化学系エンジニアの独り言

時の話題や記事の備忘録

シェルカナダのオイルサンドオペレーター買収

2006-05-15 | 石油
シェルカナダがオイルサンドオペレーターのBlackRock Venture社を買収する。買収額は2.4Bカナダドル。一株当り24ドル(市場価格は18.88ドル)となり、27%のプレミアがついていることになる。
この買収によりシェルカナダは14,000BDのSSBを増産させることとなる。

BlackRock Venture社は7年前に設立された会社でPeace River、Cold LakeとLloydminster地区での生産をしている。今後5年間でSeal地区での開発とHilda LakeでのSAGDプロジェクトを進める。SAGDはSteam Associated Gravimetric Drainageの略で、地中にスチームを注入してBitumenを軟化させて回収井戸で回収する方法で、オイルサンドを掘ってBitumenを抽出する方法に比べて安上がりな方法である。前者はIn situ法、後者はSurface mineとも呼ばれる。

原油価格の上昇に後押しされてオイルサンドの開発は活況である。3月にはアルバータ政府が日本でオイルサンド開発への参画を募る講演会を実施している。アルバータ州にはPeace River, Athabasca, Cold Lakeという3つのエリアがあるが、合計で14mヘクタールに上る。このうち開発されているのは3.5mヘクタール、25%に過ぎず、まだまだ開発の余地がある。

オイルサンドから生産されるBitumenは超重質油なので、Upgradingが必要である。コーキングとハイドロクラッキングを組み合わせて、軽質化と脱硫がなされる。アルバータのオイルサンド埋蔵量はサウジの原油についで世界第2位(イラクの埋蔵量よりも多い)と見られており、カナダという地政学的リスクの全く無いところで開発できることは、非常に有利なところであろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