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2010年 IWC総会:最後の総会? 3

2010-06-26 19:39:28 | 捕鯨騒動
つーことで、昨日になって 2010IWC総会が閉幕したのだが・・・。
・IWC:総会閉幕 次回開催地も決まらず 各国対立のまま(2010年6月26日 毎日jp)

科学委員会ではある程度の成果を得たかもしれないが、総会ではほとんど議論が進まなかったというお決まりの展開。
さしあたっては、2010年6月26日分毎日jp 『IWC:総会閉幕 次回開催地も決まらず 各国対立のまま』を全文引用する。

---- 以下引用 ----
【アガディール(モロッコ)会川晴之】
21日から当地で開かれていた国際捕鯨委員会(IWC、加盟88カ国)総会は25日夕(日本時間26日未明)閉幕した。
南極海での捕鯨頭数を大幅削減する代わりに商業捕鯨の実質的再開を認める議長案の採択を目指したが、捕鯨、反捕鯨国の対立が解けなかった。

 議長役を務めたリバプール副議長は、今回の議長案などを討議するための非公式協議の継続を提案。
しかし、各国は同意せず、来年の総会開催地も決められなかった。

 閉幕後の会見で舟山康江・農林水産政務官は「(議長案は)白紙の状態に戻った」と説明。
さらにIWCについて「機能させることが可能かも含めて考える必要がある」との考えを示した。

---- 引用以上 ----

散々揉めた挙げ句に得た結果といえば、グリーンランド(デンマーク領)にザトウクジラ捕獲枠を与えることの承認+日本の「調査捕鯨」枠の保持って奴か。
この辺は以下を参照(手抜き)
・グリーンランドがザトウクジラ捕獲枠年9頭(3年合計27頭)を獲得(2010年6月26日 ドイツ語好きの化学者のメモ)
・IWCアガディール総会はほぼ捕鯨ニッポンの完勝/ラッドのアホ/他(2010年6月26日 クジラ・クリッピング)

kkneko さんは、このような事態に至った原因を主に反捕鯨国と NGO の責任に求めていた。
特に、Maquiera 議長の提示した案(日本が行う南極海での「調査捕鯨」割り当て量を段階的に減らす)について合意に至らなかった問題点について、以下のように指摘していた。
以下、2010年6月26日分クジラ・クリッピング『IWC アガディール総会~』から中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
実際に計画目標年800頭、SS妨害を口実にした歩留まり調整目的による実績で500頭前後殺され続けている中で、それを○頭まで削るつってんのに、「科学科学」と原理原則を唱え続けた所為で500頭殺させ続けるのはどう考えてもおかしい。
政治的な妥協案なのは誰もが百も承知、あとは次の10年までに「科学的議論ではこういうことなのだ」と市民(とりわけ日本の)に周知させる努力をすればいいだけです。
もちろん、RMPオンリーだと諸刃の剣だという見方もあるでしょうが、それはやはり太地など捕鯨サークル筋と同様の神経症的過敏反応でしかありません。
やはり10年の間に温暖化と南極生態系問題等、それ以外の議論も定着させればいいだけ。

 確かに、捕鯨協会が業界の利益を代弁するのも、NGOが環境・野生動物保護に関心のある市民の声を伝えるのも、ある意味当然のことでしょう。原理・原則の立場に立つのは。

 しかし、政府/国際機関がそれをやっちゃいけません。
人権・民主主義という国際社会の普遍的物差しは別として、独善的なゲンソクにしがみついちゃいけません。
種・生態系の多様性維持や環境問題における予防原理を、IWCの場で、あるいは日本社会で立派に通用する国際社会の普遍的な原則にまで育てられなかったのは、やはり市民運動側の力不足の所為です。
“相手”のある話とはいえ。

 今年の決着先送りは、猶予期間1年とはいえ、捕鯨サークルの連中にしてみれば願ったり叶ったりでしょう。
後1年で終了するJARPAⅡ(第二期南極海鯨類捕獲調査=調査捕鯨)の成果は、海外の科学界からまたぞろさんざん叩かれるのは目に見えていますが、そんなものは無視して国内での宣伝に大々的に利用されるでしょう。
枠をめぐる駆け引きにも利用され、今年以上に厳しい展開になりかねません。
今年の年次総会の結果そのものが、国際協調をめざす謙虚でカガク的なオトナの国ニッポンV.S.コドモじみた感情論をふりかざす強硬な反反捕鯨勢力という構図で喧伝され、マスコミや有識者に働きかけて「針を戻す」うえで効果的な役割を果たすでしょう。

