炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

式典がなくなった卒業生へのメッセージ

2011-03-29 09:55:35 | Weblog
 まずは、海外旅行で一緒になった学生さんたちに、「卒業おめでとう」とこのブログを借りて呼びかけさせていただく。

 本日、その卒業式典が行われる日のはずであった。
 この未曾有の地震と津波による災害で式典が取りやめになったことは、さぞ残念に思っているであろう。卒業式は、学業を成就し、それを生かす社会に一歩を踏み出す、そのけじめの式典である。
卒業の祝福は、これからの社会を若い世代に託して、若々しく、さらに活性化することを期待する先人達からのはなむけである。その祝典が取りやめになったことは、決して卒業生に期待しないことではない。この困難な事態を直視してほしいというメッセージと受け取ってほしい。
あるいは、被災地に出かけてボランティア活動をしたいと思っている卒業生もいるかも知れない。
 それもいい。
 しかしながら、社会に出て懸命になって働くこともボランティア活動と同じ、あるいはそれ以上の効果をもたらす。給料として支払われる報酬は、みずから働くことに満たないかも知れない。その働きは、社会に貢献できることとしてボランティア活動の一環と思えばいい。そのために企業が活性化すれば、日本国に活力がみなぎり、全世界からもすばらしい国であるとの評価がますます高まる。
 すべての民衆が若い卒業生の活躍に期待している。
 式典がなかったことを災いと考えずに、自然が与えた教訓と受け止めて、社会に勇躍すること、その心の豊かさは、必ずや生涯の豊かさをもたらす。

炉端にいながら、同じような立場にあるすべての卒業生に「卒業おめでとう」とのことばをとどけたい。
(納)

放射能汚染環境下でのロボットは(続)

2011-03-25 16:04:47 | Weblog
 前回の同じ題目で、応さんからIEEEの記事があることを紹介された。世界中から同じようなコメントが寄せられていたわけである。
次に、この記事の概要を紹介する。
 今回の福島第一原子力発電所は、地震に加えて津波に襲われ、さらには複数の爆発が起こったために、多くの瓦礫のような障害物に阻まれ、ロボットが容易に動き回れる状態ではない。災害用に開発された特殊なロボットは遠隔操作を必要とするが、そのためのケーブルを引き回すことは困難であり、無線による遠隔操作も分厚いコンクリートによる原子炉容器の中では電波による制御指令は到達しない。
強力な放射能は集積回路素子とかセンサー、あるいは各種データをも破壊する。放射能に暴露されても動作する電子機器(radiation-hardened electronics)は、さらに重厚な遮蔽機構で覆わなければならない。
 さらに原子力発電所の中ではロボットが動き回るような空間を持つ構造設計は想定外として行われていない。
 このような困難な状況下ながら、1999年に発生した日本原子力開発機構の東海研究開発センターの事故を教訓に、キャタピラーで動き回りながら各種放射線を測定し、映像を送ることができるロボットが開発製作されており、すでに稼働しているという。
人間そっくりに作られた各種作業に従事できるヒューマノイド、いかに日本がこの分野において最先端にあるといえども、いまはない。
 様々な役割をこなすことができる軍事用ロボット、第二次大戦後の事情から、日本では開発されていない。米軍はイラクとかアフガニスタンの戦場で使用された多目的のロボット iRobot's PackBotを提供できるが、日本の電波管理行政はきわめて厳しく、非常時にあってもこのロボットを日本で稼働させることはできない。
 省力化のためには、自動車産業では徹底したロボット工程を取り入れたが、原子力利用には全く採用していなかった。

 以上は応さんが紹介した記事の概要である。

 日本の原子力発電所は様々な問題に対処しながら設置された経緯がある。
日本国は世界唯一の原子爆弾被爆国であることから、原子力発電所の建設には反対論があった。日本の発展を支える工業力の推進にあって電力エネルギーの需要は高まり、その供給のために原子力発電を採用せざるを得ない背景があった。日本国は、好むと好まざるとにかかわらず原子力発電を導入しなければならなかったのである。
 被爆国の国民、特に原子力発電所が建設される地域住民は、災害による放射能汚染がないかと危惧を持ち、その建設に反対した。電力供給の要求を満たすために、原子力発電所を建設しなければならない立場にある人は、想定できる災害に対処した安全設計を行うから原子力発電所は、いかなる(想定内の)災害にたいしても安全であると説明した。
 安全であることを説明した以上、災害により事故を起こして放射能に汚染される対策は想定外となる。
 想定外の災害対策を行えば、原子力発電所は災害時には安全ではないことを地域住民に知らせることになる。災害対策のロボット等も想定外として、費用もかかるから開発しない。

