≪手を動かさねばっ!≫

日常で手を使うことや思ったこと。染織やお菓子作りがメインでしたが、病を得て休んでいます。最近は音楽ネタが多し。

ダニエル・T・マックス  『 眠れない一族 』

2008-06-17 11:46:49 | 本 (ネタバレ嫌い)
紡ぎで少々くたびれているところに、
検診で空腹時血糖を調べるために朝抜きをしたのが思いのほか響き、
更に2日続けて子供の用事でお日様と風に晒されながら運動したせいで、
ちょっと洟が出るな、が立派な風邪になってしまった。
それで、一気に読書がすすんだという具合。

ダニエル・T・マックス 『眠れない一族』 ←検索リンク

読み物として、とても面白かった。

以前、トマス・ハリス『ハンニバル』 を読んだとき、
豚になにを食わせているかのシーンに震撼したものだった。
しかし、考えようによっては全く同じことが牛に行われている、と知って、
現実は小説より…、と思わずにはいられない。

以前にアップした、伊藤宏『食べ物としての動物たち』 をもう一度ぱらぱらとめくってみたが、
肉骨紛という熟語は目に入ってこなかった。


プリオン説を唱えてノーベル賞を得たプルジナーと、
それよりも早く伝達性スポンジ状脳症でノーベル賞を得たガイジュシェックの
それぞれ際立つ個性がよく描かれていて、それも読み物として面白かった。

しかし、マックス独りの述べる話だけでは、知識を得るには不十分だ、他の人はどう言っているのか?
ということで読んだのが、
福岡伸一 『プリオン説はほんとうか?』  講談社ブルーバックス2005年
福岡伸一 『もう牛を食べても安心か』  文春文庫2004年
の2冊。

以前に 福岡伸一 『生物と無生物のあいだ』 を読んだことがあったが、
彼の語りは穏やかで静かに語りかけてくる。
『もう牛を食べても安心か』 と 『プリオン説はほんとうか?』 でもそれは変わらない。
そして期待通り、現場の研究者でなければ分からない、
『眠れない一族』 を読んだだけでは得られなかったことが述べられている。

『プリオン説はほんとうか?』 はブルーバックスらしく、科学的読み物になっているし、
『もう牛を食べても安心か?』 は文春文庫らしく、
牛肉の安全性のみならず福岡伸一の生命観も述べられている。

犠牲者がそれなりの数、出てくるまでは、結局、政府は動かない、
といういつもの構造が、やりきれない。

福岡伸一の生命観は、とても深く、且つ私にはなじむ。
当分牛肉は食べたくないな。
(じゃあ、カナダ産の豚肉は?ブラジル産の鶏肉は?)



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