酵素生活~リバースエイジングの秘訣~

嬉しい/ 楽しい / 幸せ / 愛してる / 大好き / ありがとう/ツイてる/ゆるします

「ニューザイム」の新世界

2018-02-03 09:18:03 | 酵素力革命/「腸」の健康革命
第五章 「ニューザイム」の新世界

【ニューザイムの環境に適応する特性】

ここでようやく、私たちの生命を維持するニューザイムの働きがおぼろげながら見えてきたかもしれません。

繰り返しになりますが、私が考えるニューザイムは、細胞内解毒→自然免疫→アポトーシス、と生命活動の根幹に関与している酵素群です。
この酵素を活性化できれば、細胞内の老廃物が上手にクリーニングでき、病原体の侵入も防ぐことができる、つまりは、生命力の活性化がもたらされると考えられるわけです。

では、いかにしてこのニューザイムを活性化させることができるでしょうか?
その点について理解するには、ニューザイムの性質について、もう少し認識を深めていく必要があるかもしれません。

この性質とは、ここまでお話ししたすべてのニューザイムに共通するもの。
驚かれるかもしれませんが、ニューザイムには、日常的に働いている消化酵素などとは異なった環境に適応する特性が見られるのです。

たとえば、まず真っ先に挙げられるのは、ニューザイムが弱酸性の環境で働きやすい性質であるということ。

私たちの皮膚は、健康な場合、菌たちが繁殖しにくい弱酸性の状態に保たれていますが、この環境下では、通常の酵素は十分な活動はできません。
そのため、弱酸性に適応できるニューザイムの独壇場になっているのです。

こうした皮膚と同様、細胞内解毒の器官であるリソソームやオートファジー、あるいはマクロファージの内部も、すべて弱酸性であることがわかっています。
菌にとってはハンディキャップ・マッチそのものですが、そうやって個体を守っているのだと考えれば、自然の摂理として十分理解できるでしょう。

また、弱酸性に加え、高熱時に働くということも、ニューザイムの特性の一つです。

本書をお読みになった方ならば、「酵素は熱に弱いのではないか?」と、とっさに思われたかもしれませんが、それは通常の酵素にだけ当てはまること。
驚くべきことに、ニューザイムの性質はまったく逆なのです。

たとえば、風邪をひいて高熱を発したとき、食欲も低下してしまうことが多いと思いますが、これは消化酵素が高熱に弱いということが関係しています。
消化酵素は36度前後の体温で活発に働きますが、それが38~39度になると、一気に働きが低下してしまいます。
また、だるくなったり、眠くなったりするのは、こうした生理活動に関与している代謝酵素の働きが、熱で鈍ってしまうからなのでしょう。

もちろん、このような高熱下では、ウイルスや細菌の働きも鈍ります。
そして、それを一つ一つ退治していくのがニューザイムなのです。

こうして見ると、発熱するということは、体にとっては異常でも何でもなく、病原体を効率よく退治し、増殖を抑えるための正常な反応であることがわかるでしょう。

扁桃腺が腫れたり、傷口が化膿したりしたときに、患部が熱を発して炎症を起こすのも、これと同様の働きと考えてください。
しかも、炎症を起こすということは、熱を発するだけでなく、患部が弱酸性の環境になることも意味しています。

そこで弱った病原体と戦ってくれるのが、高熱・弱酸性に適合できるニューザイムであることはいうまでもありません。
風邪をひいた場合も含め、熱を薬で抑えようとすることは、じつはこうしたニューザイムの働きを邪魔する行為なのです。
ニューザイムが生命活動の根幹に関わる酵素であることを考えれば、それがいかに自然の理に反した行為であるか、理解できるのではないでしょうか?