 ギリギリまで「ゼロにしろ」と引っ張ったうえで、調子に乗った日本が「そんなに言うんだったら、5年後○頭まで減らしてやるぅ!(どうせ呑まねーだろ)」と言わせて引っ込みがつかなくなったところで、「じゃあ、それでいいッス」とハシゴを外してやればよかったものを・・。
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんだろうな。
この問題を辿ると、日本における環境保護団体・・・ひいては日本における市民活動団体の存在意義そのものにも関わってくるのかもな。
これを考える際には、日本における市民活動の歴史も重要なのは言うまでもないけど。
近年では、NPO法人(Greenpeace Japan は今年になって一般社団法人に変更した)が「行政の下請け」を担うケースが多いという事情も頭に入れておく必要もあるけが・・・。
この辺は以下も参照(手抜き)
・八木 秀次氏(not 工学者)へ:「新たな公共」の前提くらい調べれ(2010年4月11日 flagburner's blog(仮))

ってのはともかく。
今後環境保護団体が日本において啓発活動(特に捕鯨騒動)を行う際には、(kkneko さんも引用部分後に述べてるけど)日本の社会事情に合わせて戦略を練り直す必要があるのかもな。
それを行う際には、日本の市民活動そのものを問うことになるんだろうけど・・・(「新しい公共」との関連で)。

そして、kkneko さんは佐久間氏の twitter 書き込みを参照しつつ、IWC がとるべき道について述べていた。
以下、2010年6月26日分クジラ・クリッピング『IWC アガディール総会~』から中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
 一点、佐久間氏は異議申立が「美しい仕上がり」としていますが(一般人にはわかりにくい表現だが・・そこら辺のブロガーじゃなし(--;)、米国に積年の恨みを抱えるサークルの幹部にとっては思い出したくもない話だし、下野して言いたい放題になった自民党捕鯨議連など、非現実的な脱退論を掲げる連中の突き上げをコントロールできるとは筆者には思えませんし、官僚たちもおそらく望んでないんじゃないですかね。
特に外務の方は。
美味しいのは逆予定調和路線に乗っかる連中だけ。
どのみち機能不全のままでは早晩破綻するのは見えてます。
非消費的利用と先住民捕鯨管理を中心に、他の国際機関との統合も視野に公海海洋生態系/南極海生態系をトータルで管理する国際機関に脱皮させるのが唯一の現実路線と筆者は考えます。
加にも加入させ、日本の会費は減らして米豪の負担分を増やしてもらいましょう。
(以下略)
---- 引用以上 ----

確かに。
ただ、他の国際機関と統合云々となると、「いつまでに」「どこの」機関と統合するのかを決める段階で大モメになる悪寒が・・・。
日本の国内事情としては、外務省と農林水産省の方々が足の引っ張り合いをやりそうな気もしないでもない(謎)。


それはそうと。
昨日の2010IWC総会の最後のほうで、Greenpeace Japan の佐藤 潤一氏がスピーチを行っていた。
会議の結果を踏まえれば、「焼け石に水」でしかなかったのだが・・・。
・IWCでの佐藤潤一のスピーチ(2010年6月25日 greenpeace.or.jp)

さしあたっては、2010年6月24日分 greenpeace.or.jp『IWC での佐藤 潤一のスピーチ』から中盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
日本の調査捕鯨には、さまざまな不正が指摘されています。
日本の水産無償資金援助を捕鯨票の確保のために使っているとされること。
また私自身も、調査捕鯨船の船員による不正なクジラ肉の持ち出しを目撃し、それを告発しています。
結局、そのクジラ肉の一部は研究者、水産庁の監督官にも配布されていたこともわかりました。
さらに、南極海で大量に捨てられるというクジラ肉、そしてクジラの解体作業の最中に体内で見つかる腫瘍の存在なども指摘されています。