 原子力発電所はフェール・セーフの概念の元に設計されていると聞いたことがある。元KDDの渡辺昭治氏が最初に学会で紹介したフェール・セーフの概念は、複数の故障が生じても安全に処置する手法と理解している。地震があり、どのような津波が襲来し、火災が生じようとも安全に処理することがフェール・セーフの高邁な理念である。残念ながら福島第一原子力発電所の設計・建設は、フェール・セーフではなかった。
 原子力発電所の設計・建造とその運用、フェール・セーフの理念を達成できなければ、人類は原子力発電の恩恵から撤退せざるを得ないであろう。
(能)

風評被害

2011-03-23 13:34:04 | Weblog

 風評被害が問題になっている。全くナンセンスな風評もある。曰く、太平洋を越えて放射能がアメリカ西海岸に来るとか、カリブ海の島に到達し、やがて大西洋を回ってフランスに到達する、等など。
 風評を防ぐには正確な情報を早く流すしかないというが、マスコミの情報の扱い方にも問題があるのではないか。不安を口々にしている人々の映像を先に映しておいて、その後に、風評に根拠がないと専門家がいくら説明しても、映像を見ている人に、全体として、やはり不安だよねえ、という印象を植えつけてしまう。
 事象をそのまま映す事は重要だと主張するに違いないが、何でも、ただ、映像を流せばよいということではない筈だ。ましてや、マスコミが風評のお先棒を担ぐようなことがあってはならない。
 極論すれば、神経質になっている昨今、専門家のきちんとした説明(素人でも分かっているような事しか話さない専門家と称する者を時に見かけるが、失望する)だけを流すだけでよいのではないか。

 話は違うが、先日放映のBS-8「Prime News」で、うがった話を持ちかけたテレビ司会者(時に鋭い切り込みで、私はこの司会者を評価しているが)が、「外交に関してうがった話がよく言われるがその殆どは間違いだ」と外務省元官僚にたしなめられていたのが印象的であった。(青)

携帯電話、位置評定ができるようにしては

2011-03-23 09:27:58 | Weblog
今回の東北太平洋沖地震に遭遇して、手にしていた携帯電話、通信機能は全くなくなり、無用の小箱であった。
ニュージランドのクライストチャーチで発生した地震では、被災して閉じこめられながら、携帯電話で遠く日本にまで連絡がつき、本人ばかりではなく、周辺にいた数人も救出されたことが報道された。通信量が少なかったことが幸いして携帯電話、ただの小箱ではなかった。

携帯電話は、通信可能なサービスエリアに入ると回線が繋がるように自動的に設定される仕組みになっている。この機能を利用すれば、携帯電話の位置を的確に評定することができる。

アマチュア無線家達の競技のひとつに、フォックス・ハンティングがある。これはある周波数で連続的に発信する無線機を広い地域のある場所にかくしておき、指向性のあるアンテナにより探し出し、位置を特定するまでの時間を争う競技である。いまもってこの競技を行なっているかどうかはわからない。野生動物の行動範囲を調査する目的で、動物に電波発信機を着け、動態を監視することも同じような手法で行われている。

携帯電話の場合、探す方から電波を発信し、携帯電話からそれに答える電波が戻ってくるようにする技法が原理的に可能である。携帯電話は短時間の送信ですむから、電池の消耗も少ない。さらに最近の携帯電話には、水密性がある機材も提供されているので、今回のような津波災害に遭遇してもこの機能は保持される。
指向性のあるアンテナを使えば、複数の箇所から方向を評定して携帯電話の位置を定めることができる。携帯電話の番号がわかれば持ち主も特定できる。

必要なことは携帯電話会社が軽量小型の探索用機材を開発し、それを災難救助にあたる機関に提供することである。このサービスができるようになれば、その携帯電話会社の契約数が伸びることは確かであろう。
このような機材を備えれば、大学入学試験でカンニングをする事件など、未然に防止できることも付け加えておきたい。
(応)

