職業、鍛冶手伝い。

現代の迷工、未来の虚匠

二重の竹鉉

2013-01-20 18:17:56 | 古作に学ぶ

竹鉉だけでも珍しいのですが、竹鉉の中でも珍しい鉉がついた鉄瓶です。

真横から見ると普通の竹鉉ですが

竹が二本になっています。鉉としての正式な名称はあるのでしょうか。節がずらして配置しているところが、つくられた鉉鍛冶さんの意匠へのこだわりが感じられます。

竹らしい造りこみもしっかりとされています。

摘みは松の実で

模様が梅の花のようです。「松竹梅」を鉄瓶全体で表現しています。

鉉はつかみ鉉です。つかみ部分は溶接でしょうか。

羽はあとから欠いています。

模様の中にも松葉がありました。









残念ながら内側は状態がよくないです。









さりげないように取り付けられているこの竹鉉ですが、実はかなり手間のかかるものだと思います。いつか挑戦してみたいです。

愛すべき道具たち9 卓上ボール盤

2013-01-17 19:06:42 | 仕事

毎度おなじみの昭和な機械コーナーです。今回は「卓上ボール盤」です。

一定の精度で穴あけ加工をするためのいわゆる「電動ドリル」です。工房入口そばに鎮座しています。

ドリルの刃や加工対象を置くための作業台を隣に据えています。

採光が悪い場所なのでスポットで照らしながら作業します。

これが電源スイッチです。ビビットイエローが単調作業の際ボルテージを上げてくれます。ちなみに赤ランプは点灯しないのです。

ドリルの刃を取り付け取り外しする際に使用するチャックです。



このハンドルで台座を固定またはフリーにできます。

台座の昇降ハンドルです。

昇降幅は最大40cm程度です。



ドリルの刃は軸径13�まで使用可能です。

タイミングベルトを掛け替えることで回転速度を変えることができます。

万力を使って加工対象を固定することもあります。

ドリルの刃は様々あります。

こちらはホールソー。薄い材料に大穴を開ける際に使います。

手桶鉉

2013-01-13 19:36:31 | 古作に学ぶ

先日お預かりした鉄瓶です。「手桶鉉」がついていて、「変わり鉉」の中でも大変珍しいので資料として撮影させていただきました。今ではもうこの鉉が取り付けられる鉄瓶はつくられていません。



名前のとおり手桶の持ち手の形をしています。「手桶鉉」といいますが、鉄瓶本体が手桶であることで成立する鉉です。

一体で鍛造するのはほぼ不可能ですので3本の鉄の角棒を加工して、本物の手桶の持ち手と同じように組んで作っています。どうやってそれぞれを接合しているのでしょう。

接合方法が分からないくらい派手派手に「もやし」が施されています。本体の桶に対してあまりにも取っ手が朽ちすぎでは・・・?

つかみ鉉です。注ぎ口は「寸胴型」の鉄瓶でオーソドックスな感じです。

摘みは松の実、蓋にも木目の模様が入っています。



板の継ぎ目と「タガ」もしっかり再現してます。





内側の状態はあまりよくないです。





底がかなり荒れてしまっています。

湯口は押しているように見えます。

「古作に学ぶ」で取り上げた鉉の種類もこれでおおよそ出揃ったと思います。実はまだまだ知らない鉉もあるでしょうし、今後も新たな発見がありそうで楽しみです。

愛すべき道具たち8 万力

2013-01-02 04:02:55 | 仕事
  
 明けましておめでとうございます。本年も当ブログともども何卒よろしくお願い致します。今年こそは更新速度を少しでも上げるよう努力します・・・。

 昨年末の大掃除で片付けついでにいろいろと写真撮りをしたので少しづつ記事にしていこうかと思います。

 工房でも重量級に入る部類の道具「万力」です。




 ハンドルを回すことで材料を固定する部分が開閉し、加工する素材の固定以外にも真っ赤に熱した材料を曲げる際などにも使えます。油圧ポンプが内蔵されているようでハンドルを閉めることによってかなりがっちり対象を固定することができます。

 作業台に固定する万力にたいしてこちらは移動可能な小さいものです。

 このようなものも使用することもあります。通称「Cクランプ」

 「バイスプライヤー」と呼ばれる道具です。部類的にはこれも万力の一種かと思います。小回りが利くことから何かと重宝しています。