酵素生活~リバースエイジングの秘訣~

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『「若く見える人」と「老けて見える人」の違い』

2017-07-26 08:01:14 | 病気にならない生き方③若返り編
第1章 「若く見える人」と「老けて見える人」の違い

【動物性脂肪の過剰摂取が内臓脂肪を作る】

内臓脂肪が、健康に悪影響を与えることはわかりました。

では、なぜ内臓脂肪型肥満になる人と皮下脂肪型肥満の人がいるのでしょう。

じつは、現代医学では、内臓脂肪も皮下脂肪も、どちらもエネルギーの過剰摂取、つまり食べすぎと運動不足によって生じるとされており、違いを生み出している原因はわかっていません。

つまり、どうすると皮下脂肪つき、どうすると内臓脂肪がつくのか、わかっていないのです。

そのため、メタボリックシンドロームの改善策も、「食事制限」と「運動」という、ごく一般的なダイエット法の指導しかなされていないのが現状です。

一応、内臓脂肪が、筋肉を使用する際のエネルギー源になりやすいという理由から、一般的に見て筋肉量の少ない女性よりは筋肉量の多い男性のほうがつきやすいとはいわれていますが、これはあくまでも相対的な比較であって、女性にも内臓脂肪型肥満の人はたくさんいます。

それに、メタボリックシンドロームの基準には相当しなくても、内臓脂肪の多い隠れ肥満の人の多くは、運動不足で筋肉量の少ない人です。

こうしたことからも、必ずしも筋肉量が多いと内臓脂肪がつきやすいとはいいきれないと私は考えています。

では、内臓脂肪を作り出しているものは何なのでしょう。

内臓脂肪も皮下脂肪も、原材料は私たちの日々の食事です。
そこで私は、内臓脂肪が多い人と、皮下脂肪の多い人の食歴を比較してみることにしました。
すると、とても顕著な違いが表れたのです。

それは、動物性脂肪の摂取量の違いでした。
内臓脂肪が多くついている人の多くは、脂ののった肉や脂肪分の多い乳製品を多量に摂っていることがわかったのです。

皮下脂肪型肥満で油ものが好きな人もいますが、そういう人はどちらかというと、植物由来の油を使ったものを多く摂っていました。
極端な例でいえば、ラードで揚げたトンカツを好む人は内臓脂肪がたまりやすく、ゴマ油で揚げた天ぷらを好む人は皮下脂肪がたまりやすいということです。

なぜ動物性脂肪を多く摂ると内臓脂肪がつくのか、そのメカニズムはわかりません。
ただ、動物性脂肪のなかでも、魚の油よりも肉や乳製品に含まれる脂肪を多く摂る人に内臓脂肪が見られることから、牛、豚、鶏といった人間の体温より高い体温をもつ動物の脂が内臓脂肪の生成に関係している可能性が高いと考えられます。

人間の体が余剰カロリーを皮下脂肪として蓄えるのは、飢餓に対する備えです。
食べ物がすぐに得られないとき、水がすぐに飲めないとき、脂肪がエネルギーと水を体に供給するのです。

脂肪が水を供給するというと驚かれるかもしれませんが、渇きに強い動物として砂漠で活躍するラクダのコブの中に詰まっているのが脂であることを考えれば、脂肪がいざというとき、水の供給に役立つことがおわかりいただけると思います。

皮下脂肪がエネルギーと水の貯蔵庫であるなら、内臓脂肪は何のために内臓につくのでしょうか。

これはあくまでも私の考える可能性の一つですが、内臓脂肪は、動物性脂肪の過食によってさまざまなダメージを受けている腸を守る「緩衝材」としてつくのかもしれません。

動物性の脂肪やタンパク質を多く摂っている人というのは、食事から摂れるエンザイムが少ないうえ、消化吸収や体内で発生する毒素を分解するために大量のエンザイムを消費します。
そのため、ミラクル・エンザイムの保有量が、どうしても少なくなります。
同時に、腸内環境の悪化は、炎症性の微生物の増加を招き、腸の粘膜はその刺激を受けて、多くのヒスタミンや活性酸素が生成され、刺激に過敏なアレルギー状態を引き起こします。

つまり、動物性タンパク質、動物性脂肪の過剰摂取で全体的にかたく、内腔が狭く、長さも短く、そして過敏になっている腸を外的刺激から守るために、内臓脂肪がつくのではないか、ということです。

内臓脂肪がつくメカニズムは、まだわかっていません。

私がここで述べたことも、医学的には仮説にすぎません。
しかし、30年以上にわたる食歴調査と、私自身の臨床経験から、動物性脂肪を多く摂っている人に内臓脂肪の多い人が見られる傾向が強いことはまぎれもない事実です。

研究者の方にはぜひ、こうした事実を研究課題に加え、内臓脂肪生成のメカニズムを解き明かしていただきたいと思います。

【フォアグラの正体は過栄養性の脂肪肝】

内臓脂肪が生成される要因として、もう一つ私が危険視しているのが「アルコール」です。

アルコールの摂りすぎが、肝臓を「脂肪肝」に変えてしまうことはよく知られています。

「脂肪肝」というのは、肝臓に脂肪が蓄積された状態のことです。

肝臓は、腸で吸収した栄養素をいったん蓄え、体が使いやすい形に作り替えて全身に送るという働きをしているとても大切な臓器です。

たとえば、タンパク質は腸でアミノ酸に分解・吸収され肝臓に送られます。
肝臓はそのアミノ酸を、人間の体に合ったタンパク質に再合成して全身へと送り出します。

同じように、腸で脂肪酸に分解・吸収された脂肪は、肝臓でコレステロールやリン脂質、中性脂肪などに作り替えられてから全身に送られます。

こうした働きをするため、健康な肝臓でも、3~5%の脂肪が絶えず存在しています。
しかし、肝臓の機能が低下したり、食べすぎによって大量の栄養素が肝臓に流れ込む状態が続いたりすると、需要と供給のバランスが崩れ、肝臓に脂肪がたまっていくことになります。
こうして肝臓に脂肪がたまった状態が脂肪肝です。
一般的には、脂肪が肝臓の30%以上を占めるようになると脂肪肝と診断されます。

