炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

ゲーム脳とは

2008-07-21 10:10:06 | Weblog
中学校のある先生から、発達障害を持つ生徒が多くなっていると聞かされた。
自分の意見が通らないとカンシャクを起こす生徒や視線が定まらずキョロキョロする生徒、周囲の状況を見ずに立ち歩く生徒たちと今まででは考えられない行動をする生徒が確実に増加しているという。
1990年代に入り、発達障害の先駆けとしてLD(Learning Disability)が学校現場にも知られるようになり、また当時「ジャイアン症候群」と呼ばれていたADHDも今では定着し、さらにアスペルガー症候群といった発達障害も今では教育現場の中でよく使う言葉となっているという。
精神的な発達障害とみなされる。
学校現場から父兄にこのような発達障害があることを親などに連絡すると、自分の子供を精神障害者にするとはなにごとか、そんなハズはない、と受け付けてくれない。このような児童は、周囲の児童から避けられて孤立するから、「いじめ」であると思い込み、登校拒否にもつながる。
親は、学校でのいじめが原因であるときめつけて学校側の責任を追及する。
親の立場は、これまた理解できる。自分の子供は正常で発達障害などの病気ではないと信じたい。従って「精神的発達障害」という語はよろしくない。
ここでの提案だが、病名として明らかになりつつある精神的発達障害のことを総称して「ゲーム脳」というのはいかがであろうか。「ゲーム脳」として発達障害となる生理学的な理由は、すでによく寝る子は良く育つとはに記述しているので参考にしてほしい。
「お宅のお子さんは、『ゲーム脳』化のために社会性が遅れています」と親もしくは親権者に、その事実を理解していただくのである。

ここまで書いてから、ゲーム脳のことをインターネット検索したところ、森昭雄著「ゲーム脳の恐怖」という文庫本があり、かなり売れていることがわかった。そこで早速この本を読んだ。森氏の試作した「簡易脳波計」については、私も脳波解析を行ったことがある経験から、科学的な根拠についての検証が充分行われているかどうか疑問になった。私の経験では、β波といわれる脳波は、α波に比べて著しく弱く、しかも短時間に発生し、森氏の述べている周波数範囲13-30ヘルツの範囲を超えるβ波も存在する。また脳波の分野ではアーチファクトと総称する妨害が多く、β波を分離するのは難しい。ゲームを行いながら測定しているようにも文庫本に書かれている。まばたきしたり、眼球が動くだけで筋肉から発生する電気的信号、すなわち筋電流がアーチファクトになる。したがってβ波の観測には静かに目を閉じて安静にし、声さえ出さないようにしておかなければ観測できない。森氏が開発した簡易脳波計がどのくらい正確にβ波をとらえているか検証が必要である。
 また森氏はα波とβ波が同時に出ているという仮定のもとに、その比率を計測しているようであるが、これまで広く行われている脳波に関する研究結果では、β波が出るときにはα波が停止するとされている。α波のブロッキングといわれている。
 森氏は、ゲーム脳が脳に関する生理的障害とこの文庫本のなかで主張している。脳波の計測手法と相まって科学的な検証が必要である。

 私は、コンピュータによるゲームによって脳に障害をもたらすとは考えていない。ゲームに耽溺することがよくないことは確かである。夜間熟睡しないことで様々な生理的な障害を引き起こすことは、よく知られるようになっている。
 成長期にある子供達の発育時に、ジャイアン症候群と呼ばれているADHD、アスペルガー症候群といった発達障害を親たちにわかりやすく「ゲーム脳」化ということにすればいいとのではなかろうかと考えた。

それも課題が残る。
 先般のラジオ放送「子供の心相談」に耳をかたむけていたところ、大人に囲まれて育っているある子供、大人との会話ではうまくいくが、子供の社会ではうとんじられ、孤立しているということについての相談があった。社会性にかかわる精神発達障害である。少子化社会の問題点の一つであろう。これも「ゲーム脳」化といえるかもしれない。しかしながら「この子はコンピュータのゲームなどは一切やらせたことがないのに、どうしてゲーム脳化なのでしょう」と問われる可能性は否定できない。
 一般にわかり易く、しかも親たちにも「そうか」と受け入れてもらえる知育発達障害をあらわす用語はないだろうか。
(脳)

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