これらの不正行為は、なにもグリーンピースだけが指摘していることではありません。
これらは、実際にその現場で不正行為を目撃した調査捕鯨船の元船員などが勇気をもって内部告発をしてくれたものです。
彼らは捕鯨推進の立場ではありましたが、調査捕鯨の現状のひどさに我慢ができないと、私たちに情報を提供してくれたのです。

これらの不正について、内部告発情報を聞かず、適切な調査をしない日本政府の姿勢は、現政権の方針とは逆行しているのではないでしょうか。
また、これらの不正の真相をしっかりと調査することができないIWCも、国際会議としてその役割を果たしているでしょうか?

 日本もIWCもこれらの不正についての調査をすべきだと思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんつーか。
この発言が後1年早ければ・・・と思ったのは俺だけか?


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7 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (marburg_aromatics_chem)
2010-06-27 14:59:52
ブログ記事の引用、ありがとうございます。

グリーンランドの件は、これは憶測ですが、地下資源開発が絡んでいる可能性は捨てきれません。温暖化によって氷河が後退すれば、石油や金などの採掘が簡単になります。

ノルウェーも北海油田や漁業資源がありますし、北極海の氷が減れば、新規航路のルートとして重要なので、大目に見てもらえそうです。

アイスランドはEU加盟申請で捕鯨が障害になると言われていましたが、豊富なタラやカペリンなどの漁場をEU側に開放するという交換条件が出てきそうです。

そして日本は、工業製品以外は何もメリットはないので、取引材料ゼロですね。携帯電話はノキアがあるし、自動車も飛行機もPCも、別に日本に頼る必要はないのですから。

やはり科学などどうでもいいというのが、私の感想です。

日本国内の捕鯨サークルが次は何をしてくるのか、のんびり観察しようと思います。
返信する
marburg_aromatics_chem さんへ (flagburner)
2010-06-27 20:29:00
コメントありがとうございます。

>やはり科学などどうでもいいというのが、私の感想です。
う~ん。
科学的な議論が政治に反映されないのは、捕鯨に限らないんですけどね(苦笑)
今年の CITES しかり、去年の COP15 しかり・・・。
経済的な利益こそ政治に反映される、というやつかもしれません。

>日本国内の捕鯨サークルが次は何をしてくるのか、のんびり観察しようと思います。
当分の間は、2010IWC総会の結果をどうやって「宣伝」について考えてるような気がしますが(謎)
当分の間は、参議院選挙のゴタゴタで世間から無視される悪寒も・・・。
なんてことを踏まえると、本格的な「宣伝」は参議院選挙後になりそうな気がします。
その場合は、国会議員も巻き込むことになるでしょうが。
返信する
問題点 (Ursaemajpris)
2010-06-27 23:07:12
私が考える(日本の)捕鯨に関する問題点ではありますが、ちょっと列記させていただきます。

1.商業捕鯨(鯨肉食)の是非
【オーストラリアニュース】「鯨肉より果肉を」東ティモール大統領 http://news.jams.tv/jlog/view/id-7150
こういった「わざわざ鯨肉を食わなくても良いだろ?」という問いかけに どう答えるのか?て問題ですね。
日本では「伝統」という言葉がよく使われますが、少なくともIWCや外交の場においての「伝統」とは、少資源国"日本"の「食料確保政策としての"伝統"」なはずで。
私はこの観点から「捕鯨に賛成」しているのですが、この点については「飽食"日本"」視点も当然あるわけですね。

2.鯨類保護区(の期限)の是非
この点に関しては、最近はもう議論すらされなくなってるんですよね。
鯨類保護と資源利用(捕鯨)の議論の根本であるはずなんですが。
日本の場合は「資源利用の為に、どういう保護をすべきか?」てな視点になるワケですが、これが反捕鯨国と同じかどうか、て問題でもありますね。

3.(南氷洋での日本の)調査捕鯨の是非
実質的商業捕鯨と批判されますが、私個人は上記2が議論されない上に、議論の叩き台となる調査すら行われない状況では、(政治的に)仕方が無いのではないかと思ってます。
非致死的調査云々も、そう言うのならやれば良いと。
片っ端からマーカーを打ち込んで「鯨類の繁殖状況」を調べれば良いんです。
でも、こう言った調査は「資源利用(商業捕鯨)の道を開く」とか言って反捕鯨国は反対するんじゃないですか?
今、反捕鯨国が提案している調査だって「今の日本の致死的調査の代替調査案」ですよね?