過栄養性の脂肪肝の典型は、フランス料理などで使われる高級食材のフォアグラです。
フォアグラは、必要以上にエサを与えることで作られた、ガチョウまたは鴨の脂肪肝です。
普通の鶏レバーを思い出していただければ、脂肪肝がいかに多くの脂肪細胞を含んでいるかおわかりいただけるでしょう。

脂肪肝の原因には、このように肥満を原因とする「過栄養性」のほかに、アルコールの摂りすぎによる「アルコール性」の脂肪肝があります。

アルコールの摂りすぎによって脂肪肝ができるメカニズムは、食べすぎの場合とは少し違います。

アルコールは腸でも吸収されますが、その20%はすでに胃で吸収されます。
胃から肝臓に送られたアルコールは、いったん毒性の強いアセトアルデヒドという物質に分解されます。
人体に有害なアセトアルデヒドは、さらにエンザイムの働きによって酢酸に分解され、最終的には水と炭酸ガスにまで分解され、体外に排泄されます。

しかし、こうした分解は、アルコールが一度肝臓を通過するだけで完璧に終わるわけではありません。
分解しきれなかったアルコールやアセトアルデヒドは、完全に分解されるまで何度も体中をめぐるのです。
こうしてアルコールが体の中をめぐっている状態が、いわゆる「酔っ払った」状態です。
そして、アセトアルデヒドがなかなか分解できず体内に長く残ると、毒素によって吐き気や頭痛が生じます。
これが「二日酔い」の正体です。

アルコールの分解にはいくつもの段階が必要ですが、そのたびにエンザイムが消費されるので、大量のエンザイムが消耗されます。
それだけではありません。
分解の過程でたくさんの活性酸素が発生するので、それを解毒するためにもさらに多くのエンザイムが使われます。

このとき充分なエンザイムが体内にあれば、それほど問題はないのですが、アルコールの過剰摂取が続いている人などは、もともとエンザイムが不足した状態にあるので、活性酸素による被害を防ぎきれなくなります。
その結果、肝臓の細胞が活性酸素により破壊され、肝臓に隙間ができてしまいます。

すると肝臓は、できてしまった空間をふさぐために、もっとも手近な「脂肪」を用います。
つまり、アルコール分解過程で発生する毒素による肝細胞破壊と、脂肪による損傷箇所の補填、これを繰り返していった結果が、アルコール性脂肪肝なのです。
これと同じことは、他の薬物の長期大量摂取によっても起こります。

【酒は「若さと引き替え」の一杯と心得よ】

以上のような理由から、「動物食」と「アルコール」の摂りすぎこそ、内臓脂肪を増加させ、老化を促進させる元凶だと私は考えています。

現在、メタボリックシンドロームと診断された方の一般的な治療法は、「カロリーを低めに抑えたバランスのいい食事」と「運動」です。
たしかに、内臓脂肪は、運動で落とすことができますが、新たな内臓脂肪がつかないようにするためには、食事指導にもう少し工夫が必要だと思います。

たんにカロリーを抑え、栄養バランスを変えるというのではなく、さまざまな食べ物が体にどのような影響を与えるのか、もっと臨床結果に注目した判断を下し、内臓脂肪に変わりやすい食べ物の摂取を控えるべきだと思います。

現代の栄養学では、タンパク質は動物性のものでも植物性のものでも、その「由来」は完全に無視されています。
しかし、私の臨床データによれば、両者はまったく違った影響を体に与えることがわかっているのです。

ですから私は、内臓脂肪の多い患者さんには、まず真っ先にすべきこととして、動物食をできるだけ減らすよう指導しています。
どんなに多くても肉は少量を月に1~2回、魚は脂肪の質が違うので週に2回ぐらいなら食べても大丈夫ですが、できるだけタンパク質は豆類などの植物由来のものから摂るようにしていただきます。

そして次に、腸相を改善するために、玄米に雑穀を混ぜた穀物を主食に、野菜、海藻、果物を副食として摂る食事をするようにしてもらいます。
このとき、血液やリンパ、胃腸など体内の流れをよくするためにも、充分な水も忘れずに飲んでいただくようにします。

この方法を実践すると、たんに内臓脂肪が減少するだけでなく、3か月から半年ほどで、腸相は見違えるほどよくなります。

体はつねにベストの状態を目指して、少しでもよくなろうと努力をしてくれています。
それを妨害しているのは、じつは私たちの「欲」なのです。
おいしいものを食べたい、もっとたくさん食べたい、もっとお酒を飲みたい、そうした欲が、エンザイムを浪費し、内臓に過度の負担を強いているのです。

さらに、アルコールに関しては、動物食以上の節制が必要です。

よく「酒は百薬の長」などという人がいますが、これは大きな間違いです。
お酒は体にとっては百害あって一利なし、とくにお酒に弱い人は要注意です。

普段お酒を一滴も飲まない私は、以前、フロリダのゴルフ場で、間違ってアルコールを少量含む飲み物を飲んで倒れてしまったことがあります。

その日はとても暑い日で、ハーフラウンドを終えてクラブハウスに戻ったときには、体はかなり脱水していました。
そこで、何か飲み物を飲もうと、バーへ行きました。

いっしょにコースを回っていた妻は「ピナコラーダ」という、フルーツジュースの中にちょっとだけアルコールの入った飲み物を注文しました。
私は、アルコールがまったくダメなので、アルコールの入らないピナコラーダ、「ヴァージン・ピナコラーダ」を注文しました。

欧米はレディファーストが常識なので、きっと妻のピナコラーダを先に作り、よく容器を洗わずに私のヴァージン・ピナコラーダを作ったのでしょう。
私のグラスにもアルコールがほんの少し入ってしまっていたのです。

一口飲んですぐにアルコールが入っていることがわかったので、それ以上は飲みませんでしたが、もう後の祭りです。
ものの1分か2分で私の血圧は上がり、心拍数が上がっていくのがわかりました。
そのときは、飲んだのが少量だったことが幸いし、クラブハウスのソファで横になって休んだだけで大事には至りませんでしたが、改めてアルコールの毒性の強さを実感した出来事でした。

それは本当に少量のアルコールだったのだと思います。
妻やバーテンダーは私の飲んだピナコラーダを自分たちも飲んで確かめましたが、まったくアルコール分が感じられなかったというのです。

私のような例は極端かもしれませんが、人によってアルコールに大きな毒性があることは、知っておいていただきたいと思います。
なぜなら、じつは日本人の50%は、きちんとアルコールを分解できる酵素をもっていないといわれているからです。

