樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ウミウかカワウか

2014年07月17日 | 野鳥
6月末、宇治川の鵜飼に使われているウミウにヒナが誕生しました。5月下旬から6月初めにかけて5個の卵を産み、そのうちの1個が孵化したのです。極めて珍しいことで、関西ではあちこちのマスコミで報じられました。
100羽以上のウミウがいる長良川の鵜匠(75歳)は「鵜は卵を産まない」と信じていたそうで、専門家も「飼育中のウミウが孵化するのはおそらく初めて」と話しています。
その後、ヒナは順調に育ち、鵜匠のブログによると、7月12日現在326グラムまで成長。毎日、体重に近い量の餌(ペースト状にしたアジやイワシ)を食べているそうです。
この珍事のおかげで宇治川の鵜飼の人気も高まったようで、先日見に行ったら、平日にもかかわらず100人近い観光客が乗船していました。



このニュースで、鵜飼に使われているのはカワウではなくウミウであることが広く知られました。鵜飼は全国に14カ所ありますが、そこで飼育されている鵜のすべてが茨城県日立市の海岸で捕獲されたウミウ。宇治川にも今年2羽の新入りが加わりました。
日本の鵜飼はウミウですが、中国ではカワウを使うそうです。中国では現在でも鵜飼が漁業として行われていて、漁師は冬はカワウを、夏は網を使って魚を獲るとのこと。日本では夏の風物詩ですが、中国では冬なんですね。
日本でも元々はカワウを使っていたようですが、一時カワウが激減して捕獲が難しくなったためウミウになったとのこと。
そう言えば、今でこそカワウは珍しくとも何ともないですが、30~40年前はカワウは珍鳥で、わざわざ愛知県まで見に行ったという話を先輩に聞いたことがあります。
カワウからウミウに変わったもう一つの理由として、徒歩で行う「放ち鵜飼」から舟に乗って行う「舟鵜飼」に変化する過程で、より大きいウミウの方が好都合だったからではないかと、ある研究者は推測しています。
ちなみに、鵜飼はペルーでも行われていたらしく、1400年前の土器にその絵が描かれているとのこと。さらに、ヨーロッパでも一時スポーツとして鵜飼が行われたようで、ルイ13世の前で鵜飼が実演されたという記録が残っているそうです。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2014-07-17 08:54:09
おはようございます
カワウ、そうですよね。
私が小学生だった35年ほど前、放課後に友だちとよく自転車で上野不忍池に行き、小学生は無料なので時々動物園に入っていました。
不忍池のうち動物園内にある池にカワウの営巣地があり(人工島と擬木)、そこには、青森県のどこかと、愛知県の知多半島とここにしか集団繁殖地がない、という説明書きがあり、カワウって貴重な鳥なんだ、と思いました。
でも、今は増えているのですね、そうかなとは思っていましたが。
北海道でも目撃例が増えてきているようですが、私はまだこちらでは見たことはないです。
なので、カワウといえば私はいまだに東京のイメージです。
実際、羽田に着いてモノレールに乗ると、川によくいますし。
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カワウは (fagus06)
2014-07-18 07:04:06
こちらでは、水鳥の中ではカラス並みの扱い(笑)でしょうか。宇治川でも、特に冬はたくさん居て、鳥見に行っても、ほとんど双眼鏡を向けないです。
漁業被害もあって、特にアユを放流している河川では、カワウは目の敵にされています。
でも、30~40年前は珍鳥で、不忍池も数少ない営巣地だったんですね。
北海道ではまだ少ないんですか。所変われば珍鳥も変わる、ですね。
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