【「果物による酵素補給」こそ「ニューザイムの補給」】

ニューザイムに共通する性質は、これだけではありません。
三つ目は、あらゆるものをデトックスする優れた分解力を持っているという点です。

たとえば、細胞内解毒のための器官であるリソソームで働く約60種類のニューザイムについてお話ししましたが、これらには通常の消化酵素の5000~1万倍というずば抜けた分解力を持っているものもあり、集団で細胞内のデトックスにあたる有能な「分解業者」として知られています。

不良たんぱく質から、老廃物、あるいは細胞膜やコラーゲン、脂質、多糖、核酸など、細胞を構成している様々な物質にいたるまで、ほとんどのものを分解できる能力を持っているため、バルク分解型の酵素とも呼ばれますが(バルクは大量という意味)、その超強力な分解作用で、最後には自己崩壊してしまうものも少なくありません。

このため観察が難しく、まだまだその全容がハッキリつかめているわけではないのが現状ですが、ニューザイムが通常の酵素とは比較にならないパワーを持っているという点に関しては、強調しても間違いではないでしょう。
この分解力があるからこそ、私たちの生命は健康を維持できているのです。

ちなみに、果物の実が熟して甘みを増すようになるのも、じつはニューザイムのこの超強力な分解作用によるものです。

果物には、すっぱさのもとであるクエン酸を利用して実を酸性にしたり、逆に発酵させることで糖度を上げたりする働きがありますが、これらはすべて病原菌から種を守るために、強力な分解作用を持ったニューザイムが行っているものなのです。
また、そうやって果実が熟することで、種が大地に放出されやすくなるでしょう。
動物が口にすることで、種が大地に捨てられるケースもあるはずです。
つまり、ニューザイムが働くことが、結果として、子孫を残すことにもつながってくるわけです。

こうした果実の熟成に欠かせないニューザイムの中でも、パイナップル、キウイフルーツ、イチジク、青パパイヤなどに含まれる酵素は特に優れた働きをすることがわかっています。
これまで私は、「果物による酵素補給」をおすすめしてきましたが、それは正確には、「ニューザイムの補給」だったのです。

これらの酵素は、リソソームの中で働くニューザイムと非常によく似た構造であることが知られています。
また、果物にニューザイムの働きを助ける抗酸化成分=ファイトケミカルがたっぷりと含まれていることも、すでにお話しした通りです。
良質の果物を生のままでいただくことは、単なる栄養補給という以上の、様々な意味での生命力のアップにつながるものであるということです。

チンパンジーのような野生動物の食事が果物中心であるという点も考え合わせれば、野生動物の生命力と生の食材(果物)、そしてニューザイム(酵素)には、私たちが思っている以上に深い関わりがあるのかもしれません。

【食べないことで生命力が高まるプロセス】

さて、弱酸性で高熱時という厳しい環境にも適応でき、しかも超強力な分解作用を持っている・・・・・・皆さんには、ニューザイムが「分解のプロ集団」であると同時に、危険な任務を遂行する特殊部隊のように思えてきたかもしれません。

こうした部隊が発動するのは、これまでの話をふまえるならば、「生命の危機に瀕したとき」ということになるわけですが、では、私たちが生きていく中で、具体的にどのようなケースが当てはまるのでしょうか?

まず挙げられるのは、飢餓です。
人類の歴史をひもといていくと、それは飢餓との戦いという側面があったことも見えてきますが、「食べられない状況」が続く中では、日常的に働いている消化酵素や代謝酵素はあまり活躍できません。
その代わりに活性化するのが、細胞内で働くニューザイムだったといえるのです。

こうした状況に置かれると、飽食できないため体内の酵素があまり浪費されず、その一方で、ニューザイムによって細胞内解毒はきちんと行われます。
具体的には、不良たんぱく質などがオートファジーというリサイクル工場でまとめて分解され、それが細胞に必要な栄養に作り替えられているのです。
また、それとともに、老廃物やその他の異物もデトックスされるでしょう。

これらのプロセスが日常化すれば、当然、その個体の生命力が高まっていくことがわかるはずです。
昔の人が現代人のように十分な栄養が摂れていなかったにもかかわらず、丈夫で、高い生命力を維持することができたのは、ニューザイムが働きやすい環境に絶えず身を置いていたからだといえるのです。

もちろん、こうした環境はプラスに働くばかりでなく、飢餓の度合いが高くなれば、心身のストレスが増してしまうため、体内酵素が消耗され、栄養不足と相まって、寿命が縮められたケースもあるでしょう。

