりもマネジメントの本質そのものであり、長く実務をしてきた人からその教えを聞くことのできる機会は極めて貴重でした。
授業では行動経済学について15のまとめが教えられたのですが、そのうちの1つが「人は情報を得れば得るほど確信を増すが、必ずしも成功する確率は上がらない」というものでした。たくさん情報を得れば正しい答えを導くことが出来ると普通は思うかもしれませんが、人は元来Overconfidence(自信過剰)であることから、情報を得て自信が増すほど、自分の“間違った”考えに固執し、自分の考えを正当化するエビデンスだけに目を向けがちになり、結果として正しい答えに近づけないというものでした。
技術の発達によりこれまで以上に多くの情報を得ることが出来るようになりました。答えに近づこうと多くの情報を必死に追いかけているうちに、膨大な短期的情報の渦に飲み込まれて本質を見失いがちになっているかもしれません。良い意味で些末な情報(雑音)が入ってこないノースカロライナという田舎でこそ、ファイナンスや投資の本質に近づけるのかもしれないと感じました(ウォールストリートから遠く離れたオマハで圧倒的なパフォーマンスを誇ってきたウォーレンバフェットのように)。