図書館-J

自分の為に、読んだ本の感想メモ

本と出合いを大切に

『ほたるの群れ 第二話「糾」』向山貴彦

2012-08-23 20:37:55 | 向山貴彦
向山貴彦 著『ほたるの群れ 第二話「糾」』(幻冬舎文庫)
【2011.11.20】読了。

第二話が、思っていたよりも早く出版されてうれしい限りです。

そして一気読みしてしまいました。
久しぶりに良い勢いです。

ただブランクが短いとはいえ、やっぱり微妙に忘れていることもあるわけで、こういうシリーズ物って、「前回までのあらすじ」っていうのを冒頭につけてほしいですね。

永児くんは、今回も大活躍というか大暴走というか、やらかしています。
彼の潜在的なこの力、第一話を読んだ時点では、主人公だから勝つのだという物語のご都合主義かとも思ったのですが、ちゃんと因縁があるようです。

『ハリーポッターと賢者の石』/J・K・ローリング

2012-08-20 23:37:44 | その他
J.K.ローリング 著『ハリーポッターと賢者の石』(静山社)
【2011.11.16】読了。
(2011年33冊目)


映画の公開からも随分経ちます。
いまさらですが小説を読みました。
しかもハードカバー。
貸してもらって早何ヶ月、なかなか手を出せなかったのですが、読み始めれば一週間ほどでテンポよく読めました。


ということで、読書メモ。
読んだ記憶を記録にします。








▼映画とは違う印象
映画もざっくり観たような記憶があります。
そう、ケルベロスがいた記憶があります。

で、冒頭。
主人公のポッター君、「小公女」的に恵まれない環境ですね。
心理描写の加減でしょうか、ポッターの性格は映画のそれとは随分違った印象を受けました。
何より彼、反骨精神旺盛です。
僕なら、大人しく決して反抗すまいと唇を噛むところですが、要所要所でささやかな抵抗を見せます。気持ちが負けてないといえば聞こえは良いですが、いちいち事を荒立てる、そんな主人公にはいまいち共感できません。

ホグワーツに行くにあたって、おじさんに駅まで連れてってと頼めるあたり意外に感じました。
家族とはどのくらいの距離感なのか、いまいちつかめない。

▼いざ魔法世界へ
手紙がしつこく届いて、ハグリットが登場するあたりから夢中になります。
いじわる家族にひと泡吹かせる様は、なぜか『ホームアローン』を連想させしました。全然違う話ですが。してやったりというスッキリ感が似てるのかな?

電車では、おなじみのロンやハーマイオニーが。
意外とネビルが存在感ありますが、映画ではあまり印象がありません。
謎のお菓子がたくさん登場しますが、とりあえずどれも食べたいとは思えません。百味ビーンズ恐ろしい。

クィディッチなるスポーツは、映画で見たからこそイメージができるけれど、何よりもまずこんなスポーツを良くも考えたなぁと、作者に称賛を。
命がけですよね。死人はいないと言いますが。

▼ミステリィ仕立て
賢者の石をめぐって、スネイプ先生の暗躍が疑われますが、しっかりとどんでん返し。
まさか先生が黒幕。
映画・・・見たはずなのになぁ。
ちゃんと驚けました。

しかし、賢者の石に至るまでのトラップの数々、緩いですね。
特にチェスなんて。ロンで勝ててしまうレベルですから。
逆に、「みぞの鏡」を使ったトラップは、面白い理屈だと思えましたが。

事件を終え、ダンブルドア校長の種明かしもあってすっきり・・・しないですね。
ハリーの解釈ですが、校長の計らいで、透明マントや、鏡のヒミツなど、アドバンテージを得て、ヴォルデモードと対決するチャンスを与えられたというのは、面白く感じました。

後にたくさん続くシリーズになるんですね。
映画は、テレビ放送を適当に見ただけなので、印象としてはしっかりしていません。
小説メインで、映画は視覚的な補完って感じで楽しんでいきたいですね。

『ロードムービー』/辻村深月

2012-08-07 21:53:15 | 辻村深月
辻村深月 著『ロードムービー』(講談社文庫)
【2011.11.09】読了。
(2011年32冊目)


短編集。
久々に辻村作品を読みたくなったので、手にとりました。
著者の作品で、以前に読んだのは『冷たい校舎の時は止まる』と『凍りのくじら』です。

彼女の作品は、どれも心にズンと来るイメージなんです。
ぱぁっとした面白さではなくて、しっとりなんですよね。
心にずーんと響く。
だから頻繁には読まないんです。

そして未読の辻村作品といえば『子どもたちは夜と遊ぶ』も気になっているんですが、上下巻でちょっと手にしづらいんです。
一方、短編集は手に取りやすい。なのでこの本を選びました。

この本との出会いをメモメモ。



▼印象は
期待を裏切らない面白さ。
著者の作品の面白さっていうのは、描かれる心の葛藤、それにどれくらい共感できるか、だと思います。

劣等感から来る社会への反発、ではなくて、優等生に見られるゆえの世界への反発、っていうモヤモヤ。ここを巧く突いてくる。そんな印象です。

どの話も、何かネタが隠されている感じがあるんですが、これが判らない。
何かの話に繋がっている・・・みたいなんです。
そういう意味では、消化不良ですが、物語自体はそれで完結していますので、問題はありません。

一応、簡単に、それぞれにコメントです。

▼「街灯」
これも一編に含めていいのかな。
きれいなストーカー?
一瞬、映画「カントリーロード」のワンシーンをイメージしましたが、違いますね。

▼「ロードムービー」
表題作です。
二人の友情物語。
いじめにまきこまれていく主人公。

ラストの演説かっこいいよ。
先生も良い対応してくれて素敵です。

さらに!驚きの叙述トリック。
・・・は無用だった気がします。
ストーリー自体で既に完成していたところに、蛇足のサプライズって感じです。

▼「道の先」
塾講師の主人公と、先生いじめの少女。
先生いじめを・・・回避。

特別扱いされる少女には、少女の悩みがあるんです。
周囲が子供っぽく見えてしまう、それって自分が悪いのか周囲が悪いのか。

悩んでいる生徒がいた時、塾講師という立場でどこまで踏み込むのかって、すごく悩ましくないですか。

東大の友達とか、背景のありそうな人間関係が垣間見えます。
うーん、ピンとこない。

▼「トーキョー語り」
東京から来たという少女。
でもそれは、見栄だったりして。

女子の人間関係!

▼「雪の降る道」
みーちゃん健気だぁ。

それにしても、幼さゆえの暴走?
歯がゆい。



5話とも中身のしっかりつまったお話でした。
大満足。
充実した読書です。