しかし、過去の時代が始終飢餓に見舞われていたとはいえず、前にお話しした日本の江戸時代のように平和で穏やかな時代が長く続き、そこで豊かな文化が築かれてきた例も多々あります。
それでも過去の日本人は、「おなか一杯に食べられない状況」から恩恵を受けていたことのほうが多かったといえるのかもしれません。

いずれにせよ、大事なのはニューザイムの活性度なのです。
いくら寿命が延びようが、ニューザイムが元気に働いていなければ、肝心の生命力を高めていくことができないのは、これまでお話ししてきた通りです。
いまの生活環境の中で、これをレベルアップさせていくことは可能なのでしょうか?

私自身は、可能であると思っています。
そのためには、本書を参考にしながら、ライフ・スタイルをよりナチュラルなものに変えていくということです。

そして、そのうえでファスティング(断食)のように意図的な飢餓状態を定期的に作り出すようにして、たえず細胞の活性化を図ることです。
あるいは、少食(腹八分目)を心がける、1日の中で空腹を感じる時間帯を増やしていく・・・・・・ニューザイムを活性させていくには、まずは最低限、こうした努力が必要でしょう。

要は、食べることではなく、食べないことこそが生命力を高めるカギを握っていたのです。
カロリーや栄養素のように数字にはできない、それゆえに実体のとらえにくい生命力と呼ばれるものを、ニューザイム=細胞内の酵素の働きを通してキャッチしていくーー私たちはそんな時代に生きているのです。

【妊娠・出産にも不可欠なニューザイム】

ファスティングや少食がニューザイムの活性につながることは見えてきましたが、こうした飢餓の状態に匹敵するような「生命の危機」はまだ他にもあります。
その一つとして考えられるのが、受精や出産などの場面でしょう。

先ほど果物の実が熟す過程でニューザイムの強力な分解作用が働くとお話ししましたが、じつは精子と卵子が結合して受精する際にも、卵子の近くにまで到達した精子の先端から酵素が放出され、卵子の内部に侵入していくことがわかっています。
精子はこの酵素に導かれるように後を追い、卵子と結合するのです。

しかも、先導した酵素によって卵細胞の表面に膜(受精膜)が作られるため、後から別の精子が侵入しても卵細胞に近づくことができません。
まだ不明な点が多いとされますが、こうした酵素もニューザイムの一つと呼べるのかもしれません。

そもそも、一人の女性が妊娠をし、十月十日の期間を経て出産に至る過程には、膨大な数の酵素が働いているはずです。
これらの酵素をすべてニューザイムの仲間に加えるかどうか、にわかに判断できませんが、酵素の消費が多いということは、それだけの生命力が求められているということです。
ここまでの話をふまえるならば、十分な細胞内解毒が行われていなければなりませんが、現代の女性たちはどうでしょうか?

私が心配しているのは、いま不妊に悩む人や、妊娠できたとしてもひどい難産に苦しむ人、流産してしまう人が、昔と比べるとずいぶん増えてしまっているということです。
男性にしても精子の数が大幅に減少しているといわれ、インポテンツ(勃起障害)や不妊(無精子症)などに悩む人も少なくないようです。

昨今、少子化やセックスレスの問題が何かと指摘されていますが、これは価値観の問題だけで片付けられるものだとは思えません。

男女ともに、丈夫な子供を作れるだけの生命力が欠落してしまっている・・・・・・そこに大きな問題がひそんでいるといえないでしょうか?

こうした生命力の低下は、私にいわせれば、動物性食品(肉類、牛乳・乳製品)や油脂類、精製した穀類、白砂糖など腸相を悪くする食事に依存してしまっている現代人のライフ・スタイルが、明らかに関係しています。

生命力を高め、細胞内の生命活動に関与するニューザイムを活性化させるには、本書で紹介してきたような植物性食品を中心にした食事健康法を取り入れ、腸相を改善するということ、そこからすべてが始まっていきます。

できれば妊娠する前の段階からよい水と果物(ニューザイム)をしっかりと摂り、動物性食品を減らすなどして、細胞内解毒をうながす生活に徐々に切り替えていってください。
お通じの状態が悪い人はコーヒーエネマを行ったり、週末断食のようなファスティングにトライしたりするのもいいかもしれません。