それなのにそこそこお酒を飲める人がいるのは、エンザイムには、よく使われる部分に配備されやすくなるという性質があるからです。

最初はお酒に弱かった人も、飲みつづけていると結構な量を飲めるようになります。
でもそれは飲みつづけることで体が危機を感じ、その部分に解毒用のエンザイムを優先的に集めるようになった結果なのです。

それに、お酒の分解ができるということは、それだけ大量のエンザイムを消費しているということでもあるので、お酒が飲めるようになったと喜んでばかりはいられません。

お酒には、ストレスの発散や人間関係の潤滑油となるというメリットがあるかもしれません。
でも、それが目的なら、お酒以外の手段も考えられるはずです。

飲酒は体に無理を強いているのだということを、はっきりと自覚していただきたいと思います。

とくに女性は、エストロゲンという女性ホルモンがあるので、アルコール代謝に男性より時間がかかり、アルコール中毒になりやすいので注意が必要です。

月経後は酔いやすいという女性が多いのですが、これは体内にエストロゲンが増えているためです。
アルコール代謝に時間がかかるということは、毒素が体内に残っている時間が長いということなので、アルコールによるリスクはより大きくなります。
最近は、女性もお酒を飲む人が増えてきていますが、それは自分の若さと引き替えにしている一杯だということを知っていただきたいと思います。

普段エンザイムの節約に努めている人が、短期間、もしくはたまにお酒を飲む程度ならまだいいのですが、これぐらいが自分の適量だと勝手に決めて、何十年もお酒を飲みつづければ、その報いは必ずあなた自身の体に返ってきます。

それは「早すぎる老化」かもしれないし、「脂肪肝」かもしれません。
それに、アルコールを飲んでいる人は、直接アルコールが関わっていないと思われる病気にもなってしまう危険性が高くなります。

アルコールを飲んでいたのに長生きしたという人は、もし飲んでいなかったら、もっと長生きできたことでしょう。

【念ずれば念ずるほど、若々しくいられる】

若く見える人と、老けて見える人の違いは、そのまま胃相・腸相の違いに当てはまります。
腸相がきれいな人は、肌が美しく若々しく見えるし、腸相の悪い人は、肌の老化が進み、実年齢より老けて見えます。

ですから、いつまでも若々しくありたいと願うなら、胃相・腸相をよくするような食生活と生活習慣を実践することが大切です。
胃相・腸相がよくなれば、その人の外見が若々しくなることは間違いありません。

ところが、たまに、あまり胃腸をいたわっていなようなのに若々しい人がいます。

また、同じように腸によい食生活と生活習慣を守っていながら、より若く見える人とそうでない人がいます。

では、より若く見える人は、ほかの人と何が違うのでしょう。

私は多くの患者さんを長いあいだ診ているのでわかるのですが、じつは、とくに若々しく見える人というのは、みな「自分は若々しくありたい」という気持ちのとても強い人たちなのです。
つまり、心の持ち方が違うのです。

第4章「心が若返れば、体も若返る」でさらに詳しく述べますが、心が体に与える影響力は、私たちが考えている以上に大きなものです。
これまでも「気力」や「ポジティブなモチベーション」には病気に打ち勝つパワーがあると述べてきましたが、若々しさも、その人の自分の若さに対する強い思いによって大きく違ってきます。

たとえば、女優さんや有名人には、若く見える人がたくさんいます。
そうした人たちがみな胃腸によい食生活をしているかというと、必ずしもそうではありません。

彼らの若さは、「若々しくありたい」「人よりもきれいでいたい」という強い思いが作り出しているものなのです。
彼らの若々しさは、必ずしも健康に裏打ちされたものではないかもしれませんが、強い思いが体によい影響をもたらしていることは充分考えられます。

その証拠に、引退した女優さんや、任期を終えた大統領のなかには、驚くほど老け込んでしまう人が少なくありません。
これは、現役のときにもっていた強い思いが、引退を機に失われてしまうからです。

彼らの若さが本当に健康に裏打ちされたものであれば、たとえ強い思いが失われたとしても、それほど急激に老け込むことはありません。

ですから、いちばんいいのは、腸によい食生活、生活習慣を実践しながら、「若々しくありたい」という思いを強くもつことです。

私も、健康によい生活を実践するだけでなく、普段から若々しさに対する強い思いをもつよう心がけています。

日本には「医者の不養生」という言葉がありますが、そんな情けないことでは患者さんの心からの信頼を得ることはできません。
とくに私のように「予防医学」をテーマとしている医師が、不健康な顔色をしていたり、年よりも老けて見えたりするようでは、いくら「こうすれば健康で長生きできますよ」といったとしても、誰も「自分も同じようにやってみよう」とは思わないでしょう。

若々しく見えることは、「病気にならない生き方」を提唱する私にとって、とても大切なことなのです。

みなさんも、「若々しく見えること」が自分にとってどれほど大きな意味をもつのか、ぜひ一度考えてみてください。
そこに大きな意味があればあるほど、強い思いをもつことができるようになり、思いが強ければ強いほど、念ずれば念ずるほど、若々しくいられるからです。

新谷弘実先生 著
『病気にならない生き方③ 若返り編』 より抜粋

『「若く見える人」と「老けて見える人」の違い』

2017-07-22 15:25:26 | 病気にならない生き方③若返り編
第1章 「若く見える人」と「老けて見える人」の違い

【植物食がもち肌を作り、動物食がさめ肌を作る】

少し前まで、日本人の肌は美しいことで世界的にも有名でした。
陶磁器のようにキメが細かく、西洋人の肌とは比べものにならない、といわれていたのです。
しかしそれも、過去の栄光になりつつあるのが現実です。

日本人の美しい肌は、なぜ失われてしまったのでしょう。

日本人の肌が早くから衰えるようになってしまったのは、食生活の変化が原因です。

私は講演会のときなどに、自分の肌を会場にいる若い女性に実際に触ってもらい、彼女らの肌と比べてもらうというパフォーマンスをたまに行います。
私の実践している健康法が皮膚の老化をどれほど食い止める効果があるのか、実感してもらいたいからです。