救援電力供給事情の改善 -電源周波数の全国統一を

2011-03-22 15:15:43 | Weblog
 計画停電から先ほど解放されて電力が供給されている。
関西電力に勤務していた友人から、東京電力に対する救援電力はほとんど送ることができないから不便でしょう、というお見舞いのメッセージが届いていた。
 日本の本州の真中付近を境にして、供給電力の周波数は東側が50ヘルツ、西側が60ヘルツであることは衆知のとおりである。終戦後この電力周波数を統一することも考えられたが、戦後の復興を優先したために、かえりみられることなく現在に至っているという。
国を分断して電力周波数が異なる国は全世界の中でも数少ない。

この電力周波数が違うことから、東西の電力は相互にそのまま電送できない。周波数の変換を要する。調べてみると周波数を変換する設備は、佐久間周波数変換所(浜松市天竜区、容量30万kW)と新信濃変電所(長野県朝日村、同60万kW)さらに2006年3月に運用できるようになった東清水変電所(静岡市清水区)の3箇所にある。東清水変電所の変換設備は30万kWの容量であるが、高圧送電線の建設が遅れており、いまのところ送電できるのは10万kWが限度という。従って100万kWの救援電力しか供給できない。

東京電力の発表によると3月18日の需要想定(18時~19時)が4,000万kWであるのに対し、供給力が3,400万kWと、約600万kWの不足となっていた。また3月22日 本日のピーク時の供給力は3,700 万kWと300万kWほど改善されているものの、昨年同日の予測ピーク値は4,100Kwであり、いまだに400kWほど不足する。
関西方面で救援電力の余力が仮にあったとしても、本州中央部の電力を融通するためのパイプは細すぎる。

この災害を機会に電力周波数を60ヘルツに統一してはどうか。是非とも事業仕分けで辣腕をふるい、新たに災害担当となった大臣にお願いしたい。
まさに国家百年の計に直面した事態である。

この電力周波数統一が可能かどうか少しばかり調べてみたところ、自宅の家電製品は、ことごとくいずれの周波数にも使用できる。電力消費側で電力周波数が異なるために使用困難となるのは同期式電動機を用いた機械であるが、インバータを組み込んだ操作性のいい変換設備が、いまは手にはいる。戦後とは事情が異なる。

大きな投資を必要とするのは、発電・供給設備であろう。
素人の発言とそしりを受けることは覚悟して言えば、発電機は回転数を変更するだけである。回転数を増加しなければならないから機械的な問題があるであろう。
変圧器については原理的に、いずれの周波数でも対応できる。
電力供給は国家の基盤となるエネルギであることは今回の災害で国民が痛感している。
電力周波数の全国統一、今後も遭遇する災害に耐え得る日本国のためにも必要な事業である。
(納)

放射能汚染環境下でのロボットは

2011-03-21 13:26:25 | Weblog
 3月21日現在なおも福島原子力発電所では、危機的な状態を避けるために多くの方々が放射能の暴露を防ぎながら必死になって活動しておられる。まことに頭が下がる思いである。

 このような放射能がいかなる原因で放出されているか、知るよしもない。しかしながら、ヒトが放射能にさらされながら活動しないですむようなロボットはないのだろうか。
多くのロボット研究者がいて、なおかつ災害対策ロボットを製造しているといわれているにもかかわらず、である。

 この疑問に対して、「ナイ」と自答せざるを得ない。

 理由は、放射能下にあってはロボットを動かすためのコンピュータは誤動作して使い物にならないと思うからである。放射能の影響下においても動作するコンビュータの研究を行っていることは聞いたことがない。
 またそのような研究は、日本ではできなかった。
 放射能の影響を調べることはタブーとして大学の研究室から、たとえ微弱の放射性物質といえども、マスコミも騒ぎ、一切除去されたことは、いまだに記憶に新しい。
 知りうる範囲であるが、宇宙空間に打ち上げた人口衛星が宇宙線によりコンピュータのメモリが誤動作する報告を見聞きしたにとどまる。

 原子力発電所を保有する限り、放射能があっても災害に対処できるロボットを開発することが課題であること、いま、まさに知らされている。
(能)

