とても興味ある表を見つけた。生活に必要な、食料、医療、衣服について「過去一年に十分なお金がないためにこれらのことができなかった」各国の達成の比率である。
飛びぬけて日本が低い。総じてヨーロッパ各国が低いが、日本ほどではない。世界の成長経済を担っている、中国では食料衣服はそれなりの調達をしてはいるが、医療は十分に国民の要求に応えていないことが判る。
メキシコやインドネシアが三部門とも高いのは理解できるが、韓国はどれも高く生活インフラが経済発展に追いついていないことが判る。ほぼ同様なのがアメリカである。これらの国は、社会インフラの整備が必要であろう。あるいは、格差社会の底辺層が深刻になっていることが推察される。
これは一つには日本が、高度成長を遂げてその主力部隊が高齢になっていることからも、この現実が解る。海外に行かれた経験のある方は、この表に納得するであろう。
この表は、日本が決して豊かな国であることを物語っているのではない。世界各国に比べて、格差がそれほど大きくないことや、特に医療の社会インフラが充実していることを物語っているのである。それにこの表にはないが、教育にも同じことが言える。教育の機会均等はどの国よりも日本は進んでいる。それに甘んじた子供たちが、登校拒否するなどとは贅沢の極みである。
この状況を、成長戦略を画策することで壊そうとするのがアベノミクスである。それはデフレ状況となることであるが、デフレの何処が悪い。少子高齢化社会では、デフレは自然現象と言える。働く人の絶対数も力もないからである。
ここに成長戦略なるものを持ち込むと、たちまち格差社会の出現となる。とりわけ医療と教育に競争を持ち込めば、一時安価になるかもしれないが、いずれ大きな反動を食らうことになる。
アベノミクスは、こうした社会インフラが安定状況にある国では破壊につながることになる。
政治家は圧倒的に多い高齢者に手厚い政策を唱える。選挙では確実に有利だからだ。
無駄な公共投資や一握りの者が税の再配分を受ける政策は破綻を生む。 借金を借金で埋める台所事情は多重債務者と変わりない。
奨学金を受けている大学生は28.8%。
利子のついた多額の返済や卒業後の就職難への不安から借りたくても利用できない人が増えています。
ひとり親世帯の「 子どもたちの貧困 」は、教育が受けられないことにより、深刻です。
また、親世代も授業料が払えない、ギリギリの生活で老後のお金もまったく貯められず、自分が倒れたら子どもはどうなるんだろうと不安を抱えています。
高等教育の無償化は世界の流れです。
授業料有償で給付制奨学金もないのは日本だけ。
安倍政権は、民主党政権時の「 高校授業料無償化 」政策に所得制限を導入して、浮いた分で奨学金を拡充するという転換が行われています。
日本での「 奨学金 」は給付型ではなく、教育ローンと同等のものである時点で問題です。
教育とは憲法25条の生存権 ( 人間らしい生活を送る権利 )の基盤となるもので、誰でもいつでも享受できるものでなければならないものです。
その方法が「 無償 」ということになります。
国際人権法では、この理解に基づいて無償教育が規定されています。
「 子どもの貧困 」といった現象の背景には、公教育が私費負担という脆弱な財政基盤によって支えられてきたという戦後の教育政策の積み重ねがあり、私費負担が構造化されてしまったことが挙げられています。
そこへ、近年の自民党の新自由主義改革による労働市場雇用システムの変化や、社会保障分野への公的支出の縮小などが進められてきたことに原因があります。
教育は、「 お金がかかってあたりまえ 」という意識が一般にありますが、「 子どもの貧困 」を救うには、教育費を見直していくことが大切なのではないかと思います。
軍事費を削って ( 潜水艦・オスプレイ購入など )、福祉・教育の充実を打ち出しているのは共産党です。