自分でいうのも少し気恥ずかしいのですが、私の肌は70代とは思えない張りとみずみずしさを保っています。
同年代の男性に見られがちな、老人性のシミなどもありません。

私の肌のやわらかさに「何をつけているのですか」「どこのエステに行かれているのですか」と尋ねる人もいますが、私は自分の健康法以外、何も特別な手入れはしていません。

腸をきれいに保ち、よい水を充分に飲んでいさえすれば、皮膚の老化を防ぐことは充分可能なのです。

日本人が美しい肌、とくに「もち肌」といわれる弾力と張りを兼ね備えた肌をもっていたのは、日本にもち肌を作るような食文化が根付いていたからです。
多くの日本人がもち肌を失ってしまったのは、日本古来の食文化が失われたためなのです。

では、どのような食文化がもち肌を作っていたのでしょう。

それは、「穀物を主体とした植物食中心の食事」です。

日本人の伝統的な食事とは、玄米と他の穀物を主食に、みそ汁、おかずは野菜や海藻の煮物に魚が少々、というものです。
戦後の高度成長期にこうした食事は、見た目の地味さが嫌われ、ステーキやハンバーグといった華美な欧米食にその地位を奪われてしまいました。

しかし、穀物を主体とした植物食中心の食事は、日本人のみならずすべての人間の腸にとって理想的な食事です。

そのことを世界中の人が認めるきっかけとなったのが、1977年にアメリカで発表された「マクガバン・レポート」でした。
それには、人間にとってもっとも理想的な食事は、元禄時代以前の日本の食事だと述べられていたのです。

元禄時代以前の日本食の主食は、白米ではなく玄米、つまり未精白のお米です。
玄米はでんぷん質、糖質のほかにも、食物繊維やビタミン、ミネラル、そしてエンザイムも豊富に含んでいます。
こうした良質の炭水化物は、非常に効率よく消化吸収されるので、タンパク質や脂肪を消化吸収した際にできやすい毒素を生み出す心配がありません。
それに食物繊維が豊富なので、便秘を解消させ、老廃物や毒素が排出されやすくなります。

さらに、白米では失われてしまう胚芽の部分には「フィチン酸」
という残留農薬の排泄を促す成分が含まれています。
残念なことですが、多くの穀物・野菜の生産には農薬が使われているのが現状です。
体の中に入ってしまった農薬を素早く排泄するためにも、主食は玄米で摂ることが望ましいのです。

しかし、日本人にとっての日本食の本当の価値は、たんに健康食ということだけにはとどまりません。
日本民族が何百年にもわたって受け継いできた「伝統食」という
のは、日本人の体にもっとも適した食事だからです。

食べ物を処理する能力には、人それぞれ違いがありますが、それに加えて、遺伝的な能力の差というものもあります。
たとえば、ヨーロッパの人々のように何千年も肉食を続けてきた民族と、日本人のように千何百年も植物食中心の食事をしてきた民族では、動物性タンパク質や脂肪に対する抵抗力に大きな差があるということです。

ごくかんたんにいえば、遺伝的に動物食を処理する能力の高い
欧米人に対しても大きな健康被害をもたらすいまの欧米食を、遺伝的に動物食に対する抵抗力の低い日本人が続けていれば、
健康被害もより大きなものになる危険性が高いということです。

日本人の体にもっとも適しているのは日本食です。
植物食中心の食文化が日本に戻ったとき、日本人の肌はふたたび、世界がうらやむもち肌になることでしょう。

【アトキンス・ダイエットは腸相を悪化させる】

でんぷん質を多く含む炭水化物は太りやすいので、ダイエットのためにはできるだけ炭水化物を抜いたほうがいいという人がいますが、6か月間以上、炭水化物抜きの食事を続けていると腸相は確実に悪化していきます。

アメリカでは、「アトキンス・ダイエット」というローカーボ・ダイエット(低炭水化物ダイエット)が人気を博したことがあります。
私は、アトキンス・ダイエットを実践している人の腸を数多く診ましたが、どれも腸相はよくありませんでした。
とくに、このダイエット法を1年以上続けているという人の腸はかたく、内腔も狭く、なかには腸の左右に憩室ができるなど、危険なほど悪化しているケースもありました。

このダイエットを考案したロバート・C・アトキンス博士とは、一時期オフィスが近かったこともあったので、思いきって、「あなたのダイエット法は間違っています。炭水化物を極端に減らした食事は腸相を悪化させ、健康を害する危険性があります。その事実を確認するためにも、一度、あなたの患者さんの腸相を見に私のところへ来てください」と、はっきり忠告もしました。

そのとき彼は、「そんなことはありえない」と認めてくれませんでした。
その彼も、その後、心筋梗塞を患って体調を崩し、2003年4月に72歳の若さで亡くなってしまいました。
そして、彼のダイエット法を否定している私は、昨年72歳の誕生日を健康体で迎えました。

どちらの食事法が健康な体を作るのか、結果がおのずと物語ってくれているのではないでしょうか。

炭水化物を摂らないアトキンス・ダイエットでやせるのは、インシュリンが出なくなった糖尿病患者がやせていくのと同じ原理です。

通常、私たちの体は炭水化物を摂ることによって血糖値が上がり、それが膵臓を刺激し、インシュリンが分泌されます。
インシュリンは体の細胞の細胞膜に働きかけ、血液の中の糖を細胞内に取り入れるのを促すホルモンです。
糖尿病は、膵臓の働きが悪くなり、インシュリンの分泌が衰えたり、出なくなってしまったりする病気です。

インシュリンが出なくなると、血液中の糖を細胞が取り込めなくなってしまうため、体は飢餓状態になります。
飢餓状態になった体は、エネルギーを得るために、脂肪を分解し、エネルギーに変えようとします。
糖尿病患者がやせるのはこのためです。

問題は、こうした脂肪代謝の過程で「ケトン体」という強力な酸化物質が作り出されるということです。
ケトン体は尿や汗、呼気などからも排泄されますが、その人の排泄能力を上回るほどのケトン体ができてしまうと、本来弱アルカリ性であるべき血液を酸性に傾けてしまいます。
そして、ひどい場合には「ケトアシドーシス(酸血症)」という、命に関わる深刻な症状を引き起こす危険性もあるのです。

ケトアシドーシスに至らないまでも、「酸化=老化」だということがわかっていれば、このダイエットがけっして体にいいものではないことがおわかりいただけるでしょう。

ですからアトキンス・ダイエットは、余分な脂肪を燃焼させてやせさせるというよりも、体がタンパク質を多く摂ることで酸性化し、脂肪や筋肉、そして臓器にもダメージを与えることでやせさせているのだといえます。

