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原油価格の下落

2007-01-15 | 石油
原油価格の下落が止まらない。この一ヶ月間で既に$10/バレル下がって52ドルを下回っています。1998年に$10.35と低価格にあえいでいた原油は、その後ほぼ一本調子で上昇し2006年8月には$78になりました。しかし、そこから下落に転じ10月11月の一時期$60付近で落ち着き、12月に一旦$65になったもののここひと月で再度急落しています。

かつて$70を越えていた時期にはピークオイルが声高に叫ばれ、このまま$100まで上昇するという意見も飛び出しました。しかしマーケットは皮肉にもその時期をピークに下落し始めています。

昨年夏以降の大幅下落の一番の要因は、それまで大量に原油を買っていたヘッジファンドが一転して売りに回ったからと見られています。さらに、この冬、北米地域は暖冬との予想が出、ヒーティングオイルの在庫が積みあがっているという事実が伝わると下落に拍車がかかりました。

最も北米地域でのヒーティングオイルの消費量は全世界の石油消費量に比べれば小さなもので、それがここもとの石油価格下落の主要因になるわけではありません。いわゆる「マーケットがそれを口実にした」というやつでしょう。

原油価格、一般にはNYMEXのWTI(翌月渡し)価格ですが、これが1ドル下がると全米のガソリン小売価格は2.5セント下がるといわれています。2005年のハリケーン・カトリーナ後にガロン3ドルだったガソリン価格は、先週2.28ドルまで下がっています。原油価格が26ドル下がってガソリン価格が72セント下がっていますから、およそ原油1ドルはガソリン2.5セントに相当します。

今後はどうなるのでしょうか。ヘッジファンドが石油市場から撤退し別の市場にその活躍の場を完全に移すとは今だ考えられません。従って彼らの思惑が注目されるところです。NYMEXデータによれば大規模なヘッジファンドやコモディティーファンドは、買いの3倍を売りにポジションしています。逆に一般の会社(メーカーなど)は売りの2倍の買いポジションを持っているといいます。

つまり、ヘッジファンドは現在の価格よりもさらに下がる方向に賭けている、というか自分たちの力で下げようとしているわけです。逆に石油を使う側は今の価格で買っておきたい、また上がるのは勘弁というところでしょうか。

どっちに転がるかは分かりませんが、今後も石油価格が実需給だけではなく、ファンドの流入によってボラティリティーが上がった状態、つまり価格の上下変動が大きくなった状態が続くのは確かなようです。

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