炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

電磁パルスとは

2009-06-14 10:35:57 | Weblog
前回のCOGNITIVE RADIO(3)の中で、納さんはスペクトル拡散に関連して電磁パルスすなわちEMP(Electro-Magnetic Pulse)ついて述べている。この電磁パルスについてはウィキペディアにも記述があるが、このウィキペディアに掲載されていない内容について、高々度核爆発に伴うEMPについて調べたことを述べておきたい。

核爆発によるEMPの発生は、アメリカが原爆の実験を行っていた第二次世界大戦頃からイタリアの物理学者フィミーによって予想されていた。しかしどれくらいの範囲でどのような影響を及ぼすのかという事ははっきりとしていなかった。ところが第二次世界大戦後1950年代においてソ連が1回、アメリカが5回行った大気圏核爆発実験によって各種の電子機器に妨害や破壊、エラーを引き起こすことが発見された。さらにその後の分析によって、これがEMPによる障害であることがわかった。その後の実験において実際にどのような現象が起きたかについて次に述べる。
①ソ連は61~62年の間に13回空中爆発実験を行いミサイルの奇襲防止とミサイルの敵防衛戦を突破、及び高高度で爆発した際、レーダと通信に及ぼす影響を実験した。主要実験目的は核爆発時のEMP反応を明確にするためのものであった。1961年10月30日、ソ連は、北極海ノバザゼムリアでTNT5800万トン相当の世界最大規模の核実験を行った。この時の核実験によるEMP現象は米国のアラスカとグリーンランドの警戒レーダと、4000Km範囲内の長距離通信システムを麻痺させ、24時間にわたる運用中止が余儀なくされた。
②アメリカは1962年7月9日、セント・ジョンストン島上空400Kmで「スターフィッシュ」と命名した核実験を行った。TNTで140万トン相当の大きさで、EMPは800Kmも離れたハワイのホノルルで、数百に及ぶ防犯ベルの動力線上のカットアウトリレー焼損、オアフ島の照明用変圧器も同時に焼損して30本の街灯を全部停電させた。また、29回の高々度爆発はこれまで低軌道人工衛星の大陽電池と電子装置に被害を与え予定より早く機能を停止させた。
このように、1960年代に入って各種の民間及び軍用の電気/電子システムに対して核爆発EMPが重要な被害を与える可能性のあることが確認された。しかし、1964年より大気圏核実験は停止されたのでEMPに関するデータは限られており、以降は地下核実験や核を使わないシミュレーション、論理的計算等によってデータを集め、防護対策等の研究が行われている。

あってはならないことであるが、ある国は核兵器開発と運搬手段のミサイル開発を再開した。地下核実験の代わりに、運搬手段の確認と核兵器の空中爆発、さらにはその誇示のために高々度核爆発実験、太平洋上空の領海外といえども行ったとしたら、納さんの言うように人災はなくとも、EMP対策を施していない電子機器は故障し、その被害が大きく、しかも広範囲に及ぶとすれば、日本の文明社会が瓦解する可能性は否定できない。
(応)

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