アトキンス・ダイエットの実践者には、偏頭痛や筋肉の痙攣、下痢などの症状が表れることが多いのですが、これはエネルギー不足になった体が発しているSOS信号なのです。

アトキンス・ダイエットのもう一つの問題は、動物性タンパク質と脂質の摂取量をまったく制限していないことです。

タンパク質をたくさん食べても太らないのは、過剰に摂取されたタンパク質は体に吸収されることなく排泄されてしまうからです。
食べても太らないならいいじゃないか、と思うかもしれませんが、それはとんでもない間違いです。

なぜなら、過剰なタンパク質は、そのまま排泄されるわけではなく、一度アミノ酸に分解され、そのアミノ酸がさらに分解されて尿として排泄されなければならないからです。

分解に多くのエンザイムがムダに使われるのはいうまでもありませんが、アミノ酸を分解する際に、生体では尿素や尿酸、焦性ブドウ酸といった体に有害なさまざまな酸が生じるため、血液を酸性にしてしまうのです。
酸化した血液は、カルシウムで中和しなければならず、骨や歯などからカルシウムが奪われていきます。
また、充分な水分を摂っていない人は、尿が濃くなりすぎ腎臓にも大きなダメージを与えることになります。

さらに問題なのは、タンパク質は便のもとにならないということです。
アトキンス・ダイエットでは野菜を多めに摂るように指導しているようですが、食物繊維を豊富に含む良質な炭水化物を摂らないと、充分な量の便を作ることはできません。
充分な量の便ができないと、胃腸の流れが悪くなるので、腸相は悪化していきます。

また、脂肪の摂取を制限しないアトキンス・ダイエットでは、動物性脂肪の摂りすぎによって血液がドロドロになり、酸素や栄養を全身にきちんと送れなくなってしまいます。

充分な栄養と酸素が行き届かなければ、細胞内のミトコンドリアが働かなくなるため、細胞はきちんとした新陳代謝ができず、体中のさまざまな場所で老化現象を引き起こします。

やせることと健康になることとは、同義ではありません。
体重がいくら落ちても、内臓がぼろぼろに老化してしまったのでは意味がありません。

健康的にやせたいと思うなら、玄米や未精白の雑穀など、良質な炭水化物を主体とした植物食と水をきちんと摂ることが必要です。
アトキンス・ダイエットのように急激な減量は望めませんが、体に負担をかけないばかりか、胃腸をきれいにしながら、健康的にやせることができます。

【内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満の違いとは?】

少し前までは、ダイエットに関心を寄せるのは若い女性と相場が決まっていました。
ところが、最近は、ダイエットに真剣に取り組む中高年の男性が激増しています。

その背景には、「メタボリックシンドローム」という言葉の定着と、それに対する恐怖感があるようです。

メタボリックシンドロームとは、ごくかんたんにいうと、内臓脂肪型肥満に加え、高血糖・高血圧・高脂血症のうち二つ以上の合併が見られる、動脈硬化になりやすい状態のことをいいます。

これは、1998年にWHO(世界保健機関)が「メタボリックシンドローム(代謝症候群)」という名称と、その診断基準を発表したことから、世界中に知られるようになりました。
現在、日本で診断基準とされているのは、2005年に日本内科学会などが発表した、次のようなものです。

①おへそまわりの太さが、男性は85㎝以上、女性は90㎝以上。
②空腹時血糖110mg/dl以上。
③収縮期血圧130ミリHg以上か拡張期血圧85ミリHg以上のいずれか、またはいずれも満たすもの。
④血清中性脂肪150mg/dl以上か、血清HDLコレステロール値40mg/dl未満のいずれか、またはいずれも満たすもの。

①に加え、②から④のうち二項目以上当てはまるもの。

メタボリックシンドロームの最大の特徴は、同じ肥満でも、皮下脂肪型の肥満ではなく、内臓脂肪型の肥満の人に見られるということです。

人間の体は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余分なものを脂肪として蓄積するようになっています。
その脂肪には、皮膚のすぐ下につく「皮下脂肪」と、内臓のまわりにつく「内臓脂肪」の二種類があります。

皮下脂肪型肥満の特徴は、脂肪のついた部分が比較的やわらかく、指でつまむことができることです。
中年女性などに多い、三段腹と呼ばれる太り方は、皮下脂肪型の肥満といえます。

一方、内臓脂肪型肥満は、文字どおり内臓のまわり、もう少し詳しくいうと、おなかまわりの筋肉(腹筋)と内臓の間に脂肪がつくので、おなかだけがぽっこり出ているのが特徴です。
内臓脂肪は指でつまむことができないので、ぽっこりとしたおなかは、触るとかたい感じがします。
中年男性に多い太鼓腹といわれる太り方が、内臓脂肪型肥満の典型的なものです。

なぜ「内臓脂肪型肥満」に限定して注意を促しているのかというと、高血糖、高血圧、そして高脂血症を併発している人に、内臓脂肪型肥満の人が圧倒的に多かったからです。

これらの症状は、単独でもかなり健康リスクが高いものですが、併発することによって、動脈硬化などのよりハイリスクな症状へと移行してしまいます。
そこで深刻な事態になる前に、予備軍を見つけ出す基準として、メタボリックシンドロームに対し、警鐘が鳴らされるようになったのです。

たしかに、私の臨床経験からいっても、内臓脂肪型肥満の人と、皮下脂肪型肥満の人では、明らかに腸相が異なります。

すべてではありませんが、皮下脂肪型肥満の人のなかには、やわらかくきれいな腸相をしている人も、じつはたくさんいます。
つまり、皮下脂肪型肥満の人のなかには、健康な人もいるということです。
しかし、内臓脂肪型の肥満の人の腸相は、例外なくよくありません。
内臓脂肪型肥満は確実に健康被害をもたらすのです。

内臓脂肪がたくさんついている人の腸は、腸管自体が厚くかたくなり、憩室も多く見られます。
外見は太っているようには見えないのに、じつは内臓脂肪がたくさんついてしまっている「隠れ肥満」と呼ばれる人もいますが、内臓脂肪がついている腸は、コロノスコープを使っているとき、腸が重く感じられるので、私にはすぐにわかります。

このように、皮下脂肪と内臓脂肪では、腸相に与える影響がまったく違います。
そして、それは、そのまま健康に与える影響でもあるのです。

新谷弘実先生 著
『病気にならない生き方③ 若返り編』 より抜粋

『「若く見える人」と「老けて見える人」の違い』

2017-07-15 07:54:33 | 病気にならない生き方③若返り編
第1章 「若く見える人」と「老けて見える人」の違い

【夫に先立たれた女性が若々しくなるのはなぜ?】

人が若々しくありたいと願うのは、じつは生き物としてごく当たり前のことです。

それは本能のなせるわざといっても過言ではないでしょう。

さて、ここで質問です。

女性が若々しく変化するときと、男性が若々しくなるとき、じつはこの二つには共通する部分と相反する部分があるのですが、それは何だかわかりますか?

