「選ばれし8人、世界最強のソリスト集団」「ベルリン・フィル コンサートマスター 樫本大進 出演!」と言うキャッチに誘われ、ミーハーな私、ベルリン・フィル八重奏団のコンサートを聴きにりゅーとぴあまで足を運ぶ。
会場に入ると満席まではいかなかったものの、9割以上の入り。(3階席はクローズ)ベルリン・フィルのネーム・バリュー、それに世界の大進の集客パワーはやはり凄いな…という感じ。一応、世界の超一流に敬意を表して2階センターのS席で拝聴。
オープニングはR・シュトラウスの「もう一人のティル・オイレンシュピーゲル」。鳴った瞬間「うわ、凄ぇ…。」という感じで、その巧さは「もう笑うしかないなコレ。」というレベル。
「今回の注目ポイントはラデク・バボラーク(通称バボちゃん)の代わりに新加入したホルンのシュテファン・ドールです。」とコンチェルトの佐藤さんに事前にレクを受けていたのだが、その響きは本当に滑らかで、ある意味ソリスト志向が強いバボラーク以上の感あり。(バボラークは京都交響楽団との共演で聴いたことがあるのだが、あまりに凄すぎて、ちょっと浮いていたというか、「京響の人たち気の毒だな…。」と思った記憶がある。)
名刺代わりの「もう一人のティル・オイレンシュピーゲル」に続いてモーツァルトの「クラリネット五重奏曲イ長調K581」。この曲に入ると、テクニックがどうしたこうした…とか言うレベルを超越してしまって、「極上のモーツァルトを聴かせていただきましたと言うしかないな…。」と言う感じ。
この第1部だけで満足感いっぱいだったのだが、圧巻は第2部、シューベルトの大作「八重奏曲 へ長調D.803」。
絶妙なバランスで鳴る本当に美しい響き…、「いや~、世界の超一流が演奏するとこう言う響きになるんだな…。」と思いつつ、ただただ極上の響きに酔わしていただいた。世界の大進も絶好調と言う感じ。演奏が終わるなり大歓声でコンサートは幕となった。
思えば、世界の超一流のワインで酔おうとすれば、数十万、否、数百万を要する訳だが、音楽の場合、1万円アンダー(今回は6750円)で世界の超一流の演奏で酔うことができる…ということで、「ありがたや、ありがたや。」、クラシックのコンサートって安いわ(?)ってところ。
なんだかんだ言っても、世界の超一流って凄いな…、ここはご託を並べないで極上の響きに素直に酔うのが正解だな…と思った新生ベルリン・フィル八重奏団コンサートであった。