東北太平洋沖大震災 -教訓になる話題-

2011-03-20 06:16:29 | Weblog
 釜石のある小学校と中学校の生徒達が、津波から無事避難できたというテレビ報道があった。
災害の研究をしている大学の先生は過去に釜石に襲来した津波のことから、釜石の小学校と中学校を何度か訪れ、これまでの津波のこと、そして津波が来襲したらどうすればよいかを教えた。近くの具体的な避難場所を教え、大きな生徒達が小さな子供達に手を貸しながら共に避難するように指導していた。
 大学での研究室から出て現場におもむき、研究成果をもとに次世代の子供達にわかり易く、しかも具体的な避難行動にいたるまで教えた。それが今回の災害に役にたち、子供達は無事避難できたという。
 薦められた避難場所から、引率していた教師の判断でさらに高い場所に避難した。わずかな時間しか残っておらず、危なく津波に巻き込まれるところであったという。

 福島第一原子力発電所の危機的状況にあって、テレビ出演される専門家が想定外の地震とか津波という言葉をよく口にしている。この大学の先生は、これまでの釜石の津波の研究を元に、想定される津波襲来の危険性を子供達に教え、それが尊い命を守った。
 災害に関し、想定外であるから被害を被ったとの言いわけは許されない。
 想定内として人命にかかわるような被害には及ばないようにしておく必要がある。
(納)


福島原発事故の収束を願う(改訂版)

2011-03-18 14:32:18 | Weblog

 福島原発事故に関する実態が今もってはっきりしない。東電からの科学的・工学的な詳しい説明がなされていない。原子炉発電施設に対する科学的・工学的全体を把握している者がいないのか、あるいは生じている事態の実情を話したくないのか。マスコミの質問にしても、そこに登場する専門家と称する方々の話も、ポイントがずれているような気がしてならない。

以下、疑問の数々を整理してみよう。

 

しかし、初めに断っておきたい。今、現場では目下の対策で手一杯であることは十分理解している積りだ。その奮闘には感謝したい。これは、非難のためではなく、事態を整理し、今後の反省点(これによってこそテクノロジーは進歩する)を探りたいのだ。時間をかけて文章を練っていないので、不備の点があるかもしれない。

 

外国の友人からお見舞いをいただいているが、その中でHave discussions started on  what can be ‘learned’ from the event? ’ ’は私がつけた)とある。

 

1)異常・緊急時の対応については炉心に関するものと、使用済み燃料に関するものとを区別する必要がある。

 

2)炉心についての対応については、米国Nuclear Regulatory Commissionが定めている以下のようなNuclear Safety Systemsが福島原発にも施されている筈である。しかし、その実態を確認する必要がある。

①核反応を停止するための制御棒の挿入システム。

これは地震後直ちに動作した(したがって核反応は停止した)。

②炉心(圧力容器内)冷却水循環システムの停止

 地震によって電力が失われ、ポンプの停止によって、炉心を循環する冷却水が止まる。しかし、予備のディーゼル発電機が動き1時間程度、ポンプ(したがって炉心外部の熱交換器)は動いていた。要確認。

 その後の津波の襲来で、ディーゼル発電機破壊。予備のバッテリーに切り替える。これはうまく動作した。しかしバッテリーは8時間で消耗。ポンプ系が停止。要確認。

 この間、電力の確保が極めて重要なのに、電力復旧の努力がどの程度行なわれていたのか疑問。要確認。

③炉心(圧力容器内)への冷却水の緊急注入システム。

 炉心温度の上昇を防ぐために、炉心内が高圧でも冷却水を注入できる装置が用意されている筈である。高圧注入装置は炉心冷却水のレベルが一定のレベル以下になると自働的に注入することになっているが、炉心水位の低下と炉心温度の上昇が続いたので、これは動作しなかった。バッテリーによって電力は確保されたのに、これが動かなかった原因が不明。高圧冷却水注入装置用のポンプが故障しているか、要確認。

④炉心(圧力容器内)の水蒸気抜き(vent steamとあるのを私が訳)システム

 炉心(圧力容器内)の圧力を抑制するため、炉心(圧力容器内)の水蒸気を格納容器(炉心は、まず、頑丈な鋼鉄製圧力容器で囲まれ、さらにこの圧力容器は黒鉛を内張りした頑丈な気密コンクリートで囲まれている)内―ここが重要―底部の水プールに、自動的、もしくはオペレータの手動で、放出されることになっている。