女性は離婚したり、夫に先立たれたりすると、若々しくなるのです。

一方、男性は、若い恋人ができたり、若い女性と結婚したりすると、若々しくなります。

もちろんすべての人がそうだといっているわけではありません。
でも、実感としてそのように感じるのは、私だけではないでしょう。

ここで興味深いのは、両方ともに「愛情」が関係しているのに、若々しくなる要因はまったく逆だということです。
もちろん、なかには心から愛する人が亡くなったストレスでボディ・エンザイム(体内酵素)が消耗し、老けてしまう人もいますが、離婚した女性や夫に先立たれた女性がみるみるうちに若く美しくなっていくというのは、世の男性なら誰もが気づいていることだと思います。

では、なぜ女性は愛する人を失うと若々しくなるのでしょうか。

じつは、新しい恋人を魅了するためなのです。

(こんなことをいうと、気分を害される方もいるかもしれませんが、あくまでも生物学的に見た「たとえ話」なので、気を悪くしないで読んでください)

女性の体というのは、子供を産むようにできています。
そして男性の体は、自分の子供を産んでくれる女性を守るようにできています。
そのため、本能的に女性は庇護されることを望み、男性は庇護することを望むのです。

ですから、庇護してくれる男性を失った女性は、新しく庇護してくれる男性を得るために、自らの魅力を最大限に発揮するようになり、男性は庇護する女性ができたときに、自らの魅力を最大限に発揮するようになるのです。

これが、夫と別れた女性が若々しく美しくなり、若い妻をめとった男性が元気になるカラクリではないかと私は考えています。

恋をすると男性も女性も若々しく美しくなるのは、こうした本能的な力によって体内のエンザイムパワーが高まっているからです。

ですから、若返りたいと思うなら、恋をするのはとても効果的な方法の一つです。

でも、恋をしなくても同じくらい、いえ、それ以上にエンザイムパワーを高めることができる力を私たちの心はもっています。
それは、夢を叶えたい、誰かの役に立ちたい、こうした「強いモチベーション」をもつことです。

これは、動物にはない、人間だけに与えられた力です。

人は誰でも健康で長生きしたいと思っています。

同じように、人は誰でも若々しくありたいと願っているのです。

それは本能でもあるのですが、もう一歩踏み込んで、長生きして何がしたいのか、若々しくあることで何ができるのか、ぜひ考えてみていただきたいと思います。

なぜなら、それを考えることが、もっともエンザイムパワーを高める心の力、つまりモチベーションをあなたに与えることになるからです。

あなたはなぜ若々しくありたいのでしょうか?

私が若々しくありたいのは、予防医学を社会に根付かせたいという強いモチベーションがあるからです。
できればあと30年、私は現役の医師として、社会に貢献したいと考えています。

いくら私の健康法が体にいいといっても、私自身がヨボヨボのシワくちゃでは誰も共感してくれないでしょう。
私が若々しくあることは、予防医学のすばらしさを理解してもらうためにとても大切なことなのです。

【肌を見れば、腸の年齢もわかる】

私は初診でも、患者さんの顔を見ただけで、その人の腸相がよいか悪いかわかります。

なぜなら、実年齢より老けて見える人は、腸相もよくないということを経験的に知っているからです。

じつは、腸相と人相は密接な相関関係にあります。

人相のよい人は腸相もよく、腸相の悪い人は人相もよくありません。

誤解のないようにいっておきますが、ここでいう「人相」というのは、器量のよしあしではありません。
皮膚の状態や顔色、表情や瞳の輝きなどのことです。

多くの人は、年をとればそれだけ肉体も衰えていくのだから、老けて見えるのは仕方のないことだと思っています。

でも、どの程度の衰えが「仕方ない」といえる範囲のものなのでしょう。

たしかに、年齢を重ねれば肉体は衰えます。
いくら若く見える人でも、70歳を過ぎているのに10代に見えるという人はいません。
それでも、50代か60代にしか見えない「若く見える人」はいます。
その一方で、80代か90代に見えてしまう「老けて見える人」もいます。

私たちが漠然と抱いている「年相応」という感覚もあまり当てになるものではありません。
それは、身近な人と比べたり、経験と照らし合わせたりしているだけの曖昧なものだからです。
「これが年相応の衰えです」という基準など、どこにもないのです。
もしかしたら、50代に見える若々しい姿が、70歳の本来あるべき姿かもしれないのです。

では、「若く見える人」と「老けて見える人」では、何が違うのでしょう。

私たちが人を見て「若い」と判断する最大のポイントは、「皮膚」にあります。
張りのあるみずみずしい素肌は、若さの象徴ですし、いつまでも若々しくありたいと望む女性がもっとも気にするのもシミやシワ、たるみといった皮膚の衰えです。

腸相と人相が密接な相関関係にあるという理由もここにあります。
腸相が悪化したとき、外から見える部分で、もっとも大きく変化するのは、じつは「肌」なのです。

女性はご存じだと思いますが、便秘状態が続くと、ニキビや肌荒れといった肌のトラブルが生じます。

では、なぜ便秘をすると肌のトラブルが生じるのでしょう。

腸は食べ物を消化吸収する器官です。

腸が健康であれば、必要な栄養素はきちんと吸収され、不必要な食べ物のカスや腸内で生じた毒素は便として排出されます。

しかし、便秘をしていると、こうした毒素の排出がきちんとできなくなってしまいます。
その結果、腸内にたまった毒素は出口を求めて腸壁から血管へと流れ、血管を通して全身をめぐることになるのです。
そして、最終的に皮膚の汗腺から体外へ出るのですが、その際に、皮膚にダメージを与えてしまいます。
これが便秘によって生じるさまざまな肌のトラブルのカラクリです。