毎日食べているものが、あなたの腸相をよくも悪くもし、血液や細胞の質を決定しているのですーー。

妊婦さんはもちろん、パートナーである男性、そして僭越かもしれませんが、彼女の生命を預かる助産師さんや産婦人科の先生も、食事の重要性をもっと深く認識してください。
そのことがスムーズな出産(安産)と、丈夫なお子さんを産んで、育てていくことの一番の基本になるはずなのです。

【ニューザイム活性法とは】

この章の締めくくりとして、ニューザイムを活性化させる生き方、食生活の秘訣などについてまとめてみることにしましょう。

まず、最も重要といっていい食事に関してですが、私が提唱する「新谷式食事健康法(シンヤビオジマ)」をベースにしつつ、「よい水」や「酵素」をたっぷりと補給することが大事であるとお話ししてきました。
特に後者の酵素補給に関しては、ニューザイムが豊富に含まれる新鮮な果物を積極的に摂るべきでしょう。

また、これに加えて、ニューザイムの働きをサポートする成分を過不足なく摂取していくことも必要なことです。
具体的にいえば、微量栄養素であるビタミンやミネラル、ファイトケミカルのような抗酸化成分が挙げられます。

ファイトケミカルの重要性については、この章でもお話ししました。
植物を構成する細胞の大部分は、水分が詰まった液胞で占められています。
この液胞の中に、細胞内解毒に関与する酵素(ニューザイム)や、それをサポートするポリフェノールのような抗酸化成分=ファイトケミカルが含まれているのです。

余談になりますが、細胞内解毒ということでいえば、デトックス作用のある食材を多く摂ることも必要ではないかと思う人がいるかもしれませんが、これまで語られてきたデトックスは、冒頭でお話ししたように、基本的に腸を対象にしたものです。
細胞内解毒をうながす食材については、唯一、梅干しにそうした効用があるという報告例がありますが、まだハッキリわかっていないのが現状です。
これからニューザイムの研究が進んでいくことで、見つかっていく可能性はあるでしょう。

また、「食べること」ばかりでなく「食べないこと」についても意識を向けるようにしてください。
ファスティングの効用については繰り返しお話ししてきましたが、こうした断食にトライしないまでも、つねに少食を心がけ、おなかが空いている「飢餓状態」をなるべく多く作ることは大事なことなのです。

以上のような点を心がけ、五つの流れ、すなわち、①血液・リンパ液の流れ、②胃腸の流れ、③尿の流れ、④呼吸の流れ、⑤気の流れをスムーズな状態に整えていく・・・・・・それが本当の意味でのデトックスです。
この流れの先端にある細胞内のデトックス=細胞内の「便秘解消」、そこに関わるニューザイムの重要性についても、今後ますます注目されるようになっていくはずです。

最後に、サプリメントについても簡単に言及しておきましょう。
もちろん、ここで対象にしたいのは「酵素サプリメント」です。

酵素サプリメントのことは第四章「腸から変わる「新谷式美容・ダイエット法」」でふれましたが、これまで市場に出回ってきたものは消化酵素の働きをサポートするものが中心でした。
もちろん、こうしたサプリメントも腸相を改善し、好調な体調を維持するうえで必要なものですが、ここで注目したいのはニューザイムを活性化するサプリメント(あるいはニューザイムそのものが摂取できるサプリメント)ということになるでしょう。
私自身、多大な関心を寄せているテーマであり、現在、研究者のあいだでも様々な可能性が追求されています。
この点については、機会を改めてお話しすることにしましょう。

いずれにしても、「生命」の基本単位である細胞に目を向け、そこで働くニューザイムの存在に注目していくことで、健康、長寿、美容、環境・・・・・・人間のあらゆる活動を包含した新しい生き方の提案ができるはずです。

生命の根源にアプローチしていくこうした試みの進展に、私自身、大いに期待しているところなのです。

新谷弘実先生 著
『酵素力革命 若返り酵素「ニューザイム」を活性化させる生き方』 より抜粋