それから数ヶ月後…。
「『殺人は眠り続ける』の結論が出ました!」
櫂太は寮の大塚の部屋を訪れて言いました。
「結論?」
大塚が聞き返しました。
「自分ではよく分からなかったので、知り合いの二人に冊子を見せて意見を聞きました。そうしたら…。」
「そうしたら?」
大塚も興味津々な様子で聞いて来ました。
「主人公は大学行くなら経済を勉強しろって。なぜか、今の職業が全く違う二人から同じ事言われました。他の事は全てそれからだって。」
櫂太は大塚に言いました。
「ええ!?一応理系の設定なんだけど…。」
大塚は予想外な事を言われ、戸惑いながら言いました。
「あー、まあでも話の流れ的にはそうなるかな?
じゃあ、来年の経済学部合格を目指した主人公が新しい道を歩み始めた所で物語は終りかな?」
「うーん、そんな感じですかね?」
櫂太は内容を思い出し、考えながら言いました。
「もうあの話のデータ消したから、冊子にそう書き込んどいて。」
大塚の言葉を聞いて、櫂太が驚きました。
「え?データ消しちゃったんですか?」
「ああ。だから、今あるのはお前の持ってる冊子だけ。」
「……分かりました。」
櫂太は自分の部屋に戻り、本棚のファイルから『殺人は眠り続ける』を取り出しました。
(カラー印刷のインクが薄れても、複製品は持たずに、このままこの1冊を持とう。)
櫂太はラストに「経済学部入学を目指し」と主人公の描写にペンで付け加えて、冊子を元通りに仕舞いました。
『殺人は眠り続ける』 (了)
尚、この作品はフィクションにつき、実在の人物、団体、事件等とは一切関係ありません。
物語中の組織的ストーカー行為の描写は、実体験に基づき構成しています。
本作品は二次創作ではなく、オリジナル作品です。
作者の許可なく、作品の使用、複製、転載等をする事を禁止します。
『今、半分空の上にいるから』は、二次創作ではなく、最初からオリジナル作品であり、他の作品とは無関係です。