つまり、便秘によって起きる肌のトラブルの原因は、腸内にたまった毒素なのです。

こうした便秘と肌荒れの関係は、腸と肌の密接な関係をとてもよく物語っています。

アトピー性皮膚炎も、アレルゲンの多くは食べ物であり、腸の免疫機能を高めると皮膚炎が治まることはよく知られています。

腸トラブルを抱えている人の肌には、必ず何らかのシグナルが表れています。
同様に、外的な要因ではない肌のトラブルを抱えている人は、腸に何らかの問題があります。

年齢以上に老けて見える人というのは、腸が年齢以上に衰えていることを示しているのです。

【百歳を超えて長生きする人の腸相は?】

腸が年齢以上に老けてしまうと、その人の寿命は短くなります。

腸相のよしあしが寿命と密接に関係しているというと、腸相は年齢を経るごとに少しずつ悪くなっていき、最終的にはガチガチにかたくなって死を迎えるように思われるかもしれませんが、実際にはそうではありません。

もちろん、腸相が悪化し、病気になり亡くなる方もいますし、そういう人の腸相はけっしてよくはありません。
ところが、天寿をまっとうして老衰で亡くなられる方は、意外ときれいな腸相をしているのです。

私は高齢者の腸もたくさん診ていますが、面白いもので、腸相のすごく悪い方というのはだいたい85歳くらいまでで、最高でも90歳くらいまでしかいらっしゃいません。
百歳を過ぎた方で腸相がすごく悪いという症例には、まだ出合ったことがないのです。
私が診た最高齢の腸は105歳の方のものでしたが、やわらかくきれいな腸相をしていました。

90歳以上になると、腸相の悪い方がほとんどいなくなるというのは、とても興味深いデータだと思います。
なぜなら、腸相の悪い方の寿命の限界が、そこに示されていると考えられるからです。

現在の医学では、人間の寿命の限界は120歳程度だといわれています。
そして、百歳以上の、長生きしている方というのはみな、総体的にきれいな腸をしています。
つまり、彼らは、腸がきれいだからこそ、長生きができていたということです。

前著『病気にならない生き方② 実践編』の中で、90歳まで長生きする愛煙家がいるのはなぜかというお話をしました。
その説明として、「90歳というと一般的には長生きとされるが、たばこを吸っていなければその人はもっと長生きできたはずだ」と述べました。
何か一つでも健康被害を与えるような食習慣、生活習慣を続けている人の寿命の限界点がそこにあるのかもしれません。

でも、90歳まで生きられれば充分だから、自分は好きなものを好きなだけ食べるし、お酒もたばこもやめないでいいや、とは間違っても思わないでください。

食習慣にしても生活習慣にしても、たとえ同じことを同じようにしても、体が受けるダメージは、一人ひとり違います。

たとえば、私は潰瘍性大腸炎やクローン病の発病には、これまでの臨床経験や患者の「食歴」データから、乳製品、とくに牛乳の過剰摂取が関わっていると確信していますが、どのくらいの量の乳製品を摂ったら発病に至るのかということはいえません。
なぜなら個人差がとても大きいからです。

たばこを吸う人がすべて肺ガンになるわけではないように、週に1,2回、牛乳をコップ一杯飲んだだけで発病してしまう人もいれば、毎日1リットル飲んでも発病しない人もいるでしょう。
個人差というのは、それほど大きなものです。

個人差はあっても、エンザイムを消耗するような食生活、生活習慣を続けていれば、体がダメージを受けるのは確実です。

若い人でも、腸に負担をかける食事を続け、エンザイムを消耗するような生活をしていると、腸の老化は進んでしまいます。
実年齢は30歳なのに、腸年齢は70代ということだってありうるのです。

それでも、若いうちはミラクル・エンザイム(エンザイムの原型ともいうべきもの)のリカバリー能力が高いので、目に見えるような老化現象は表れないでしょう。

しかし、中年を過ぎ、SOD(スーパー・オキシド・ディスムターゼ)などの抗酸化エンザイムの生産量が低下してくると、腸の老化はそのときを待っていたとばかりに進行し、老化が一気に全身へと広がっていきます。
そうならないためにも、普段から腸を健康な状態に保つよう心がけることが大切なのです。

【病気も老化も原因は腸相の悪化と関係している】

最近は、さまざまなアンチエイジング法が注目されています。
そのなかには、シワになった部分にヒアルロン酸を注入したり、シワをできにくくするボトックス注射をしたりするなど、ただ老化の部分的な結果に対処するだけの方法も少なくありません。

しかし、病気の治療もそうですが、原因を無視して結果だけに対処しても、本当の意味でのアンチエイジングになるとは思えません。

老化の原因そのものを取り除くことこそが、本当のアンチエイジングではないでしょうか。

老化を進めている最大の要因は「酸化」だと私は考えています。
つまり、酸化によって細胞がダメージを受け、正常な細胞として再生できなくなった状態、それが老化だと考えているのです。

体内に酸化物質が侵入、または発生したとき、それによって細胞がダメージを受けないように守ってくれるのは、さまざまな抗酸化物質、とくにSODに代表されるエンザイムです。
ですから、エンザイムの体内保有量が多ければ多いほど、体は酸化しにくい、つまり老化しにくいといえます。

エンザイムの体内保有量を多い状態に維持するもっともよい方法が、腸相をきれいに保つ食事と生活習慣を守ることです。

腸相が悪化すると、腸内で発生した毒素を分解するために大量のエンザイムが消費されるため、エンザイムの体内保有量が減少し、抗酸化能力そのものが低下してしまうからです。

さらに腸は、善玉の腸内細菌により多くのエンザイムを作り出し、私たちの健康維持を助けてくれている大切な常在菌が数多く住んでいる場所でもあります。
その腸内の環境が悪化すると、常在菌も善玉菌優位から悪玉菌優位へと変化するため、生産されるエンザイムのパワーが著しく低下してしまいます。

さらに、腸相の悪化はもう一つの理由で老化をさらに促します。

それは免疫機能の低下です。

腸は人体最大の免疫器官です。
腸は、体に害があるものが入ってくると、どんな臓器よりも素早く反応し、その情報を免疫システムに伝達し、それが腸内であれば下痢を起こさせ、毒素を体外へと排出し、ほかの部分であれば、免疫細胞を送り、異物の排除にあたらせます。

