「あっちの長距離バスってさ、だいたい夕方出発して明け方目的地に付くのが多いんだよ。俺の乗ったバスもな、午後4時30分に発車だったな。」
「この写真がその時のっすか?」
「いや、これはお前、俺の顔もう真っ黒だろ…6ヵ月後くらいのだよ。そのときのは、こっちだよ。なっ、可愛い娘とどうでもいいのが2人一緒に写ってんだろ。」
「そおっすか?俺にはこっちの娘の方が可愛く見えますけどねぇ。」
「まあ、基本的には好みの問題も有るし…でも、こいつは性格悪いよ~。それに較べてこっちはケンブリッチ留学中の才女だよ。」
「そんなの何とでも言えますよ。第一先輩、今でも性格悪い彼女と交友あるじゃないですか?」
「そうなんだよ、性格悪いけど気持ちのさっぱりした女なんだよなぁ。って、そんなことどうでもいいだろ、君。」
「そっすね。で、そのバス旅行ではどんなことがあったんすか?」
「まず驚くのが、臭いだな…臭いよー、ホント。バス停の何処といわず其処といわずオレンジの食いかすは散らばってるし、大人も子供も男はみんな立ち小便だ。」
「公衆便所は無いんすか?」
「いや有るさ。でも、小便用はあったかなぁ?」
「記憶にないんですか?」
「きみぃ、郷に入れば郷に従えだろ。」
「なんだ、先輩もみんなと同じじゃないですか。」
「良いんだよ、そんな事は…」
「それよりな、俺が不思議に思うのは、どして飲み水もままならないような国に、ドイツの連中が水洗便所を作ったかだよ。そのおかげで、大の方はウンコが便器から溢れるほど山盛りだよ、お前。」
「汚い話になってきましたね。でも、汲み取りとか無いんすか?」
「わけないだろ。大体汲取ったて処理場が無いやね。まあ、ウンコの話はもうひとつあるから、それはそのうち話してやるよ。」
「あんまり嬉しく無いっすね。大体、バスに乗ってからの話になって無いじゃないっすか。」
「ああ、それは今度話してやるよ。」