映画感想(ネタバレもあったり)

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第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画) ネタバレ&ラストについて

2019-10-21 | ネタバレあり

 



物凄いものを観てしまった。。。

美術も衣装も所作もひたすらに美しいんだけどキレ味ハンパない。

「昔話だと思う?」とカメラ目線で訴える視線が痛い。

こんなに美しい自然なのに、牢の中で刑を受けているような人生よ。。


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女の子を産んだ途端「男じゃないのか」と言われた、というのは最近ツイートで読んだ話。
21世紀の日本の話。

この映画は19世紀のベトナムの話。


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ほとんど〝産む機械〟として嫁にとられた3人の夫人。

しかも〝男を産む〟ことを望まれている。

この3人、微妙な関係性ではあるけど、お互いに境遇の辛さは誰よりもわかり合えるので、
この牢獄のような家でなんとなく力を合わせて生きている。


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しかし、
妊娠した第三夫人が果物を食べようとすると
第一夫人が「果物はお腹に障るからダメよ」とストップかけて
自分は果物パクパク食べるという地獄シーンもあり。

これがポスターに使われている三夫人がピクニック的なことしてるシーン。


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養蚕と家畜のシーンをたっぷり見せてきて、
どのシーンも迫力だし綺麗。


蚕は幼虫のときに自分で頑張って細い糸で繭を作って
「さぁ成虫になるぞ」ってとこで
人間に茹でられて糸だけ抜き取られる。

女性らはその絹で編んだ美しいアオザイを着てる。


蚕や鶏や牛を長々と映すことで
女性らも「子供を産む」という点のみを搾取されていることが浮き上がってくる。

この残酷さ。。
女性監督ならではかと。
男性ではここまでは踏み込めない。。


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ラストもすごい。

ラストは賛否両論あるだろう、っていう感想を観ましたけど
そうでしょうかね。

「そりゃそうだろうよ…」って思うラストでした。
それでも衝撃でしたが。


ラストについては以下に。。




























第三夫人は娘を産む。泣き止まない赤ちゃんの口元で毒草を揺らす。

息子に嫁いできた女の子は息子に拒絶されて、「唯一の役目さえ果たせないのか!」と父に言われ、川で首吊り自殺。

「大きくなったら男になりたい。仏様に頼んでるの」と言っていた孫娘は長い髪を自分で切り落とし、カメラ目線。

エンドロール。
しばらくは川のせせらぎの音。
からの歌。

終わり





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