ア)格納容器内に放出されたのであれば、格納容器の気密性によって外部に水蒸気(高温のため水素と酸素に分解している)、したがって水素が洩れるはずはなく、水素爆発も起こるはずがない。

ロ)炉心(圧力容器内)のウラン核分裂で生成される副産物であるセシウム等の放射性物質が外部で検出されている。

 以上から、炉心(圧力容器内)の蒸気抜きは、いきなり外部になされた可能性がある。要確認。

⑤低圧冷却水注入システム

 炉心(圧力容器内)の圧力が低下した後、炉心(圧力容器内)に冷却水を注入するシステムが用意されているはずだが、これは動いたのであろうか。炉心(圧力容器内)の気圧、温度ともにあまり下らないのは、これも動作しなかった可能性がある。要確認。

 ⑥炉心(圧力容器内)スプレーシステム

 炉心(圧力容器内)燃料棒が露出したときに燃料棒に直接に冷却水を撒布(スプレー)するシステムが用意されているはずだが、これは動かせたのであろうか。要確認。

⑦格納容器内のスプレーシステム

 格納容器内の圧力が高まるのを防ぐために、格納容器内の水蒸気を冷やすスプレーシステムがあるはずであるが、これは動かせたのであろうか。要確認。

⑧格納容器の一部であるプール(トーラス)が破損したのではないかと言う報道がある。格納容器内の気圧が一気に1気圧に減少したことから、この破損は確実であると思われる。格納容器は全てを閉じ込める最後の砦であり、この破損は極めて重大である。破損箇所と程度はどのようなものであろうか。要確認。

 

  8時間も電力が確保されていたにもかかわらず、ポンプ類,バブル類の故障などで、以上はいずれも動作しなかったと思われる。ポンプ類の故障は地震による可能性が高い。要確認。

 キーポイントは、炉心(圧力容器内)を水(プラスboron)で満たすことで、現在どうなっているのか、使用済み燃料プールの問題と明確に区別してはっきりさせてもらいたいものだ。

 外側から放水してもあまり効果はないと思われる。電力の回復が尤も核心的重要事だが、ポンプ類が故障しているとなるとこの修復に時間がかかることになる。 

 

3)使用済み燃料棒プールへの対応

①直の対応はプールに水を注入することだが、何故、プールの水が減ったのであろうか。コンクリートプールにひび割れが生じたのであろうか。使用済み燃料棒の温度上昇によって水が蒸発してしまったのであろうか。この原因が分からないといつまでも水を補給する必要がある。要確認。

②ほかの原子炉で冷却水が不足する事態が見られたのに、プールの水の減水に早くから推測しなかったのは不思議だ。要確認。

 気付くのが遅れ、放射能レベルが上がってしまうと手がつけられないのは見ての通りだ。

 

4)その他

①外気の放射のレベルだけではなく、検出される放射能物質がどのようなものか知りたい。CesiumIodineのほかにUraniumは出ていないのであろうか。要確認。

 現在の高濃度の外気汚染はどこから来ているのか。どこかの炉心(圧力容器内)からの漏洩なのであろうか、使用済み燃料棒の溶け出しのためであろうか。要確認。

②福島原発のあるものは40年前、1971年(何と若き私が始めて国際会議に参加した年だ)に建設されたという。その後のメンテナンスはどうなっていたのであろうか。要確認。

③危機対応マニュアルと訓練状況はどうだったのであろうか。要確認。

④海水を注入するということは、原子炉の廃炉を意味するという人もいる。あるいは、回復させるにしても34年を要するという。今後の発電供給対策を考えておく必要がある。日本は火力発電能力の余力が十分にあるとの事だから、当面この手段を活用せざるを得ない。石炭火力発電技術では優れたものを開発している(世界に輸出したいと張り切っている)ので検討を待ちたいものだ。(Robert Nielsen)


災害防止のため停電予告を

2011-03-17 20:39:48 | Weblog

 いきなりの停電で火災になるところであった。停電予告をお願いする。

 

本日は午前中に計画停電があった。

夕方に再度停電するとは思わなかった。電力を使用するファンヒーターで暖をとっていたところ、いきなり停電したためにヒーターは熱されたままファンが停止した。過熱状態となり煙が発生し、危なく火災事故になるところであった。

 

停電の予告があれば、安全に停止できる。本格的な停電を行う前に数秒間ほど停電させて復帰させることで予告を行い、5分ほど経過してから停電するようにしてはどうか。このような停電予告は、戦後の頃には実施された記憶がある。

