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原油価格

2008-02-02 | 石油
昨年には100ドルをヒットした原油価格ですが、このところは90ドルを下回るあたりで大きな変化は見せていません。そろそろ暖房用ヒーティングオイルの需要ピークを過ぎ、さらにこれから製油所は定期修理のための石油製品の作り貯めの時期に入ります。製品在庫は積みあがっていくので、価格は下がっていくという年間を通じてのサイクルのみが現状の原油価格に影響しているためでしょうか。

アメリカでのサブプライム問題を引き金とした景気減速あるいは後退の予感で、消費一般が冷え込んでいることも、原油価格にとっては下方圧力です。
先に発表された景気刺激のためのアメリカ政府の財政出動も、発表直後は安心感を与えたものの消費を拡大させるところまでは行かない、という憶測が強いようです。

ところで原油価格といえばWTIで代表される場合がほとんどです。これはいわずと知れたWest Texas Intermediateのことです。別名Texas Light Sweetです。これはテキサスで産出される軽質で低硫黄の原油ということです。ところがWTIと標記された後にat Cushing, OKとかかれることがあります。これは何のことだろうと少し調べてみました。

テキサス州の北隣のオクラホマ州にCushingという町があります。話はそれますが、オクラホマというと中年世代にはオクラホマミキサーなるフォークダンスが有名です。確かに、オクラホマなどの南西部ではカントリーミュージックが盛んではあります。しかし、オクラホマの人にオクラホマミキサーというフォークダンスを尋ねても、知っている人はいませんでした。

Cushingに戻ります。Cushingはオクラホマ州の中央部、オクラホマシティーとタルサの中間、もっと正確に言えばStill Waterのすぐ東隣にあります。大部分の日本人はStill Waterという地名を知らないでしょうが、Eskimo Joeというカジュアル用品店があり、通の人ならば知っているかもしれません。オクラホマ州立大学もあります。

さてCushingをはじめ、オクラホマ州は古くから原油が生産されていた土地です。API(全米石油協会)が原油の組成分析のプロジェクトを行ったとき、対象原油としてオクラホマ州産の原油が選ばれたことから見ても、オクラホマ州は古くから石油産業と関連が深いのです。

しかしオクラホマ州の埋蔵量はそれほどは大きく無く、原油生産とその精製の主体は次第にテキサス州などガルフ地域に移っていきました。いまではCushingはこのガルフ産原油を北の消費地に向けて輸送するパイプラインの中継点となっています。WTIの価格は産出されるテキサスでの価格ではなく、このCushingでパイプラインで引き渡されるときの価格ということになります。




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