4.日本の調査捕鯨(体制)自体の是非
グリーンピースの鯨肉裁判とか、調査捕鯨を事業仕分けしろとか、そう言った類いの問題ですね。
捕鯨賛成派はこういう問題には、あまり興味が無いようで。
興味があったとしても、反捕鯨活動(反日活動)批判としての興味ぐらいでしょうか。
「捕鯨を続けるために大事な問題」という意見は、捕鯨賛成派からは、まず聞かないですね。

まあ、こういった類いの問題を全部分けて考えてるいるで、私は捕鯨賛成派とも捕鯨反対派とも意見が合ったためしがありませんw
捕鯨問題としては一応全部繫がって関連してはいますが、問題としては個々違うと、私は思うんですけどねぇ。
返信する
IWCが終わって (通りすがり)
2010-06-30 17:11:38
だからどうこう言うわけではなく純粋に知りたいだけなのですが、flagburnerさんはIWC会合の中継はご覧になっていましたか?強いて分けるなら反捕鯨に近い立場のお方だと認識しているのですが、そうした立場でご自身の筋をもって論陣をはられている方々は日本の報道だけでなく海外の報道なども目を通されていて、それは大切なことだと思わせていただいていますが、一応は一次ソースたるそもそもの会合の中継ってご覧になって、どういう感想をもたれているのか興味を持ちました。よろしければご教示ください。
返信する
Ursaemajpris さんへ (flagburner)
2010-06-30 20:08:41
コメント&情報ありがとうございます。

Ursaemajpris さんへのレスについては、長くなったので別エントリで投稿します・・・(汗)
返信する
通りすがり さんへ (flagburner)
2010-07-01 20:36:43
コメントありがとうございます。

>~flagburnerさんはIWC会合の中継はご覧になっていましたか?
あ、全然観てないです(汗)
なにせ、私の体は1つなので全部のリソースを IWC 総会に傾けるわけにもいきませんし・・・。
本当は一次ソースをチェックするのが良いんですけど、こればっかりはどうにもなりません(弱)
返信する
レスありがとうございます。 (通りすがり)
2010-07-03 02:31:26
ワールドカップにも被っていましたしね。
というのは冗談にしても、
推進派のサイトでの中継だったし
大した宣伝もしていなかったようだから
ご覧になってなくても仕方ないと思います。

ながら見でしたので、
きちんと視聴したとはいえませんが
私は一応は全編見ていました。

で、まあ、あくまで素人の感想なのですけれども。

グリーンランドの件における
ブエノスアイレスグループの意固地さとか
日本側の対応がどうこういう以前に
異様な感じがしましたし、
Greenpeace Japan のスピーチが
あまりにも「日本政府」攻撃に終始して
「焼け石に水」どころか
的外れにしか聞こえてきませんでした。
てか、
彼らのスピーチは明らかに
IWCのルールを違反していたと思えますし
実際、その後に
日本の代表団は正式な発言として抗議していましたが
そうしたことは
メディアでは取り上げられているんでしょうかね。
(これは逆に私がチェックを怠ってるんですけど)

以下は、100パーセント、
flagburnerさんとは関係ない
あくまで一般的な話ですけれども。

反捕鯨的言説の中には、
今回の結果は日本が譲渡しなかった為だ
としているものも見かけますが、
IWCでの実際の発言を追っていると、
少なくても今回は
反対諸国の方が
テーブルにつくことを拒否していたと感じます。
と、まあ、
推進派の色眼鏡といわれればそれまでですが。

反対・賛成の立場はおいて。
それから、
実際に物事が動くのは
年次会合の裏側での交渉でだとしても、
各国代表の公式発言を
ノーカットで視聴できる状況があって、
それをしないで
メディア取材だけを頼りに考察・発言するのは、
やはり勿体無い気がしました。

長々と余談にて失礼しました。
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