 

計画停電には協力する。

しかしグループに関係なく無計画停電の状態に陥っており、予告なしの停電は災害を引き起こすことがある。

電力会社は、このことを緊急に認識してほしい。

 

これを読まれた方はツイートしていただければ、他の原因で発生するかもしれない重大な事故を防止できる。

(応)


地震・津波・事後災禍などを書き残すこと           

2011-03-16 08:50:37 | Weblog

今回の東北関東大震災M9.0、津波の襲来とともにまことにすさまじい災禍をもたらしている。

いま現在なお福島原子力発電所が危機状態に陥る可能性のまま推移している。

 

まずは地震にあわれた方にお見舞い申し上げると共に命を落とされた方に哀悼の意を表し、いまだに行方不明の方の救出を念願し、さらに避難所で過ごしておられている方々の苦難に対して何らかの手をさしのべたい心情である。

 

地震に遭遇した体験とか提言等は、必ずや再び起こる地震の対処に役立ち、後世の教訓となることから、書き残しておくことは意義がある。

 

炉端からのささやかな呼びかけである。

(納)


焦点をぼかす背景説明

2011-03-09 16:07:07 | Weblog

  ケイタイ電話を使った大学入試のカンニングで大騒ぎしている。大学はしてやられたと言う感じで、対応に大わらわだ。マスコミも大きく取り上げ、専門家と称する連中が、いかにも納得顔で、その背景とやらを喋っている。曰く、ケイタイは若者に浸透しいまや新しい文化を形成している、なんでもネットに尋ねる風潮が普通になっている、云々。あるいは、監視を怠ったのではないかとか、入試方法が時代にそぐわなくなっているのではないか、などと言う向きもある。あるいは、母親を安心させたかったのだそうだ。それらを聞いていると、ネットカンニングも自然な成り行きでおこなわれるようになった、と納得してしまいそうな気分になる。

 ちょっと待ってください。話しを混乱させてはいけない。ことは簡単明瞭で、自分の欲望のためには公の約束事を平気で破る、と言うことが核心なのではないか。これこれの背景があったからネットカンニングが行なわれたという解説はあまり重要とは思えない。監視の目が甘いからネットカンニングが生まれたという訳ではない。インターネットが普及したからネットカンニングが生まれた、と言うのは本質ではない。約束事を守らないという倫理感の欠如が、ネットカンニングと言う形で具現化しただけなのではないか。別の状況にあれば、また別の形でカンニングに類すること(不正の抜け駆け)をするに違いない。

 この頃、殺人事件でも、政治と金の問題でも、構造的問題としてその背景がいろいろと弁じられる。しかし、背景説明の饒舌によって問題の核心がぼやけてしまうのを危惧する。ネットカンニングにどう対処するかという民放のアンケートでいろいろ言われていたが、「本人の責任」を問う―これこそが問題のキーポイントだ―声が最も少なかったのに驚く。焦点がすぐぼけてしまうのが、現代社会の混沌の現れであろうか。教育者たるもの人を見たら泥棒と思えというわけにもいかない、とピンボケな事を言っている大学人もいた。

不正は不正として簡明に処断しないと、話しがうやむやになり、その結果、不正の蔓延を許す風潮になってしまうのではないか。寒々とした気分になる。(青)


エキスコン(10) -メモリ間の処理機構-

2011-03-07 14:59:27 | Weblog

 次世代のスパコンのことをこのシリーズでは、より上位のエキスコンと位置づけて様々な話題を取り上げている。前回のエキスコン(9)では、メモリを中心としたシステムの出現可能性を述べた。Googleが構築している巨大なメモリをネットワーク接続構成しつつあり、これこそメモリ中心システム実現化の例であると説明した。

その検索エンジンは、辞書式検索としてモデル化できることも述べている。

 

 コンピュータには中枢的な機能を持つ演算器がある。この演算器の演算速度は、いわゆるスパコンの能力の指標となっている。

しかしながらヒトの脳にはコンピュータと同じような演算器は存在しない。どのように計算能力が高いヒトにも演算器はない。ヒトの脳に存在するのは、辞書式検索メモリといってよい。

