ジョン・パーリン 『森と文明』 安田喜憲、鶴見精二訳 ←検索リンク
「木は文明の土台」 と、「はじめに」 に載っている。
メソポタミア文明の叙事詩『ギルガメシュ』で、ギルガメシュがフンババを殺すところから始まり、
クレタ島、ギリシア、ローマ、ヴェネツィア、イギリス、マデイラ島、アメリカと、
栄枯盛衰の背景には森林破壊が必ずついて回る、ということが、
淡々と述べられている。
恐ろしいほど着実に、人間は森を切り倒して栄え、また森が衰えると文明が衰退していく。
皆さんご存知のとおり、現代もその勢いは加速するばかり。
しかし訳者あとがきに、
「世界には、ここに描かれていないもうひとつ別の文明があるからだ。それは森の文明である。
ヨーロッパ文明のように、森を食べつくし、奴隷を酷使し、
他民族を絶滅の危機に追いやるような文明とはまったく異質の文明の潮流が存在するのだ。」
とあるのが心に残る。
日本は森を切り倒しても、10年もするとなんとなく再生する、
世界でも意外と珍しい、豊かな土地なのだなあ、というのを実感した。
(もちろん、原生林と里山とは違うものだけれど。)
この本を読んで、世界史を思うときに一本筋が通ったような気がした。
↑写真は、去年11月20日撮影。
朝もやが印象的だった。
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