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炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

海外旅行の添乗員

2010-04-18 09:42:50 | Weblog
個人旅行にこだわっていたが、友人の誘いもありクロアチア観光団体旅行に参加した。
団体旅行は訪問先、旅行日程、参加者との融和、そして添乗員の采配ぶりによって楽しく愉快にしかも快適に過ごせるか、あるいは不満が残るかに分かれる。

今回参加したクロアチア旅行では五つ星と評価できる若い女性添乗員であった。印象に残る旅行となったのは、訪問先の素晴らしい景観、親和性豊かな参加者はいうまでもないとして、添乗員の並はずれた俊腕ぶりであった。
旅程が七分どおり進んだところでわかったのは弱冠25歳の独身女性であるが、それまでは30歳を越えたベテランとばかり思い込んでいた。

どうして30歳以上と見えたのか。

まずは、お客様を常に上座においた姿勢である。ほとんどすべての事象について添乗員自身の責任に帰する態度である。「スミマセンでした」とお客様の責任であっても謝る。それが自然にできる。
これは我慢することに耐えるベテランの技である。

次には、参加者のほとんどが賞賛した向上心と探求心を織り込んだ説明である。クロアチアは多くの文化遺産がある。その中にはシベニクの聖ヤコブ大聖堂、スプリットのディオクラティアヌス宮殿、ドブロニクの大聖堂、フランシスコ会修道院などがあるが、建築様式の歴史的な移り変わりについて資料を配付して参加者にわかり易くバスの中で説明する。若手から老人の数世代にまたがる参加者の車酔いをもたらすことのない話術である。

チトー元帥が統一していたユーゴスラビアから、スロベニア、クロアチア、セルビアなどの国が分離独立した背景と民族内紛の歴史的な背景と現況の説明も、自分で作成し、自前の費用でプリントした資料を配付して解説する。
はては「ギリシャ神話」のオトギ話は、私のような炉端老人も聞き惚れてしまう。星座の名前としていくつかは知っていたが、それにまつわるギリシャ神話にはうとかった。添乗員として業務する間に自分で調べたという。

さらには、クロアチア旅行内国旅行、すべてバス移動である。個人旅行として計画を始めてから、これを断念したのは、クロアチア国内の公共交通機関、内戦もあって極めて貧弱であることによる。今回の旅行も毎日のように4時間、7時間の長距離移動がある。日程表を渡されてから、娘に「こんな長距離バス移動で大丈夫なの」といわれた。確かに不安もあった。
若い女性添乗員は、独自発案の「バス内体操」を薦め、楽しく実行させる。体操の効果を東洋医学的なツボから説き起こす。私は、旅行社の添乗員マニュアルにそのような内容が記載されているのか質問したほどである。彼女は「ありません。スミマセン、私の発案です」とシャイに答える。
笑みがこぼれる。聞いた方も嬉しくなる。
最後の日のバスで渡されたのが「旅日記」、参加者からは「額に入れて残します」と声がかりがあった。聞くところによると夜なべをしたという。

私はこっそりと聞いてみた。「添乗員として業務遂行できない状態になったら、そのバックアップ態勢はどうなっていますか」と。このような優れた添乗員が不虞の事故に遭遇したら参加者33名が外国で放逐状態になるからである。彼女は、「もとは添乗員の保険がありましたが、保険金ではカバーできなくなったせいなのか、いまはありません。旅行会社によって、どのように対処するか異なると思いますが御心配なされないでください」という。
 けなげに心配ないと彼女はいうが、これは改善しなければならないと思う。例えば添乗員を付けて海外旅行を行う会社が共同で、バックアップできる人員を欧州の中に配置しておくのである。例えば欧州駐在員の家族がこれに登録しておいて、緊急事態に対応できれば、団体旅行の参加者も安心できる。

4月15日にフランクフルト空港を離陸して成田に着いたのは16日、無事帰国した。その日のテレビ報道によるとフランクフルト空港は、アイスランドで発生した噴火の影響で航空機の発着ができなくなったという。一日遅れていたら、添乗員には過重な負担がかかることは間違いない事態である。
いまこれを書き留めながら、胸をなでおろす。
若き女性添乗員の「ギリシャ神話」のお陰さまかなと神に感謝する。

知人からも「無事なご帰国(ドブレダモイ)でなによりでした」とメッセージが届いた。
(応)

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