ウイルスなど外部から侵入した異物から体を守ってくれるのが白血球、なかでもガン細胞すら食い殺してくれる免疫細胞として知られるNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)や、マクロファージ、T細胞、B細胞といった「リンパ球」は、その60~70%が、じつは腸内に存在しているのです。

つまり腸は、全身を網羅する免疫システムの司令塔の役目を担っているのです。

腸は、脳の支配下に位置しない不思議な臓器です。

脳死状態になったとき、人工呼吸器をつけなければ心肺機能は止まってしまいますが、腸は脳からの指令が届かなくても、食べ物が入ってくれば栄養分を吸収し、不要なものは排出するという自らの機能をきちんと果たします。

また、私たちの体は、交感神経と副交感神経という二種類の自律神経が、交互に支配することでバランスをとっていますが、脳や心臓、肺といった臓器が、緊張・興奮状態のときに優位になる交感神経支配下で活発に働くのに対し、胃腸は副交感神経が優位になったとき、つまり、寝ているあいだやリラックスしているときに活発に働きます。

体調が悪くなったときに、体を横たえ休みたくなるのは、体を副交感神経優位に切り替え、免疫システムがスムーズに働ける環境を作り出すためと考えられます。

しかし、いくら体が腸の指令に従う体勢をとっても、指令塔からの指示自体が乱れれば、免疫システムはその機能を充分に果たすことはできなくなります。

腸の健康が損なわれると、全身の健康が損なわれるのはこのためです。

腸相の悪化は、エンザイムの体内保有量を減らすだけでなく、新たなエンザイムの生産能力も低下させ、さらに免疫機能をも低下させてしまうというわけです。

免疫機能とエンザイムパワーは、このように相関関係にあります。
老化が進むと同時に病気になりやすくなるのは、両者の原因がともに腸相の悪化に根ざしているからと考えられるのです。

【「老化を促進する食べ物」はこれだ】

きれいな腸相を保つには、前著で詳しく述べた「七つの健康法」を継続して行うことが理想です。

具体的には、「正しい食事」「よい水」「正しい排泄」「正しい呼吸」「適度な運動」「上手な休息・睡眠」「笑いと幸福感」となります。
これらをすべて行うことで相乗効果がもたらされるので、七つのすべてを同時に行うことが本当は大切です。
しかし、患者さんのなかには、「とても七つすべてを一度には改善できない。どこから手をつければいいですか」と尋ねる方もいらっしゃいます。

そうしたときには、私は、「まず食事と水から改めてください」と答えることにしています。

これまでも繰り返し述べてきましたが、私たちの体は、口から入ってきたものを原材料に、毎日少しずつ新陳代謝することで「生まれ変わって」います。
ですから、「よい生まれ変わり」ができるかどうかは、口から入る「食事」と「水」にかかっているといっても過言ではないのです。

多くの人は、食べ物の栄養価やカロリーしか気にしませんが、それでは老化を食い止めることはできません。
いつまでも若々しくありたいと望むなら、腸が若々しくいられるような食事を心がけることが必要です。

では、どのような食べ物が老化を促進させ、どのような食べ物が老化を防ぐのでしょうか。

まず老化を進める食べ物から見ていきましょう。

第一にあげられるのは、「酸化した食べ物」です。
酸化した食べ物は、体内でフリーラジカル(活性酸素)を大量に生み出し、細胞を傷つけるうえ、その解毒のために大量のエンザイムを消耗させてしまいます。

リンゴやジャガイモの皮をむいて放置しておくと、表面が茶色くなります。
これは、表面が空気中の酸素に触れて酸化したことを示しています。

食べ物は空気に触れている時間が長ければ長いほど酸化が進みます。
古くなった食べ物や、作ってから時間のたった料理は酸化が進んでいるのでなるべく避けるようにしましょう。
調理するときは、野菜やお肉もできるだけカットしていないものを購入し、食べる直前にカットするようにすると酸化を最小限に抑えることができます。

そして、気をつけてほしいのが、最初から酸化してしまっている食材です。
搾った油はその代表といえます。
製造される段階で、すでに酸化してしまっているので、使用を最小限にとどめてほしい食材です。

次にあげられるのは、「動物食」です。

動物食のなかでもとくに「肉」は、老化を早める食べ物といえるでしょう。

日本では長いあいだ、肉を食べないとスタミナがつかない、肉を食べなければ体が大きくならないといわれてきましたが、はたして本当でしょうか。

肉食が多くなって日本人の体格が立派になったのは事実です。
しかし、これには別の理由が関わっています。
それは、動物性タンパク質を多く摂ると成長スピードが速くなるということです。

つまり、肉を食べたこと自体で体が大きくなったのではなく、たまたま成長期に動物性タンパク質を多く摂るようになったので、成長期に成長するスピードが速くなり、結果的に体が大きくなったということなのです。

結果は同じに見えますが、体の中で生じていることは、まったく違う意味をもっています。
成長スピードが速いというのは、必ずしもいいことではありません。
なぜなら、「成長スピードが速い」ということは、ある一定の年齢を過ぎれば、「老化スピードが速い」ということになるからです。

老化が若いうちから急速に進む先天性遺伝子疾患に「プロジェリア症候群」という難病があります。
この病気の人は、子供の身長のまま老化していきます。
成長スピード(=老化スピード)があまりにも速すぎて、体が成長期にならないうちに老化してしまうからです。

また、肉に含まれる脂肪は、人間の体温ではうまく溶けることができないため、血液をドロドロにしてしまうというデメリットもあります。

私たちが普段食べている牛や豚、鶏の体温は、人間より高い38.5~40度です。
彼らの脂肪は、そうした温度でもっとも安定するようになっているため、37度というそれより体温の低い人間の体内では、ベタッと固まってしまうのです。
この脂のベタつきが血液をドロドロにしてしまうのです。

血液の流れが悪いと、栄養が細胞の隅々にまで充分に行き渡らないため、細胞の新陳代謝を阻害することになり、老化を促進させてしまいます。

「酸化した食べ物」と「動物食(とくに肉類)」、この二つは老化を促進させる食べ物だということをしっかりと頭に入れておきましょう。

新谷弘実先生 著
『病気にならない生き方③ 若返り編』 より抜粋