樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

毛のおかげ

2006年07月06日 | 木と歴史
木について『日本書記』に面白いことが書いてあります。
スサノオノミコトが髭を抜いて撒くと、それがスギになった。胸毛を撒くとヒノキに、お尻の毛はコウヤマキに、眉毛はクスノキになった。そして、ミコトは「スギとクスノキは舟に、ヒノキは神殿に、コウヤマキは棺に使うように」と言った・・・。
『日本書記』や『古事記』にはこういう荒唐無稽な話がたくさんあります。

      
   (「棺に使え」と言われたコウヤマキ。高野山で記録されたので「高野槙」。)

スサノオノミコトの言い付けを守ったためか、神社は昔からヒノキ造りです。
また、福井県の鳥浜遺跡から日本最古の丸木舟が発掘されていますが、その材はスギです。ちなみにこの舟の大きさは、長さ6m、最大幅63cm、厚みは3.5~4cm。スギの大木をくり抜いたり、焼き焦がしたりして作ってあるそうです。

      
    (近所にある日本最古の神社・宇治上神社(国宝)はもちろん檜造り)

さらに、青森県の三内円山遺跡からはコウヤマキの棺桶が発掘されています。クスノキも樟脳(防虫剤)を取る木ですから腐りにくく、舟には最適の材です。。

『日本書記』の話は決して荒唐無稽ではなかったのです。
私たちが杉の香りのある樽酒が飲めたり、檜風呂が楽しめるのは、スサノオノミコトの体毛のおかげなのです。
コメント (4)
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