 小学生の低学年のときにかけ算の九九を覚えさせられたことを思い起こして頂きたい。

かけ算を辞書的に記憶し、二組の数値をキーワードとして計算結果は脳メモリの中から取り出すのである。日本では9×9までであるが、インドでは計算が得意となるように1919までのかけ算を覚えるという。

 コンピュータでもこれと同じように二組の数値から計算結果を辞書式に引き出せばよいのではないか。そうすれば演算器はなくともよい。

 その通りである。

しかしその演算器と同等の辞書は膨大なメモリを必要とする。32×32ビットのかけ算器をメモリで構成するものとしてみよう。かけ算結果は64ビットになる。概略の計算であるが、2の70乗個程度のメモリ素子が必要であり、これは1020乗個以上になる。エクサの単位で表すとほぼ4Eとなる。論理素子を用いたかけ算器は遙かに少ない素子数で構成できる。したがって演算器の代わりにメモリを使うことは当分の間はあり得ないであろう。

 

 それではエキサ単位のメモリでどのようなことが可能か考えてみよう。

 2011年2月現在、動画の記録・再生にはブルーレイ方式のレコーダが使われている。最近の情報によるとTDKが6層の記録層により512GBを記録できるシステムを試作している。これでBSディジタルの1920×1080ピクセルの動画は約20時間分が記録できる。

 1EB(エキサバイト)には約40000000時間、つまり24時間×365日×4600年=40296000時間であるから、約4600年にわたる動画が記録できることになる。動画の情報量は、文書データなどの情報量とは比べものにならないほど大きい。Google は世界中で発生するありとあらゆる種類の情報を記録して、2009年には280EBの情報量を蓄積していることを前回のキスコン(9)において引用により紹介した。

 大容量のメモリは、演算器には及ばないとしても、何らかの大きな可能性を秘めていることはわかる。しかしながらこの膨大なメモリに、いかにアクセスしてどのようにして活用できる情報を引き出せばよいか。

ITに関する今世紀の最も大きな課題の一つかも知れない。Googleの傘下にある多くの頭脳労働者は、ありとあらゆる分野からその課題解決に日夜取り組んでいると想像する。

 

 ここまで書き進んだとき、京都大学の入学試験でインターネットを用いたカンニングの報道があった。試験中に問題をサイトに投稿して回答を求めるという事件である。警察はプロバイダに残された記録をもとにこの受験生を特定、逮捕して、現在なお捜査が行われている。

 インターネットの巨大メモリに携帯電話の通信機能を用いてアクセスし、これに書き込みを行う。メモリに書き込まれたのは単なる問題としての情報に過ぎないが、その情報にアクセスした別人がこれに回答を寄せ、それを再び通信回線でアクセスしてメモリに書き込んでいる。

回答の作成はプロセシング、すなわちデータ処理と見なすことができる。この回答作成であるプロセシングには直接コンピュータが行っていない。

 別の言い方をすると、いまの巨大メモリ・システムつまりクラウドには、コンピュータ内部で行われるような情報処理機構は存在しない、といえそうである。

 

手元にあるIEEESpectrum201012月に ‘The Brain of a New Machine’ という記事がある。ヒトの脳と同じようなコンピュータができないだろうかという内容であり、コンピュータの未来志向を暗示していることは興味がそそられる。その中でメモリとメモリの間にプロセシング機構を入れて接続すれば、ヒトの脳の機能に近くなると主張している。さらに開発段階ではあるが、それが実現できるようなデバイスもありそうだという。この記事の著者は、ボストン大学の M. Versace B. Chandler である。記事の中に「脳(機能)の統一的な理論がないことが最も重要(な背景)である」とあり、いまだに解決しなければならない課題があることは確かである。

 

 私も脳神経の機能について興味を持って資料を集めて調べているが、神経細胞の情報伝達は一方向なのか、あるいは両方向なのかさえよくわからない。この両者の差違は神経細胞での処理機能に大きく影響すると考えている。多分両者の神経細胞がヒトの体の中で住み分けているのではないかと推量している。もとよりそれだけでは神経の処理機構の統一的理論が構成できないであろう。私は神経細胞内の信号伝達速度差が別の処理機能に拘わるものと考えている。

 

コンピュータができるがヒトにはできないこと、逆にヒトはできるがコンピュータではできないことがある。

それらは何であるか。

 

この課題を提示して、この回のエキスコン・シリーズ、ひとまずの区切りとする。

(納)