おはようございます。中小企業診断士の福田徹です。12月8日月曜日、今朝8時の東京・小平は晴れ、気温は5℃です。
さて今日は、中小企業大学校で担当している商工会議所・商工会の経営指導員向け研修の話です。この夏の初任者向けの基礎コースを受講したある経営指導員が、研修で覚えた内容を即業務に活かし、成果を出している話を通じて、研修の効果について考えます。
その商工会経営指導員は、今夏の研修終講日以来、2ヶ月半の間にこれまでの業務をこなしながら今月初旬までに120件の巡回指導をおこなったそうです。
巡回指導というのは、商工会の経営指導員が定期的に地域を巡回して、無料で経営相談を受けるという制度です。この制度は、窓口相談(商工会内で経営相談)とともに、経営指導員制度の根幹であり、本来の業務です。
しかし、巡回指導は、現在形骸化が著しいとされ、経営指導員は青年部などの部会活動、祭りなどの地域振興事業の事務局役などで忙しく、こうした本来業務がおろそかになっている面もあるようです。
そんな中、その経営指導員は、研修で覚えた「財務分析」を早速、本来業務に活かしました。「財務分析」とは、経営数値の分析手法で、会計資料などから作成することができます。
まず彼がやったのは、覚えたばかりの財務分析を今度は、巡回先の経営者に教えるためのツールづくりです。業界別に、必要な分析を計算式をつけて表にして、さらにこの数字がどういう意味を持つのかを書き出します。さらにその業界の企業規模別平均値をつけて、他社との比較もできるようにしました。
そして彼は、ツールを携えて地域に飛び込みます。経営者の反応はというと、ものすごく興味を持ってくれるそうです。
実はこうした分析資料は、決算時等に税理士が資料として渡してくれているケースが多いはずなのですが、人に作ってもらった資料は面倒で詳しく見ないものです。
一方、彼のツールは、経営者が自分で計算するから興味を持てるようです。
ある商工会会員経営者は、商工会を退会しようと考えていましたが、「こういうもの(自分が興味が持てて役に立つツール)を持ってきてくれるのだったら、商工会に残るよ」と考え直してくれたそうです。
今全国の商工会は、本来業務の形骸化や会議所との合併など、商工会の存在意義を問われつつあります。また、会員数の減少など足下の問題も大きいのです。
こうした状況での、本来業務を通じて会員維持の成果をあげる彼の活動は、大きな意味を持っていると私は思います。
ところで、研修の目的は3つの段階に分けて考えることができます。それは、「知識」「技能」「遂行」の3段階です。
「知識」は、単に知っているというレベル
「技能」は、それをやろうと思えばできるというレベル
「遂行」は、実際にするというレベル
つまり、教えるということの目的は、実際にやってもらうことです。これは、とても難しいことですが、研修を受けた人の行動を変えることが研修の目的です。
こうして考えたとき、大学校の夏の研修は、先の経営指導員さんの行動を変化させることが出来たのでしょう。関わったものとして、このことはとてもうれしく思います。
この時の研修の何が良かったのか、よりよくする改善点は無いかをよく考えて、今後より効果が高い研修が行えるように、私なりに努めたいと思います。
さて今日は、中小企業大学校で担当している商工会議所・商工会の経営指導員向け研修の話です。この夏の初任者向けの基礎コースを受講したある経営指導員が、研修で覚えた内容を即業務に活かし、成果を出している話を通じて、研修の効果について考えます。
その商工会経営指導員は、今夏の研修終講日以来、2ヶ月半の間にこれまでの業務をこなしながら今月初旬までに120件の巡回指導をおこなったそうです。
巡回指導というのは、商工会の経営指導員が定期的に地域を巡回して、無料で経営相談を受けるという制度です。この制度は、窓口相談(商工会内で経営相談)とともに、経営指導員制度の根幹であり、本来の業務です。
しかし、巡回指導は、現在形骸化が著しいとされ、経営指導員は青年部などの部会活動、祭りなどの地域振興事業の事務局役などで忙しく、こうした本来業務がおろそかになっている面もあるようです。
そんな中、その経営指導員は、研修で覚えた「財務分析」を早速、本来業務に活かしました。「財務分析」とは、経営数値の分析手法で、会計資料などから作成することができます。
まず彼がやったのは、覚えたばかりの財務分析を今度は、巡回先の経営者に教えるためのツールづくりです。業界別に、必要な分析を計算式をつけて表にして、さらにこの数字がどういう意味を持つのかを書き出します。さらにその業界の企業規模別平均値をつけて、他社との比較もできるようにしました。
そして彼は、ツールを携えて地域に飛び込みます。経営者の反応はというと、ものすごく興味を持ってくれるそうです。
実はこうした分析資料は、決算時等に税理士が資料として渡してくれているケースが多いはずなのですが、人に作ってもらった資料は面倒で詳しく見ないものです。
一方、彼のツールは、経営者が自分で計算するから興味を持てるようです。
ある商工会会員経営者は、商工会を退会しようと考えていましたが、「こういうもの(自分が興味が持てて役に立つツール)を持ってきてくれるのだったら、商工会に残るよ」と考え直してくれたそうです。
今全国の商工会は、本来業務の形骸化や会議所との合併など、商工会の存在意義を問われつつあります。また、会員数の減少など足下の問題も大きいのです。
こうした状況での、本来業務を通じて会員維持の成果をあげる彼の活動は、大きな意味を持っていると私は思います。
ところで、研修の目的は3つの段階に分けて考えることができます。それは、「知識」「技能」「遂行」の3段階です。
「知識」は、単に知っているというレベル
「技能」は、それをやろうと思えばできるというレベル
「遂行」は、実際にするというレベル
つまり、教えるということの目的は、実際にやってもらうことです。これは、とても難しいことですが、研修を受けた人の行動を変えることが研修の目的です。
こうして考えたとき、大学校の夏の研修は、先の経営指導員さんの行動を変化させることが出来たのでしょう。関わったものとして、このことはとてもうれしく思います。
この時の研修の何が良かったのか、よりよくする改善点は無いかをよく考えて、今後より効果が高い研修が行えるように、私なりに努めたいと思います。